Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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考古学特殊講義2C- II 高木 暢亮
選択必修  2単位
【史】 17-1-1340-1854-11

1. 授業の概要(ねらい)

 今から約1万年前、人類の生活様式は移動や遊動から一か所にとどまって集落を作るものへと変化しました。ではなぜこのような生活様式の変化が生じたのでしょうか?多くの研究者によってさまざまな説が示されていますが、約1万年前の更新世の終わりに起こった気温の上昇という気候変動が定住生活に適した環境を生み出したという点では一致しています。つまり、定住化と集落の出現の背景には地球規模での気候変動があったということになります。また、定住化と集落の出現は単に人類の生活様式が変化したというだけではなく、定住化によって人口が増加し、それを養うために野生穀物の自生地で穀物栽培が試みられるようになり、それによってさらに人口が増えたという大きな変化をもたらしました。また、潅漑などの農耕技術の発展によって、さらに人口が増加し、都市の発生や国家の出現へと至る図式を描くことができます。この授業では、縄文時代と弥生時代を中心とした集落研究の事例を取り上げることによって、人類史上の大きな出来事である定住化と集落の形成について考察します。

2.
授業の到達目標

 1.定住化と集落の出現が人類史上どのような意味をもつのかについて理解すること。
   定住化と集落の出現が人間の生活様式、特に生業の形態にどのような影響を与えたのか、そしてそれが後の時代にどのように影響をおよぼしているのかについて理解することが目標です。
 2.日本列島における集落の特徴について理解すること。
   縄文時代や弥生時代と一口に言っても、時期や地域によって様々なタイプの集落が存在します。このような集落のタイプの違いの特徴について理解することが目標です。
 3.都市と集落の違いはなにか、都市の形成には人類史上どのような意味があるのかについて理解すること。
   都市は人口が密集した単なる巨大な集落ではありません。考古学上の定義では都市と集落では社会構造が異なる段階にあると考えるのが一般的で、この2つは明確に区分されています。都市と集落の違いと、都市の出現が人類の歴史にどのような影響を与えたのかについて理解することが目標です。

3.
成績評価の方法および基準

 最終授業で実施する授業内テストの結果によって成績を評価します。

4.
教科書・参考書

 教科書は特に指定はしません。授業内で必要に応じてプリントなどの参考資料を配布する場合があります。

5.
準備学修の内容

 授業内で示した参考文献や論文等に目をとおしておくことを希望します。

6.
その他履修上の注意事項

 当然ですが、授業中の私語は厳禁です。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス
【第2回】
 気候変動と定住化の開始・集落の出現
【第3回】
 日本における集落研究史
【第4回】
 縄文時代の集落(草創期・早期)
【第5回】
 縄文時代の集落(前期)
【第6回】
 縄文時代の集落(中期)
【第7回】
 縄文時代の集落(後期・晩期)
【第8回】
 弥生時代の集落(早期)
【第9回】
 弥生時代の集落(前期)
【第10回】
 弥生時代の集落(中期)
【第11回】
 弥生時代の集落(後期)
【第12回】
 古墳時代の集落
【第13回】
 古代都城1
 飛鳥諸宮について
【第14回】
 古代都城2
 藤原京~平安京について
【第15回】
 まとめとテスト