1. |
授業の概要(ねらい) |
|
現代の少年非行について、多くの人びとが漠然としたイメージを抱いているのではないだろうか。たとえば近年の少年非行は凶悪化し、普通の少年が非行に走るなど一般化し、低年齢化している。少年保護の思想・制度は加害者を甘やかすばかりであり、必要なのは厳罰化である。このようなイメージである。 そうした印象の大部分は、マスメディアの報道からもたらされているのだが、報道は必ずしも実態を正しく伝えるものではない。この授業ではまず、少年非行の実態に関して統計的な根拠からアプローチする。次いで、メディア報道の有するバイアス(偏り)について検討する。さらに、少年院における矯正教育を取り上げ、少年保護の理念に基づいた現場の実践を紹介する。それらを通じて、少年非行をめぐる現実をより深く理解することを目的としている。
|
2. |
授業の到達目標 |
|
少年非行に関する社会的現実を、根拠に基づいて把握すること。
|
3. |
成績評価の方法および基準 |
|
学期末試験(80%)と平常点(20%)を総合的に評価する。
|
4. |
教科書・参考書 |
|
テキストは用いない。参考文献(事典)として、星野周弘ほか編『犯罪・非行事典』(大成出版社)。その他の参考文献は、授業中に指示する。
|
5. |
準備学修の内容 |
|
授業内容を把握するとともに、関連する文献を読み、わからない用語を調べておくこと。
|
6. |
その他履修上の注意事項 |
|
犯罪・非行に対する理論的な捉え方は、「犯罪社会学」で扱うので、参考にしてほしい。
|
7. |
各回の授業内容 |
|
【第1回】 | イントロダクション:少年非行とは | 【第2回】 | 少年非行の実態(1):戦後の少年非行の「波」 | 【第3回】 | 少年非行の実態(2):「凶悪化」について | 【第4回】 | 少年非行の実態(3):「一般化」について | 【第5回】 | 少年非行の実態(4):「低年齢化」について | 【第6回】 | メディア報道の落とし穴(1):犯罪不安の高まり | 【第7回】 | メディア報道の落とし穴(2):「心の闇」とは? | 【第8回】 | メディア報道の落とし穴(3):劇場型犯罪と模倣犯罪 | 【第9回】 | 非行少年の処遇(1):処遇の仕組み① | 【第10回】 | 非行少年の処遇(2):処遇の仕組み② | 【第11回】 | 非行少年の処遇(3):少年院の矯正教育 | 【第12回】 | 非行少年の処遇(4):有効な処遇とは | 【第13回】 | 少年法(1):少年保護の理念と少年法 | 【第14回】 | 少年法(2):改正にまつわる諸問題 | 【第15回】 | まとめ:少年の「逸脱」をどう捉えるか |
|