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授業の概要(ねらい) |
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メディア・コミュニケーション研究の研究対象は多岐にわたる。ハロルド・ラスウェルによれば、コミュニケーション研究の分析対象は、①情報の送り手の研究、②送り手が発信する情報の内容の研究、③情報を媒介するメディアそれ自体の研究、④情報を受容する受け手の研究、⑤情報を受容した受け手およびその受け手が構成する社会に対する効果や影響の研究、に大別することができる。これらのうち、本授業では②「内容の分析(Content Analysis)」、すなわち情報内容(新聞記事、ラジオ・テレビ番組など)の分析を実際に行っていく。 内容分析の目的と意義については、様々な観点から評価されている。その一つが「メディアの内容は社会的かつ文化的な信念や価値観を反映する」という観点から行われる内容分析である。この場合、メディアの内容分析は、メディアそれ自体への関心というよりは、社会で共有されている信念や価値観を分析するために行われる。つまり、メディアの内容分析は、社会分析の手段として位置付けられている。したがってメディアの内容分析は、メディア企業への就職を希望しない、もしくはメディア研究を専攻としない社会学科の学生にとっても重要なものであると考えられる。 上記の考え方に基づき、本授業では、学生自身が自分のテーマを設定・発見し、それに基づいてメディアの内容分析を行い、自分のテーマに関する洞察力を深めていく。具体的には新聞データベースを用いた調査・分析を行い、レポートにまとめ、発表会に向けて研究を進めていく実習形式の授業を行う予定である。
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授業の到達目標 |
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・メディアの内容分析を通じて、各自のテーマに関する社会分析を行うための基礎的素養を習得する。 ・メディアの内容分析に関する調査レポート・報告書を執筆、編集、発行できる。
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成績評価の方法および基準 |
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報告(15%)、レポート(15%)、発表会報告(35%)、原稿(35%)で評価する。ただしすべての項目を満たさなくてはならない。
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教科書・参考書 |
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特殊演習という性格上、教科書は指定しない。今までのオナーズプログラム導入演習や関連する演習で作成した報告書を当面の参考資料としていく。 参考文献 ・D.マクウェール著、大石裕監訳(2010)『マス・コミュニケーション研究』慶應義塾大学出版会。 ・藤田真文編(2011)『メディアの卒論―テーマ・方法・実際』ミネルヴァ書房。 ・K.クリッペンドルフ著、三上俊治、橋元良明、椎野信雄訳(1989)『メッセージ分析の技法―「内容分析」への招待』勁草書房。 ・山口仁(2014)「演習科目におけるメディア内容分析に関して」『帝京ラーニングテクノロジー開発室年報』 ・----(2015)「高等教育におけるメディア・コミュニケーション研究の位置づけ」『帝京ラーニングテクノロジー開発室年報』 このほかに、履修者は各自の問題関心に応じて報告文献を選択する。
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準備学修の内容 |
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・課題文献の精読と要約。 ・MELICの新聞データベースを用いた記事分析。 ・他大学のゼミナールで作成されているメディア分析に関する研究発表(主に学園祭・文化祭)の視察、および研究報告書の入手。 ・報告書製本に伴う編集作業。
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その他履修上の注意事項 |
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・この授業を履修するためには、社会学科の許可が必要である。 ・授業時間90分でできるとは限られている。したがって授業時間外の学習は必須である。 ・履修者の人数によるが、報告書の作成にあたり、学生の間で役割分担をする。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | メディア分析特殊演習に関する説明。各自の問題関心に関するレポート。 | 【第2回】 | 研究テーマに関する学生発表。調査テーマ候補の決定。 | 【第3回】 | データベースを用いた内容分析。テーマに関する文献調査。 | 【第4回】 | テーマに関する文献報告(1) | 【第5回】 | テーマに関する文献報告(2) | 【第6回】 | テーマに関する文献報告(3) | 【第7回】 | レポート草稿①に関するディスカッション・講評。 | 【第8回】 | 各受講者・各グループによる中間報告。 | 【第9回】 | 各受講者・各グループによる中間報告。 | 【第10回】 | レポート草稿②に関するディスカッション・講評。 | 【第11回】 | 各受講者・各グループによる中間報告。 | 【第12回】 | 各受講者・各グループによる中間報告。 | 【第13回】 | レポート草稿③に関するディスカッション・講評。 | 【第14回】 | 報告書原稿の編集・校正。 | 【第15回】 | 報告書の完成と特殊演習の振り返り。 |
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