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授業の概要(ねらい) |
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教育問題についての「語り」は世の中に満ちあふれている。今後の社会の行方は教育と多少なりとも関わっているために、なにか問題を見出すと、人びとは教育を語りたくなるのだ。 そこで語られていることは、たとえば次のようなことかもしれない。今の子どもや若者は「人間力」がない、キレやすい、「ヴァーチャル」と「リアル」の区別がつかない、人間関係がどんどん希薄化している...。最近まで「子ども」だった、現在は若者であるあなた方は、そうした「語り」についてどう思うだろうか。自分の経験と比べてみて、どうだろうか。 教育問題について語られていることには、いろいろな偏りがある。そのため、どのような根拠があるのか、なにか見逃されていることはないのか、疑問を持ちながら批判的に吟味していく姿勢が求められる。この授業は教育問題について検討し、そこで語られている「常識」を疑っていくことを通して、教育に対する社会学的な捉え方を身につけることを目的としている。授業を通して明らかにしたいのは、教育に関して語られる「通説」と実態とのズレ、そして裏づけのない「語り」が流布してしまう社会的な背景である。
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2. |
授業の到達目標 |
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教育問題を批判的に吟味することを通じて、教育に対する社会学的な捉え方を身につけること。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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学期末試験(80%)と平常点(20%)を総合的に評価する。
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4. |
教科書・参考書 |
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テキストは用いない。参考文献は授業の中で紹介する。
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準備学修の内容 |
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授業内容を把握するとともに、関連する文献を読み、わからない用語を調べておくこと。
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その他履修上の注意事項 |
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教育社会学 Iの内容を踏まえた議論となるが、教育社会学 IIのみの受講も可能である。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | イントロダクション:教育社会学による教育問題へのアプローチ | 【第2回】 | 教育問題の移り変わり(1):半世紀前の教育問題と今日の教育問題の違い | 【第3回】 | 教育問題の移り変わり(2):学校教育の拡大と教育問題の変化 | 【第4回】 | 教育問題の移り変わり(3):情報化社会の進展と教育問題 | 【第5回】 | 教育問題の移り変わり(4):「子ども」の誕生とその揺らぎ | 【第6回】 | 家族のしつけ(1):昔の家族は「しつけ」をしていたのか? | 【第7回】 | 家族のしつけ(2):「教育する家族」の形成と普及 | 【第8回】 | いじめ(1):子どもの自殺と「いじめ」 | 【第9回】 | いじめ(2):社会問題化の過程 | 【第10回】 | いじめ(3):社会問題化の副作用 | 【第11回】 | 教育問題と心理主義(1):なんでも「心」の問題にする態度(心理主義)の流行について | 【第12回】 | 教育問題と心理主義(2):心理主義と新自由主義・新保守主義の関係 | 【第13回】 | 若者の人間関係(1):道徳意識をどう考えるか | 【第14回】 | 若者の人間関係(2):多元的な自己 | 【第15回】 | まとめ:教育問題の過去と現在 |
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