Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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少年非行論 山口 毅
選択  2単位
【社会】 17-1-1350-0550-09

1. 授業の概要(ねらい)

 現代の少年非行について、多くの人びとが漠然としたイメージを抱いているのではないだろうか。たとえば近年の少年非行は凶悪化し、普通の少年が非行に走るなど一般化し、低年齢化している。少年保護の思想・制度は加害者を甘やかすばかりであり、必要なのは厳罰化である。このようなイメージである。
 そうした印象の大部分は、マスメディアの報道からもたらされているのだが、報道は必ずしも実態を正しく伝えるものではない。この授業ではまず、少年非行の実態に関して統計的な根拠からアプローチする。次いで、メディア報道の有するバイアス(偏り)について検討する。さらに、少年院における矯正教育を取り上げ、少年保護の理念に基づいた現場の実践を紹介する。それらを通じて、少年非行をめぐる現実をより深く理解することを目的としている。

2.
授業の到達目標

 少年非行に関する社会的現実を、根拠に基づいて把握すること。

3.
成績評価の方法および基準

 学期末試験(80%)と平常点(20%)を総合的に評価する。

4.
教科書・参考書

 テキストは用いない。参考文献(事典)として、星野周弘ほか編『犯罪・非行事典』(大成出版社)。その他の参考文献は、授業中に指示する。

5.
準備学修の内容

 授業内容を把握するとともに、関連する文献を読み、わからない用語を調べておくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 犯罪・非行に対する理論的な捉え方は、「犯罪社会学」で扱うので、参考にしてほしい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション:少年非行とは
【第2回】
 少年非行の実態(1):戦後の少年非行の「波」
【第3回】
 少年非行の実態(2):「凶悪化」について
【第4回】
 少年非行の実態(3):「一般化」について
【第5回】
 少年非行の実態(4):「低年齢化」について
【第6回】
 メディア報道の落とし穴(1):犯罪不安の高まり
【第7回】
 メディア報道の落とし穴(2):「心の闇」とは?
【第8回】
 メディア報道の落とし穴(3):劇場型犯罪と模倣犯罪
【第9回】
 非行少年の処遇(1):処遇の仕組み①
【第10回】
 非行少年の処遇(2):処遇の仕組み②
【第11回】
 非行少年の処遇(3):少年院の矯正教育
【第12回】
 非行少年の処遇(4):有効な処遇とは
【第13回】
 少年法(1):少年保護の理念と少年法
【第14回】
 少年法(2):改正にまつわる諸問題
【第15回】
 まとめ:少年の「逸脱」をどう捉えるか