Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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超域表象論特講 II 石橋 正孝
選択  2単位
【超域文化専攻】 17-1-1410-1640-12

1. 授業の概要(ねらい)

 「表象=representation」という言葉の意味について考えてもらいながら、現代的文学理論を英語を通して理解し、とりわけ記号論を中心に実際にテクスト分析ができるようになってもらいます。
 「表象」という、作品を消費する側の関わりが重要な議論において、記号論的分析という、作品分析に受け手・読み手を想定しない静態モデルの紹介に重点を置くのは、分析の基礎を重視するためです。また理論の紹介と同時進行で、毎回なんらかの表象の分析・発表を可能な限り英語で行ってもらいますが、分析対象とするテーマは、学生の主体的選択に委ねます。

2.
授業の到達目標

 授業の目的は、地域を越えた多様な表象文化に対して、英語を通して理解を深めるよう、文学分野でのしっかりした理論的基礎を前提とした客観的で視野の広い分析力を養成することと、平易なことを難解に語るのではなく、難解なことをわかりやすく言えるような、骨太の表現力を養成してもらうことです。
 現代文学の理論を紹介していきますが、まず理論ありきではなくて、英語を通して自分で感じ、判断し、表現するものが、学術的にはどのような潮流に位置するのかを理解して、知識・理論の共時的構造化ができるようなることを目指しています。

3.
成績評価の方法および基準

 レポート30%、発表30%と授業、とりわけ議論への参加度40%によって評価します。

4.
教科書・参考書

 テキストG. ジュネット『物語のディスクール』(叢書記号学的実践 (2))、諏訪裕『ナラトロジーの理論と実践』(近代文芸社)、その他適宜授業内で指示・配布します。英訳はこちらで用意・配布します。

5.
準備学修の内容

 使用テキストの発表を行ってもらいますが、他人の発表の時にも、指定テクストは読んでいることが前提となります。

6.
その他履修上の注意事項

 授業への積極的な参加を求めます。少人数制のクラスですが、欠席の多い学生には単位を出しません。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 講義内容の概要、発表分担。
【第2回】
 R. ヤーコブソン『詩学から言語学へ』を読み、詩的(文学的)言語について理解する。
【第3回】
 R. バルト『S/Z』を読み、構造分析を理解する。
【第4回】
 分析ツールを身につける。G. ジュネット『物語のディスクール』(1)語りの種類
【第5回】
 G. ジュネット『物語のディスクール』(2)時間の種類
【第6回】
 G. ジュネット『物語のディスクール』(3)叙法の種類
【第7回】
 G. ジュネット『物語のディスクール』(4)態の種類
【第8回】
 レポートテーマ中間発表精神分析
【第9回】
 T. ゴーチェ短編分析(1)。T.トドロフ『幻想文学論序説』を読む。
【第10回】
 T. ゴーチェ短編分析(2)。分析ツールを用いて実際に分析する。
【第11回】
 精神分析(1)文学と精神分析の関わり。S. フロイト、C. ユング、J.ラカンの紹介。
【第12回】
 精神分析(2)G. バシュラール 『火の精神分析』を読む。
【第13回】
 文学の社会学 M. バフチンのカーニヴァル文学とF. ラブレーの身体表象。
【第14回】
 ポスト・モダンといわれる潮流とその内包する問題。M. フーコー、J. デリダ、J. ボードリヤール、及び現代思想の問題について。A. ソーカル、『知の欺瞞』の紹介。
【第15回】
 レポート発表、総括。