Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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共生文明論 II 藤本 龍児
選択  2単位
【社会】 17-1-1350-3249-03

1. 授業の概要(ねらい)

 世界は、何によって動いているのでしょうか?
 現代では、政治的な理念や経済的な利害だけでなく「文化的な価値」が注目されるようになってきました。言語や歴史、宗教などによって織り成される「文化」が現代社会を動かしている、ということが改めてわかってきたのです。例えば、カナダにおけるケベックの分離運動や、ロシアにおけるチェチェンの独立運動、中国におけるチベットの抵抗運動などが挙げられます。あるいは、アメリカにおける9・11同時多発テロも挙げられるでしょう。そこには、たとえ経済的な不利益をこうむったり、極端な場合には命を犠牲にしたりしてでも、ある種の「文化的な価値」のために行動を起こし、その渦中に身を投じる人びとがいます。なぜ「文化」は、そこまで大きな力をもっているのでしょうか?
 「文化」をおおよそ共有している広い範囲のことを「文明圏」と呼ぶことがあります。端的に「文明」といえば、政治制度や経済システム、法秩序、産業構造など、いずれの社会にも共通する普遍的な仕組みのことを言います。しかし、そうした仕組みは、それを支える世界観や思想がなければ機能しません。ここでいう「文明」とは、個別の文化を含んだ具体的なものであり、それゆえ多様なものです。そして、現代の世界では、多様な文明のあいだで、対立や軋轢が生じているのです。
 本講義では、共生文明論Ⅰに続いて、こうした意味で現代世界を動かしている「文明」を論じます。とりわけ、現代文明のモデルとされている「アメリカ」を中心にして、多様な文明が共生していくためには何が必要か、ということを考えていきます。

2.
授業の到達目標

 現代の世界を「文明」という観点から捉え、考えられるようになること。

3.
成績評価の方法および基準

 ・原則として8割以上の出席を前提とする。
 ・適宜おこなう感想文の提出を必須とする。
 ・試験において講義内容とテキストにかんする理解度を問う。
 ・以上に授業態度をくわえ、総合的に判断する。

4.
教科書・参考書

 藤本龍児『アメリカの公共宗教:多元社会における精神性』NTT出版、2009年。

5.
準備学修の内容

 この講義には、特別な前提知識は必要ありません。
 しかし内容を理解するには、自分の経験と合わせて考えることが重要になります。
 講義中はもちろん、日常生活のなかでも、実体験と合わせて考えてみるようにしてください。

6.
その他履修上の注意事項

 この講義だけで一つのまとまりをもっていますが、共生文明論Ⅰを履修していることが望ましい。
 講義は以下のような内容を計画しています。ただし、受講者の理解や関心に応じて柔軟に改変していきます。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 
 はじめに
【第2回】
 グローバリゼーションとは何か?
【第3回】
 グローバリズムとは何か?
【第4回】
 グローバリゼーションとグローバリズム
【第5回】
 アメリカニズムとは何か?
【第6回】
 帝国主義
【第7回】
 新しい帝国主義
【第8回】
 アメリカの保守主義
【第9回】
 アメリカの新保守主義
【第10回】
 アメリカの宗教的使命観
【第11回】
 リベラル・デモクラシー
【第12回】
 リベラル・デモクラシーの普遍化
【第13回】
 リベラル・デモクラシーと宗教
【第14回】
 ポスト・アメリカニズム
【第15回】
 おわりに