Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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西洋史籍講読3C- I 能勢 和宏
選択必修  2単位
【史】 17-1-1340-4225-05

1. 授業の概要(ねらい)

 トニー・ジャット著、河野真太郎ほか訳『失われた二〇世紀 上』(NTT出版、2011)を読む。ジャットは2010年に惜しくも亡くなってしまったが、近年のヨーロッパ近現代史の世界的な第一人者であった。本書は英国で2008年に出版された本の翻訳で、ジャットがこれまでに書いてきたエッセイ、コラム、書評の集成である。ジャットという偉大な歴史家が20世紀という時代をどのように見ていたのか、じっくりと堪能してみよう。
 本授業で特に取り上げられるテーマは、ユダヤ人問題と社会民主主義・共産主義をめぐる問題である。これらのテーマについて、ジャットの本を通して、理解を深める。

2.
授業の到達目標

 ①歴史学の専門書を読解する力を身につける。
 ②20世紀の歴史に関する知識を深める。

3.
成績評価の方法および基準

 発表(60%)、議論への参加度(20%)、期末レポート(20%)

4.
教科書・参考書

 トニー・ジャット著、河野真太郎ほか訳『失われた二〇世紀 上』NTT出版、2011年

5.
準備学修の内容

 各回で扱うテキストは事前配布するので、発表者だけではなく出席者は事前に読んでから授業に臨むこと

6.
その他履修上の注意事項

 授業にただ出席するだけではなく、積極的に自分の意見や疑問点を述べられる姿勢を身につけてほしい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス
【第2回】
 序 わたしたちが失った世界 pp.5-34
【第3回】
 第1章 典型的知識アーサー・ケストラー pp.37-63
【第4回】
 第2章 プリーモ・レーヴィにかんする基本的事実 pp.64-87
【第5回】
 第3章 マネス・シュペルバーのユダヤ的ヨーロッパ pp.88-102
【第6回】
 第4章 ハンナ・アーレントと悪 pp.103-132
【第7回】
 映画『ハンナ・アーレント』鑑賞
【第8回】
 第5章 アルベール・カミュ「フランスで最高の男」 pp.133-146
【第9回】
 第6章 空虚な伽藍 アルチュセールの「マルクス主義」 pp.147-159
【第10回】
 第7章 エリック・ホブズボームと共産主義というロマンス pp.160-176
【第11回】
 第8章 さらま古きものよ? レシェク・コワロフスキとマルクス主義の遺産 pp.177-197
【第12回】
 第9章 「哲人教皇」? ヨハネ・パウロ二世と現代世界 pp.198-216
【第13回】
 第10章 エドワード・サイード 根なし草のコスモポリタン pp.217-236
【第14回】
 映画『最初の人間』鑑賞
【第15回】
 まとめとレポート提出