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授業の概要(ねらい) |
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本講では、Ⅰに引き続き発達心理学の臨床への応用学である「臨床発達心理学(発達臨床心理学)」の知見について、発展的な内容を含めて学ぶことを目的とする。Ⅰに記したように、比較的新しく耳慣れない学問領域だが、日本においてすでに1934年に京都児童院を中心に心理の専門家による発達支援や発達検査の開発が行われており、発達的観点に立つ臨床実践の歴史は古い。この領域において、人は生涯にわたる歴史的時間の流れの中で、さまざまな人や物との関係性を紡ぎながら、環境に適応すべく変容していく存在であるととらえられてきた。こうした見方は、今や養育・教育・医療・福祉などの領域に浸透している。 今年度は、「臨床発達心理学」の知見がどのように臨床の場に適用されてきたのか、そこにはどのような課題が残されているのかについて集団的に検討していく。 授業に際して、毎回、テキストの中から参加者の関心の高いテーマを選び、ディスカッションを取り入れながら、各自が問いを立て、検討を深めていけるよう配慮したい。
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授業の到達目標 |
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1)臨床の場における発達支援の概要を知る。 2)参加者各自が問いを立て、ディスカッションに参加し、自らの問いを精査する。
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成績評価の方法および基準 |
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以下の評価基準の通り、出席状況が大きく影響する。 1)テキストの内容を正確に理解できているかを、発表者のレジュメと発表をもとに評価(30%)。 2)毎回のディスカッションでの参加状況の評価(問いを立てているか、他者の意見をふまえて発言しているか、グループ内で司会や書記などの役割を担当しているか、グループ発表におけるコメントの内容等・30%)。 3)学期末レポート(40%)
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教科書・参考書 |
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本演習Ⅰの進捗状況に応じて指示する。Ⅰで使用したテキスト『よくわかる臨床発達心理学』の後半章を中心に学習する。
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準備学修の内容 |
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発表担当者のみならず、履修者全員がテキストの該当箇所を読み、関心を持ったところをまとめておくこと。 その際、テキストには参考文献が記載されているので、MELICを利用して分からないところを調べるなどの予習を行うことに取り組んでほしい。 授業後には、当日の検討(ディスカッション)を踏まえて、文献を読み直し、分かったつもりになっていたところ、分かっていなかったところを整理すること。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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積極的かつ主体的な参加が求められる。 各自が設定する問いについては、自らの主観や経験のみならず、これまでに学んだ心理学の知識を絡めて考えることが望ましい。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | 以下のテーマについて小グループに分かれてテキストの講読・ディスカッション・発表とコメントを通して理解を深める。 発達心理学の臨床への応用・本演習の進め方 | 【第2回】 | 1 障がいとその周辺ー障がいを生きるということ | 【第3回】 | 障がいとは何か:診断・治療・支援・受容 | 【第4回】 | 発達の遅れとは何か・発達の遅れを生きることの意味 | 【第5回】 | ダウン症とは何か・ダウン症を生きることの意味 | 【第6回】 | 姿勢・運動の障がいとは何か・姿勢運動の障がいを生きることの意味 | 【第7回】 | ことばの障がいとは何か・ことばの障がいを生きることの意味 | 【第8回】 | 幼児・児童虐待とは何か・それを生きることの意味 | 【第9回】 | 不登校とは何か・それを生きることの意味 | 【第10回】 | 神経症とは何か・それを生きることの意味 | 【第11回】 | 2 発達臨床の現場・幼稚園と保育所・多様な保育ニーズへの対応 | 【第12回】 | 児童館と学童保育 | 【第13回】 | 保健所・保健センター | 【第14回】 | 児童相談所・発達支援センター | 【第15回】 | 全体のまとめ |
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