Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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心理学基礎文献研究 I 新谷 和代
必修  2単位
【心理】 17-1-1360-0290-03

1. 授業の概要(ねらい)

 家族には、人の一生のように誕生から終わりまでのライフサイクルがある。新しく「家族」を構えた夫婦は、子どもの誕生や子どもの成長とともに、活動の量や範囲が拡大し、賑やかさを増していく。しかし子どもが一人前になって独立し、結婚して自分たちの家族を形成し始めると、夫婦自身も「老い」と向き合っていることに気づき始める。そして活動の量も範囲も緩やかに減速する中、その家族は、自身や配偶者の死とともに役目を終えていくのである。また家族は、家族として活動する時代の流れから影響を受ける面がある。例えば高度経済成長期やバブル期とその崩壊などの社会状況、受験地獄と呼ばれた学歴重視教育やゆとり世代と呼ばれた個性重視教育は、家族の消費傾向や余暇の使い方、親のしつけ方針に影響を及ぼす。
 以上のことからこの授業では、家族の誕生期・拡大期・縮小期というライフサイクルを理解すると共に、子育てや自身の生き方をめぐる親子間・夫婦間の葛藤、いじめやひきこもりなど、家族内外の相互作用や軋轢により生じる家族をめぐる諸問題について、発達臨床的にその背景を考えていくことを目的とする。また、各章に関連した新聞記事や論文を検索するスキルを磨き、小グループに分かれたディスカッションやディベートを行うことにより、傾聴力やプレゼンテーション力を磨く。特に前期は、文献について要点を押さえながら要旨を発表するスキルを磨く中で、初歩的なミニディベートにも挑戦し、自分の意見を表明する楽しさを味わえるようになることも目標とする。

2.
授業の到達目標

 ・家族の誕生期・拡大期・縮小期というライフサイクルを理解する。
 ・現代家族を巡る、様々な課題や問題に関心を持つ。
 ・基礎的な文献・資料を検索することができるようにする。
 ・要旨発表やディスカッション、ミニディベートを通して、傾聴力やプレゼンテーション力を磨く。

3.
成績評価の方法および基準

 ・出席および文献発表・新聞発表 (40%)
 ・ディスカッション及びミニディベートへの積極性(40%)
 ・期末課題(20%)
 3分の1以上欠席した者には単位を与えない。2回の遅刻(15分以内)は欠席1回とみなす。遅刻時間を記録する。

4.
教科書・参考書

 テキスト:『日本の親子 ―不安・怒りからあらたな関係の創造へ―』(平木典子 柏木惠子編著 金子書房 2015)各章の詳細は、金子書房のHPを参照のこと。http://www.kanekoshobo.co.jp/book/b210794.html
 参考文献:適宜紹介する。

5.
準備学修の内容

 授業前には必ず、事前に指定されたテキストや資料を読み、疑問や意見を積極的に発言できるよう準備をしてくること。期末課題は、配布された資料や文献を元に行う可能性があるので、資料を整理保管し、適宜見直しておく。

6.
その他履修上の注意事項

 家族に関連したニュースは、上記で述べた他にも、少子化対策、保育園や学童クラブ拡充、児童養護施設などの社会養護など、社会福祉に関連した項目も含み、日ごろから家族問題を多岐に渡る視点で見ていく必要がある。また情報は日々更新されていくので、積極的に新しい情報を取り込み、自分ならどう考えるか、どう対処するかと自分に問いかけ、意見を述べられるようにしておくことが望ましい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション: テキスト要旨発表と新聞雑誌記事発表の方法について
【第2回】
 第1章 ヒトの親子の特質と日本の子育て 要旨発表とディスカッション
【第3回】
 第1章についての新聞雑誌記事発表とディスカッション
【第4回】
 第2章 母親と父親 要旨発表とディスカッション
【第5回】
 第2章についての新聞雑誌記事発表とディスカッション
【第6回】
 第3章 子育ての文化と家族政策 要旨発表とディスカッション
【第7回】
 第3章についての新聞雑誌記事発表とディスカッション
【第8回】
 第4章 なぜ日本の母親に育児不安が強いのか? 要旨発表とディスカッション
【第9回】
 第4章についての新聞雑誌記事発表とミニディベート①
【第10回】
 第5章 少子化はなぜ止まらないのか 要旨発表とディスカッション
【第11回】
 第5章についての新聞雑誌記事発表とミニディベート②
【第12回】
 第6章 親としての発達 要旨発表とディスカッション
【第13回】
 第6章についての新聞雑誌記事発表とミニディベート③
【第14回】
 第7章 成人した子どもと親 要旨発表とディスカッション
【第15回】
 第7章についての新聞雑誌記事発表 前期のまとめと期末課題の配布