Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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未来社会論 池 周一郎
選択  2単位
【社会】 17-1-1350-0028-14

1. 授業の概要(ねらい)

 あらゆる未来は現在の社会の反映である。現在の社会の様々な問題が未来社会に現れると言えるであろう。19世紀の社会学の未来社会論は、偏見に満ちたおとぎ話の域を出ないが、その背景は何であるのだろうか。脱工業化社会論が説く漸進的社会改良という考え方にはどのような問題点があるのだろうか。
 本講義では、知識社会学的視点から、さまざまな未来社会像に関して批判的な分析を加え、以って現代社会のよりリアルな認識を目指すこととする。実は未来社会像には、「ユートピア」や「破滅・滅亡」という過去から存在するあるパターンが認められ、それらのパターン毎にさまざまな「映画化」が行われている。我々はその特徴を過去の名画を鑑賞することから観察し、分析して、人間が未来を構想するときの特徴を把握したい。

2.
授業の到達目標

 未来社会という考え方のパターンが把握できることと、未来社会論に潜む現在の社会の問題が認識できるようになること。

3.
成績評価の方法および基準

 平常点30%とLMSの課題と20%と期末試験50%

4.
教科書・参考書

 とくになし。レジュメをLMSからダウンロードすること。

5.
準備学修の内容

 レジュメに前もって目を通して、疑問点・問題点等を考えておくこと。視聴した映画の感想やメモを書いておくこと。LMSでの課題を授業後に処理すること。

6.
その他履修上の注意事項

 未来社会へのイマジネーションを高めて、読書し、自ら名画を鑑賞してください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス SFを楽しむ
【第2回】
 未来社会の構想可能性、SFの成立 産業化と進歩-進化思想 H.G.WellsとJ.Verne
【第3回】
 タイムマシンの意義(映画『タイムマシン』を見る)
【第4回】
 人類の滅亡 滅亡はどんな問題を語っているか。普遍的パターン(映画『猿の惑星』)
【第5回】
 人類に取って代わるもの(『宇宙戦争』、『猿の惑星』、『続猿の惑星』、『ターミネーター』)
【第6回】
 核兵器による自滅 冷戦の大きく黒い影(『渚にて』、『博士の異常な愛情』)
【第7回】
 相互確証破壊(MAD)(『博士の異常な愛情』)
【第8回】
 ユートピア幻想 トマス・モア ガリバー旅行記 『時計仕掛けのオレンジ』
【第9回】
 悪夢のユートピア=管理社会への恐怖 『華氏451』、『未来世紀ブラジル』
【第10回】
 全体主義の静かな支配 『1984』
【第11回】
 階級対立 階級概念の生成はいつ頃か 科学的社会主義? 『トータル・リコール』
【第12回】
 未来の階級対立 現在の対立の投影 『メトロポリス』
【第13回】
 生命操作の可能性 『モロー博士の島』、『ブレードランナー』
 人類改造は古くから発想されていたSFである
【第14回】
 宇宙へと進出する人類 『2001年宇宙の旅』 探検と征服への野望の現れ
【第15回】
 まとめ:未来社会とは何か。試験