Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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社会調査法 II 神山 英紀
必修  2単位
【社会】 17-1-1350-0156-10

1. 授業の概要(ねらい)

 社会調査によって資料やデータを収集し,分析しうる形にまでで整理していく具体的な方法を解説する。すなわち,調査企画と設計,全数調査と標本調査に関する解説,サンプリングの諸方法,質問文・調査票の作り方などである。また,これらを学ぶ意義を理解し,さらに知識を深めていけるよう方向づける観点から,統計的推測の一例として比率の推定について,その概要を講義する。

2.
授業の到達目標

 ・社会調査によって資料やデータを収集し分析しうる形にまでで整理していく具体的な方法,すなわち,調査企画と設計,全数調査と標本調査に関する解説,サンプリングの諸方法,質問文・調査票の作り方などについて知り,それにより,現代社会で実際に行われている社会調査の意味や結果が理解できるようになること。
 ・とくに現在多用される統計的推測の1つとして,比率の推定についてもその要点を理解できるようになること。
 ・他の社会調査関連科目の授業を正確に理解できるよう,これらの科目で学ぶ内容の基礎を身に付けること。

3.
成績評価の方法および基準

 試験(70%)+出席等の平常点(30%)(詳細は講義開始後に文書にして配布する予定)。

4.
教科書・参考書

 教科書:原 純輔・海野 道郎『社会調査演習 第2版』東京大学出版会
 参考書:盛山 和夫『社会調査法入門』有斐閣ブックス

5.
準備学修の内容

 テキストや,開講時に配布される冊子『社会調査法Ⅰ・Ⅱワークブック』を使って,予習・復習を行ってください。

6.
その他履修上の注意事項

 社会調査法Ⅰとともに,毎回出席して作業を積極的に行ってください。電卓などの用具の持参を求めることがあります。社会調査関連科目を同時にあるいは今後履修することが望ましい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 社会調査とは何か:社会調査がどのようなもので,どう活用されているか,社会調査の結果に基づく最近の新聞記事などを紹介しつつ,概略を知る。
【第2回】
 社会調査の企画:社会調査に向くテーマ・不向きなテーマは何か,また,操作的定義について,仮説について,説明するとはどういうことか等,具体例を考えながら理解する。
【第3回】
 調査の方法(1):実査の方法について,すなわち,面接調査・留置調査・郵送調査等々の方法を,それらの長所・短所も知りつつ整理して学ぶ。
【第4回】
 調査の方法(2):前回に引き続き,実査の方法を学ぶ。個別訪問面接調査に関してはVTRを用いて,さらにその具体的な様子も知る。また,横断的調査と縦断的調査の方法と意義について知る。
【第5回】
 調査対象の決定:全数調査と標本調査について,データの処理方法という観点から理解する。あわせて事例調査についても紹介する。
【第6回】
 調査票の構成と質問文の作り方:ステレオタイプやダブルバーレル等々に関する留意点,キャリーオーバー効果など質問の並べ方に関する留意点,また,自由回答の扱いなどに関し理解する。
【第7回】
 サンプリング(1):無作為抽出法について,割当抽出法等と比較しつつ理解する。
【第8回】
 サンプリング(2):無作為抽出法の意義を理解する。中の見えないペットボトルから球を取り出すことを繰り返し,その結果,実際に標本分布が正規分布に近づくことを示す。
【第9回】
 調査データの整理:職業分類について知り,コーディングの作業を実際に行ってみる。その他,ナンバリング,データ・クリーニング等の作業や意味について知る。
【第10回】
 比率の推定へ(1):実査方法やサンプリング等の重要性について真に理解するには,統計的推測について知る必要があろう。その観点から比率の推定について学ぶ。その準備として,まず,分散・標準偏差について知る。
【第11回】
 比率の推定へ(2):度数分布表とヒストグラムについて知り,そのような形で示されたデータについても,平均・分散・標準偏差等が考えられることを,作業をしながら理解する。
【第12回】
 比率の推定へ(3):正規分布について,またそれの性質について知る。
【第13回】
 比率の推定へ(4):統計的推測の1つとしての「比率の推定」の考え方を理解する。
【第14回】
 比率の推定へ(5):誤差と信頼度の関係を理解する。また,標本数を変えると誤差がどう変化するか具体的な計算を通じて知る。講義の後半,無作為抽出から比率の推定までを復習する。
【第15回】
 「社会調査の調査方法と実施方法」についての補足とまとめ