Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
応用行動分析学 望月 要
選択  2単位
【心理】 17-1-1360-0533-03

1. 授業の概要(ねらい)

 応用行動分析学(Applied Behavior Analysis: ABA)は,実験行動分析学の応用分野であり,実験行動分析学の哲学である徹底的行動主義(radical behaviorism)と,実験行動分析学が明らかにした行動の原理を人間生活に応用し,様々な問題を解決しようとするものである。その応用範囲は,臨床心理学をはじめ,発達障害,精神疾患,教育,特別支援教育,リハビリテーション,コミュニティ心理学,ビジネス,産業,ヒューマンサービス,育児,セルフマネージメント,スポーツ,アニマルトレーニング,健康問題,高齢者支援におよび,どの領域でも確実な成果を挙げている。

2.
授業の到達目標

 応用行動分析学の基本的手法と行動介入法を説明できる。

3.
成績評価の方法および基準

 学期末試験の成績のみで成績を決める。試験には所定の持ち込み用紙だけの持ち込みを認め,持ち込み用紙の内容30点,事前予告問題20点を含め,100点満点で評価する。配布資料,参考書類の持ち込みは認めない。

4.
教科書・参考書

 テキストは使用しない。以下の書籍は,応用行動分析学に対する理解を深める上で役立つであろう。
  ミルテンバーガーR.G. 園山繁樹・野呂文行・渡部匡隆・大石幸二(訳)(2006)。『行動変容法入門』二瓶社
  大河内浩人・武藤 崇(編)(2007)。『行動分析』ミネルヴァ書房
  山本淳一・加藤哲文(編著)(1997)。『応用行動分析学入門:障害児者のコミュニケーション行動の実現を目指す』学苑社
  島宗 理(2004)。『インストラクショナルデザイン』 米田出版
  シュリンガーH.D.Jr. 園山繁樹・根ヶ山俊介・山根正夫・大野裕史(訳)(1998)。『行動分析学から見た子どもの発達』二瓶社
  山本淳一・池田聡子(編)(2005)。『応用行動分析で特別支援教育が変わる:子どもへの指導方略を見つける方程式』
  ナイR.D. 河合伊六(訳)(1995)。『臨床心理学の源流:フロイト・スキナー・ロージャズ』二瓶社

5.
準備学修の内容

 ・毎回の講義で取り上げる話題について,基本的専門用語の定義を予習しておく。
 ・授業後は,毎回ノートを整理し,参考文献等を参照しつつ講義内容を十分に理解すること。

6.
その他履修上の注意事項

 応用行動分析学を理解するには,実験行動分析学と理論行動分析学の知識が必要不可欠である。『条件づけの理論と応用』,『学習心理学基礎論』を併せて履修することが望ましい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 授業方針の説明,参考書籍の紹介
【第2回】
 実験行動分析学の基本(1):医学モデルの否定,行動の基本単位と随伴性
【第3回】
 実験行動分析学の基本(2):基本的な強化随伴性
【第4回】
 研究デザイン(1):反転法, 多層ベースライン法,データの可視化
【第5回】
 研究デザイン(2):データの可視化と評価
【第6回】
 行動観察記録法
【第7回】
 行動を増やす技法(1):正の強化・負の強化
【第8回】
 行動を増やす技法(2):確立操作と行動の維持
【第9回】
 行動を増やす技法(3):条件性強化子とトークン
【第10回】
 行動を増やす技法(4):反応形成と行動連鎖
【第11回】
 行動を減らす技法(1):消去と罰,随伴性分析
【第12回】
 行動を減らす技法(2):他行動分化強化
【第13回】
 行動を減らす技法(3):タイムアウト,レスポンス・コスト
【第14回】
 弁別刺激による行動の制御: 般化,プロンプト,教示
【第15回】
 情動の制御:レスポンデント条件づけによる恐怖・不安の軽減