Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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美術史・文化遺産概説 II 今村 啓爾
選択必修(27年度以降入学生)  2単位
【史】 17-1-1340-3206-14

1. 授業の概要(ねらい)

 この授業は同じ曜日の同じ時間に岡部昌幸教授が行う(ただし春学期と秋学期で岡部と今村の担当する履修生は入れ替わる)美術史内容の「美術史・文化遺産概説Ⅰ」とともに履修することによって、「美術史・文化遺産概説」の必修4単位となることに注意されたい。
 講義の内容は、国内的には文化財保護制度、国際的には世界遺産制度が中心的テーマになるが、その延長上にある文化遺産の有効利用、文化遺産を通しての歴史理解の追求なども重要なテーマである。
 この講義の対象である美術作品や文化遺産は、人類が長い歴史の中で創造してきた美の視覚的体現であるのと同時に、貴重な歴史資料であり、それに触れることは、喜びの中での歴史の追体験につながる。それらの資産が、先人の労苦によって現在にまで伝えられたことに感謝するととともに、それを次の世代に無事伝えることがわれわれの責務である。このような文化遺産尊重の気持ちを土台に、実学としての文化遺産の研究・保護・利用について学ぶ。

2.
授業の到達目標

 文化遺産が貴重である理由、個々の文化遺産の歴史的背景をしっかり認識し、その保全のためにどのような活動が行われ、どのような保護制度が整えられてきたかを理解するとともに、口頭で文化遺産の解説ができるようになり、文化遺産の保護の重要性を説得的に語れるようになることをめざす。

3.
成績評価の方法および基準

 学期末に論述を多く求めるペーパーテストを行う予定である。

4.
教科書・参考書

 この授業全体に相当するような本がないため授業の進行に合わせて多数のプリントを配布する。
  月刊『文化財』第一法規
  田中英道『世界文化遺産から読み解く世界史』扶桑社2013年
  日外アソシエーツ株式会社『美術文化財レファレンスブック』紀伊国屋書店2013年
  文化庁文化財部記念物課『発掘調査のてびき』2010年

5.
準備学修の内容

 文化遺産についてはテレビ番組も多く、文化庁やユネスコが運営する充実したWeb Siteもある。それらを利用してさまざまな文化遺産を知ることもできる。旅行をする機会があったら、目的地にどのような文化遺産があるかあらかじめ調べ、その現状を批判的に把握するよう努力することも有益である。

6.
その他履修上の注意事項

 美術作品や文化遺産を楽しみつつ学んでいただきたい。春か秋に行われる予定のバス見学会は、美術作品や文化遺産にじかに接することのできるよい機会なので他の予定に優先してでも参加してほしい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 文化財・文化遺産の概要と文化遺産学:文化財と文化遺産の関係、文化遺産学の体系と目的、文化遺産学と美術史学の接点
【第2回】
 日本における文化遺産保護の思想と制度の展開、歴史学と文化遺産の関係
【第3回】
 日本の文化財保護法と保護制度
【第4回】
 文化財の種類と数、文化財の分類体系
【第5回】
 文化財・文化遺産データベースの活用
【第6回】
 埋蔵文化財を巡る諸問題とその保護
【第7回】
 埋蔵文化財の調査方法
【第8回】
 校外学習:春期受講者は「発掘された日本列島展」、秋期受講生は東京都埋蔵文化財センター
【第9回】
 世界の文化財保護思想の展開と外国の文化財保護制度
【第10回】
 世界遺産制度
【第11回】
 日本にある世界遺産
【第12回】
 特徴的な世界文化遺産。世界遺産推薦のための暫定リスト
【第13回】
 世界文化遺産に似ているが区別されるもの:無形文化遺産、世界記憶遺産、日本遺産など
【第14回】
 文化遺産を巡る諸問題。文化遺産の活用と保護意識高揚のために
【第15回】
 まとめと試験