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授業の概要(ねらい) |
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私たちを取り巻く物理的環境と私たちの「こころ」が感じとる主観的な知覚世界の間には大きな違いがあります。私たちはどのようにして自身を含めた環境を理解しているのでしょう。 五感といわれる視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚は、いずれも最初の処理段階で一旦 徹底的にバラバラの情報にされ、脳でもう一度統合されます。私たちは、脳で再統合された結果を現実と思っているのです。多くの人が、意識せずに見たり聞いたりしているので、知覚をこころの働きとは気付かず、誰もが何時でも同じものを見たり聞いたりしていると思いがちです。しかし、外的環境の変化や注意・ストレス、さらには成育環境によって感じ方は異なり、知覚は一定・一様ではありません。 知覚心理学Ⅰ・Ⅱでは、感覚器から脳までの解剖生理学的基盤とそこから生まれた知覚特性を理解し、ヒトが獲得した知覚方略と多様性のすばらしさを学んでいきます。
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2. |
授業の到達目標 |
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存在することを当たり前のように思っているヒトの知覚、その成り立ちや特性について認識を新たにし、その素晴らしさを事実に基づいて説明できる。
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成績評価の方法および基準 |
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試験成績・出席状況等を合わせて、学期末に総合的に評価する。
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教科書・参考書 |
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教科書は特に指定しない。授業時に必要に応じてプリントを配付する。 参考図書 『知覚と認知(現代心理学シリーズ)』八木昭宏 著(培風館) 『新編 感覚・知覚心理学ハンドブック』大山正、和氣典二、菊地正、今井省吾 編集(誠信書房)
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準備学修の内容 |
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関連する図書を積極的に読むことを期待する。
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その他履修上の注意事項 |
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学習意欲のある熱心な学生の参加を期待する。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | 視覚 生理学的基盤(感覚器・伝導路・脳)について講述する。 | 【第2回】 | 視覚 明暗の知覚、側方抑制について講述する。 | 【第3回】 | 視覚 色の知覚について講述する。 | 【第4回】 | 視覚 視力および空間周波数特性について講述する。 | 【第5回】 | 視覚 形の知覚、大きさの知覚、図地分離、主観的輪郭などについて講述する。 | 【第6回】 | 視覚 視野について講述する。 | 【第7回】 | 視覚 単眼奥行き知覚について講述する。 | 【第8回】 | 視覚 両眼立体視について講述する。 | 【第9回】 | 視覚 運動視および運動錯視について講述する。 | 【第10回】 | 視覚 時間感覚、ちらつき融合頻度について講述する。 | 【第11回】 | 知覚に影響を与える因子と現象(変化の見落とし、マガーク効果など)について講述する。 | 【第12回】 | 測定1 閾値、弁別、Weber-Fechnerの法則について講述する。 | 【第13回】 | 測定2 知覚の計測方法(調整法・極限法・恒常法・上下法)と 測定上の留意点(盲検法・系列位置効果・順序効果など)について講述する。 | 【第14回】 | 知覚障害の援助および人工知覚について講述する。 | 【第15回】 | まとめ、講義内容に関する質疑・応答を行う。 |
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