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授業の概要(ねらい) |
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世界は、何によって動いているのでしょうか? 現代では、政治的な理念や経済的な利害だけでなく「文化的な価値」が注目されるようになってきました。言語や歴史、宗教などによって織り成される「文化」が現代社会を動かしている、ということが改めてわかってきたのです。例えば、カナダにおけるケベックの分離運動や、ロシアにおけるチェチェンの独立運動、中国におけるチベットの抵抗運動などが挙げられます。あるいは、アメリカにおける9・11同時多発テロも挙げられるでしょう。そこには、たとえ経済的な不利益をこうむったり、極端な場合には命を犠牲にしたりしてでも、ある種の「文化的な価値」のために行動を起こし、その渦中に身を投じる人びとがいます。なぜ「文化」は、そこまで大きな力をもっているのでしょうか? 「文化」をおおよそ共有している広い範囲のことを「文明圏」と呼ぶことがあります。端的に「文明」といえば、政治制度や経済システム、法秩序、産業構造など、いずれの社会にも共通する普遍的な仕組みのことを言います。しかし、そうした仕組みは、それを支える世界観や思想がなければ機能しません。ここでいう「文明」とは、個別の文化を含んだ具体的なものであり、それゆえ多様なものです。そして、現代の世界では、多様な文明のあいだで、対立や軋轢が生じているのです。 本講義では、共生文明論Ⅰに続いて、こうした意味で現代世界を動かしている「文明」を論じます。とりわけ、現代文明のモデルとされている「アメリカ」を中心にして、多様な文明が共生していくためには何が必要か、ということを考えていきます。
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授業の到達目標 |
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現代の世界を「文明」という観点から捉え、考えられるようになること。
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成績評価の方法および基準 |
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・原則として8割以上の出席を前提とする。 ・適宜おこなう感想文の提出を必須とする。 ・試験において講義内容とテキストにかんする理解度を問う。 ・以上に授業態度をくわえ、総合的に判断する。
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教科書・参考書 |
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藤本龍児『アメリカの公共宗教:多元社会における精神性』NTT出版、2009年。
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準備学修の内容 |
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この講義には、特別な前提知識は必要ありません。 しかし内容を理解するには、自分の経験と合わせて考えることが重要になります。 講義中はもちろん、日常生活のなかでも、実体験と合わせて考えてみるようにしてください。
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その他履修上の注意事項 |
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この講義だけで一つのまとまりをもっていますが、共生文明論Ⅰを履修していることが望ましい。 講義は以下のような内容を計画しています。ただし、受講者の理解や関心に応じて柔軟に改変していきます。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | はじめに | 【第2回】 | グローバリゼーションとは何か? | 【第3回】 | グローバリズムとは何か? | 【第4回】 | グローバリゼーションとグローバリズム | 【第5回】 | アメリカニズムとは何か? | 【第6回】 | 帝国主義 | 【第7回】 | 新しい帝国主義 | 【第8回】 | アメリカの保守主義 | 【第9回】 | アメリカの新保守主義 | 【第10回】 | アメリカの宗教的使命観 | 【第11回】 | リベラル・デモクラシー | 【第12回】 | リベラル・デモクラシーの普遍化 | 【第13回】 | リベラル・デモクラシーと宗教 | 【第14回】 | ポスト・アメリカニズム | 【第15回】 | おわりに |
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