Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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西洋史籍講読5C- II 石川 敬史
選択必修  2単位
【史】 17-1-1340-4649-11

1. 授業の概要(ねらい)

 この授業では、フランスの政治思想家トクヴィルが、19世紀のアメリカ合衆国を訪問した経験をもとにデモクラシーを考察した古典的名著『アメリカのデモクラシー』を精読する。デモクラシーという不思議な制度は、古代から現代、そして将来にわたり、人間社会が考察する対象であり続けるだろう。その際に、必ず参照されるのが本書である。

2.
授業の到達目標

 デモクラシー論の古典的名著を精読することによって、現代の諸問題に対する自分の視座を獲得する。

3.
成績評価の方法および基準

 授業への参加姿勢と討論への貢献に対する評価70%
 報告者としてのレポート内容に対する評価30%

4.
教科書・参考書

 トクヴィル(松本礼二訳)『アメリカのデモクラシー 第二巻(上)』(岩波文庫、2012年)
 トクヴィル(松本礼二訳)『アメリカのデモクラシー 第二巻(下)』(岩波文庫、2012年)

5.
準備学修の内容

 受講者は、その日の授業で読む章を事前に読み込み、自分のコメントを必ず用意しておく。
 受講者は、必ず複数回の報告を担当するので、報告者となった場合は、レジュメを用意する。

6.
その他履修上の注意事項

 この授業は、受講者の積極的な発言によって成立するものである。報告の出来不出来よりも、授業への参加姿勢を主要な評価の基準としている。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス
 講読書籍の解説と、授業運営の方針を説明し、報告担当割当を行う。
【第2回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(上)』
 第一章「アメリカ人の哲学、その方法について」
 第二章「民主的諸国民における信仰の主要な源泉について」
 報告者による報告と内容の検討
【第3回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(上)』
 第三章「アメリカ人はなぜ彼らの父祖であるイギリス人より一般観念に適応し、これを好むのか」
 第四章「アメリカ人が政治における一般観念にフランス人ほど熱中したことがかつてないのはなぜか」
 報告者による報告と内容の検討
【第4回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(上)』
 第五章「合衆国において、宗教はどのように民主的本能を利用しうるか」
 第六章「合衆国におけるカトリシズムの拡大について」
 報告者による報告と内容の検討
【第5回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(上)』
 第七章「民主的諸国民の精神を汎神論に向かわせるもの」
 第八章「平等はどのようにしてアメリカ人に人間の無限の完成可能性の観念を吹き込むか」
 報告者による報告と内容の検討
【第6回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(上)』
 第九章「アメリカ人の実例は民主的国民が学問、文学、芸術への適性を欠き、その趣味をもたない証明にならないのはどうしてか」
 第一〇章「アメリカ人はなぜ理論より学問の実用にこだわるのか」
 報告者による報告と内容の検討
【第7回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(上)』
 その他の補説・章
 報告者による報告と内容の検討
【第8回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(下)』
 第一章「境遇が平等になるにつれて、どのように習俗は和らぐか」
 第二章「デモクラシーはアメリカ人の普段の付き合いをどのように簡素でくつろいだものにするか」
 第四章「これまでの三章の帰結」
 報告者による報告と内容の検討
【第9回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(下)』
 第五章「デモクラシーは従僕と主人の関係をどのように変えるか」
 第六章「民主的な諸制度と習俗は地代を上昇させ賃借期間を短縮させる傾向をどのようにもつか」
 報告者による報告と内容の検討
【第10回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(下)』
 第七章「デモクラシーの賃金への影響」
 第八章「デモクラシーの家族への影響」
 報告者による報告と内容の検討
【第11回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(下)』
 第九章「合衆国における女子教育」
 第一〇章「妻の姿の中に娘時代の面影がどのようにまた現れるか」
 報告者による報告と内容の検討
【第12回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(下)』
 第一一章「境遇の平等はアメリカにおける良俗の維持にどのように貢献するか」
 第一二章「アメリカ人は男女の平等をどのように理解するか」
 報告者による報告と内容の検討
【第13回】
 『アメリカのデモクラシー 第二巻(下)』
 第一三章「平等はアメリカ人をどのようにして無数の小さな個別社会に自然に分割するか」
 その他の補説・章
 報告者による報告と内容の検討
【第14回】
 積み残し部分の検討および補論
【第15回】
 第二巻の総括。進行が遅れている場合はそれを補う日とする。