Web Syllabus(講義概要)

　春季の授業では、日本列島以外の世界各地の旧石器時代から古代文明成立までの過程を概観しましたが、この授業では、日本列島を対象として話を進めていきたいと思います。具体的には、日本列島への人の移住から古代に至るまでの歴史を考古資料をもとに解説していくことになります。また、旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代、古代の寺院や都城などについて、日本各地の遺跡の紹介と解説もしていきます。授業全体では、考古資料や遺跡などを通して日本の文化や社会がどのように変化してきたのか、東アジア地域のなかで日本列島がどのような環境にあったのかについて概説することになります。

　1．日本の遺跡を通して、社会や文化の動態を考古学的視点で理解すること。
　　 日本列島では各地でこれまで膨大な数の遺跡が発掘調査されてきましたが、これらの遺跡を通して、各時代や地域の文化の特徴とそれがどのように変化してきたかについて理解することが目標です。
　2．東アジア地域での人の移動、物や文化の交流が長い歴史を持っていることを学ぶこと。
　　 日本列島の文化は朝鮮半島や中国大陸から多くの影響を受けていますが、大陸からの影響はすでに旧石器時代から存在します。その背景には大陸から日本列島への人やモノの移動、交流、交易などがあり、各時代で日本列島の文化が大陸からどのような影響を受けたのかを理解し、東アジア地域のなかで日本列島の歴史がどのように位置づけられるかを学ぶことが目標です。
　3．縄文文化や弥生文化が日本列島内の各地域でさまざまなな特色をもっていたことを学ぶこと。
　　 縄文文化や弥生文化は画一的なものではなく、東日本と西日本、南西諸島と北海道などさまざまな地域での環境の違いによって多様性を持っています。高校の日本史の授業では、ひとまとめに「縄文文化」や「弥生文化」とくくられていますが、実は多様性を持った文化であること、そして多様性を持つと同時に共通性もあることを学ぶことが目標です。

　定期テストの結果で成績を評価します。

　教科書や参考書などは特に指定はしません。授業内で必要に応じてプリント等を配布する場合があります。

　縄文時代や弥生時代、古墳時代などについての考古学の基礎的な入門書・概説書に目を通しておくことが望ましいです。具体的な書名については授業のなかで紹介していきたいと思います。

　当然ですが授業中の私語は厳禁です。注意しても改善しない場合は退室してもらう場合もありますので、そのつもりで授業に臨んでください。