Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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欧米文化 I - II 上田 仁志
【Ⅲ】  2単位
【Ⅲ 歴史と文化を学ぶ】 17-1-1501-0078-04

1. 授業の概要(ねらい)

 【短編小説に見るイギリス】
 短編小説を素材にイギリスの歴史・社会・文化を学ぶ授業です。本セメスターでは、イギリスやアイルランドの文学史の流れをたどり、各時代の作家・作品の特色や社会背景を知るとともに、いくつかの短編小説をじっくりと読み味わうことで、そこに描かれたイギリスの社会や文化の一端を感性的に把握する力を養います。イギリス文学史で、短編小説が大きな発展をとげるのは十九世紀末のワイルド、キプリング、コンラッドの頃です。二十世紀に入ると、モーム、ロレンス、ジョイス、マンスフィールドらが登場し、ハクスリー、ボウエン、グリーンらが続き、第二次世界大戦後は、スパーク、レッシング、シリトー、トレヴァーらが活躍します。これらの小説家の作品の中には、伝統を重んじる一方で革新的な面を示すイギリスの社会と文化が息づいています。本セメスターでは、小説に描かれた「家族のかたち」にも注目します。授業は講義形式に終始するのではなく、参加者による文章作成や意見発表を交えて進めます。自分の意見を述べるためには予習が欠かせません。参加者は授業前課題をきちんと行うことが求められます。なお、取り上げる作家・作品は変更することがあります。

2.
授業の到達目標

 1.文学作品を読み、知らない言葉や事項について調べる習慣を身につける。
 2.文献や資料に基づき、作家の生涯や作品の時代背景について説明できる。
 3.作品のテーマや表現技巧を的確に説明できる。
 4.作品について、根拠を示して、自分の意見や考えを表現できる。

3.
成績評価の方法および基準

 1.全15回の授業中10回以上の出席を成績評価のための必要最低条件とします。出席はカードリーダーの記録となります。
 2.成績評価は、平常点(課題等の提出物や意見発表)50%、中間・期末テスト50%を目安とし、総合的に判定します。

4.
教科書・参考書

 テキストは配布します。参考文献は、『20世紀イギリス短篇選』岩波文庫、『イギリス短篇24』集英社など。

5.
準備学修の内容

 配布教材の予習を義務とします。
 1.教材(作品)を通読する。
 2.教材(作品)に出てくる知らない言葉や事項を調べる。
 3.教材(作品)を要約(いつ、どこで、誰が、どうした、なぜ)する。
 4.教材(作品)の要点・疑問点を箇条書きにする。

6.
その他履修上の注意事項

 1.オリエンテーションを含む第1回目の授業は重要です。必ず第1回目の授業から出席してください。
 2.出席は「完全カードリーダー制」です。入室時と退室時に学生証をカードリーダーに当てて読み取らせてください。学生証忘れや学生証の当て忘れにはくれぐれも注意してください。
 3.忌引きを含む公欠については、指定の手続きをした場合に限り、通常の出席として認定します。
 4.開始時刻から10分を過ぎた入室は遅刻になります。遅刻は3回ごとに欠席1回としてカウントします。
 5.交通機関の遅延などの不可抗力による遅刻については、授業時にその旨を申し出た上で、指定の手続きをした場合に限り、通常の出席として認定します。
 6.授業中の私語やスマートフォンなどの操作、居眠り、無断で教室に出入りする、その他、授業の効果を妨げる一切の行為は厳禁です。注意しても改善が見られない場合は出席としてみとめません。
 7.状況により、座席を指定する場合があります。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 オリエンテーション(履修上の注意、成績評価方法)
 イギリス文学史における短編小説の流れ(二十世紀初頭まで):ディケンズ、コリンズ、ハーディ、スティーヴンソン、ワイルド、キプリング、コンラッド、ドイル、ウェルズ
【第2回】
 1910~20年代(1)
 短編小説とストーリー性:サキとS・モームを中心に
【第3回】
 1910~20年代(2)
 D・H・ロレンスの短編を読む:短編集『プロシア士官その他』(1914)より
【第4回】
 1910~20年代(3)
 J・ジョイスの短編を読む:短編集『ダブリンの人びと』(1914)より
【第5回】
 1910~20年代(4)
 K・マンスフィールドの短編を読む:短編集『園遊会その他』(1922)より
【第6回】
 1930年代(1)
 モダニズムの実験から政治の季節へ:G・オーウェルを中心に
【第7回】
 1930年代(2)
 G・グリーンの短編を読む:短編集『二十一の短篇』(1954)より
【第8回】
 秋期前半の授業内容のまとめ/中間テスト
【第9回】
 1940~50年代(1)
 第二次世界大戦後のイギリス小説:W・ウィルソン、M・ラウリー、W・ゴールディング、L・ダレル
【第10回】
 1940~50年代(2)
 D・レッシングの短編を読む:短編集『愛の習慣』(1957)より
【第11回】
 1940~50年代(3)
 M・スパークの短編を読む:短編集『立ち去れ鳥』(1958)より
【第12回】
 1940~50年代(4)
 A・シリトーの短編を読む:短編集『長距離走者の孤独』(1958)より
【第13回】
 1960~80年代(1)
 イギリスのポストモダン小説:J・ファウルズ、A・バージェス、I・マキューアン、K・イシグロ
【第14回】
 1960~80年代(2)
 W・トレヴァーの短編を読む:短編集『雨上がり』(1996)より
【第15回】
 秋期授業内容のまとめ/テスト