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授業の概要(ねらい) |
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精神(こころ)と呼ばれるものは、言語を含む行動や、表情を含む一般状態・行動を介してのみ観察しうるものです。ここでは、脳の機能(こころのはたらき)を、薬物効果を介して探る一方、薬物の作用機序を、行動効果を含む様々な効果を通して探る学問領域である精神薬理学(行動薬理学)について紹介します。こころのはたらきに影響を与える物質(向精神物質)は、治療薬として広く用いられているほか、酒、たばこ、茶などの嗜好品を介して日常的に摂取され、また乱用など社会的問題を生じるものもあります。本講義ではまず、この分野の歴史と薬理学の基礎を概説した後、痛みや不安、うつについての動物モデルや最新の知見を紹介し、たとえば抗不安薬で軽減される不安とは何か、など、薬物効果を通してみたこころのはたらきについて考えます。
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2. |
授業の到達目標 |
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われわれが日常的に接しているくすりの作用についての理解を深めるとともに、こころのはたらきを捉える方法論について学びます。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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試験成績で評価しますが、出席状況や質疑内容も考慮します。出席回数5回以下の者には理由の如何を問わず単位を与えません。詳細は第1回講義で説明します。
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4. |
教科書・参考書 |
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参考文献は講義内で紹介します。講義はスライドに沿って行いますが、スライドはキイとなるもののみ配布します。
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準備学修の内容 |
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嗜好品を含め、自分の身の回りにある化学物質が自分やひとのこころにどのような影響を与えているのかを観察し、授業内容をフィードバックしつつ、そのしくみを考える癖をつけてください。
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その他履修上の注意事項 |
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薬物名など細部を覚える必要はありません。「ストーリー」(話の筋道、論理展開)を追い、理解すること、またそのためのキイワード・概念を把握する努力をしてください。積極的な質問・討論を歓迎します。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | イントロダクション: 講義の内容、くすりとは何か | 【第2回】 | こころに働くくすり~精神薬理学(行動薬理学)の歴史Ⅰ | 【第3回】 | こころに働くくすり~精神薬理学(行動薬理学)の歴史Ⅱ | 【第4回】 | 薬理学の基礎 1)薬物の生体内運命(薬物動態学)・薬効強度修飾要因 | 【第5回】 | 薬理学の基礎 2)用量による効果~生体内情報伝達・薬物の作用点 | 【第6回】 | 薬理学の基礎 3)薬効強度規定要因 | 【第7回】 | 薬理学の基礎 4)薬物反復投与による効果:耐性 | 【第8回】 | 薬理学の基礎 5)薬物反復投与による効果:逆耐性 | 【第9回】 | 薬理学の基礎 6)時間薬理学・老人薬理学 | 【第10回】 | 痛覚 1)鎮痛薬・痛みの神経回路 | 【第11回】 | 痛覚 2)測定法、鎮痛薬の効果 | 【第12回】 | 不安 1)不安とは何か~抗不安効果の検定法(不安の動物モデル)1 | 【第13回】 | 不安 2)抗不安効果の検定法(不安の動物モデル)2 | 【第14回】 | 不安 3)抗不安効果の検定法 不安惹起物質の弁別 | 【第15回】 | まとめ:何を学んだのか |
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