Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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人間学基礎セミナー II 宇多 浩
【Ⅱ】  2単位
【Ⅱ 人の心と思想を学ぶ】 17-1-1501-0738-08

1. 授業の概要(ねらい)

 このセミナーでは、人間存在に関わるさまざまな文献を読みながら、人間存在のあり方を深く考えることを目標としています。使用する文献は、西洋哲学の文献から、小説、エッセイまで幅広く扱います。これらの文献をひも解きつつ、「人間の存在(人間が生きること)」とはどのようなことなのか、について深く考えていくことを目指したいと思います。
 後期のセミナーⅡでは、「生老病死を生きる人間」をテーマとし、人々が病いや障害、死に直面したときに、どのように生きるのか(生きるべきなのか)といった問題について、さまざまな文献に即しながら考察していく予定です。
 前期同様、ほぼ毎回、配布したプリントを各自で読み解き、まとめる作業が中心になります。授業外での作業も必要になりますので、注意してください。また授業の最後には、扱った文献から1冊を選び、自分でレポートを作成することを課題とします。

2.
授業の到達目標

 ・人間の「生老病死」に関わるさまざまな文献を読み、そのエッセンスを自分の言葉でまとめることができる。
 ・人間の「生老病死」に関わる文献を読み、それを踏まえながら、人間の存在について深く考察することができる。

3.
成績評価の方法および基準

 ・平常点(約50%)、レポート(約50%)
 ・平常点は、ほぼ毎回作成するワークシートの出来によって評価する。
 ・レポートは提示した評価基準に従って厳正に評価する。
 ・セミナーは出席して課題をこなすことが重要ですので、欠席が5回を超えた学生は失格扱いとする。その場合、たとえレポートを提出しても、評価対象外となる。

4.
教科書・参考書

 ・参考文献の一覧は授業のはじめに配布します。

5.
準備学修の内容

 上記のように、この授業ではほぼ毎回、文献(おもに日本語テキストの抜粋)を読んでまとめることが求められます。作業は授業中に行うこともありますが、基本的には自宅にて行うこととなります。またレポート作成時には、文献を1冊選んで、自分で通読することが必要になります。

6.
その他履修上の注意事項

 後期のセミナーでは、哲学の文献だけでなく、エッセイや小説なども幅広く取り入れたいと思います。目指したいのは、「生老病死」を生きる人間のさまざまな生きざまを追体験することで、人間のあり方を深く考えることです。しかし、そのためには自分とは異なる世界を生きる他者を想像し、謙虚に深く考える力が必要になります。このような作業に関心のある方の受講を希望しています。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス、セミナーの進め方について
【第2回】
 病いと人間(1) 病いとは人間にとってどのようなものか、について科学的な観点と哲学的(実存的)な観点とを比較しながら考察する。
【第3回】
 病いと人間(2) オリヴァー・サックスの『火星の人類学者』(抜粋)を読みながら、「病いを生きること」の意味について考える。
【第4回】
 病いの意味(1) スーザン・ソンタグの『隠喩としての病い』(抜粋)を読みながら、病いのもつ文化的な意味について考察する。
【第5回】
 病いの意味(2) 元ハンセン病患者についてのビデオを視聴しながら、障害を生きることの意味について考える。(VTRを使用)
【第6回】
 病いの意味(3) ナンシー・メアーズの『車椅子の高さで』(抜粋)を読みながら、「障害を生きること」の意味についてさらに考える。
【第7回】
 病いの意味(4) 引き続き、ナンシー・メアーズの『車椅子の高さで』(抜粋)を読みながら、障害を生きることの意味について考える。
【第8回】
 死の問題(1) フィリップ・アリエスの『死と歴史』(抜粋)を読みながら、死のタブー化、死の孤独化の問題について考える。
【第9回】
 死の問題(2) 死に直面した人間の孤独について、ビデオを視聴しながら考える。(VTRを使用)
【第10回】
 死の問題(3) トルストイの『イワン・イリッチの死』(抜粋)を読みながら、死に直面した人間の実存的苦悩について考える。
【第11回】
 死の問題(4) 引き続き、『イワン・イリッチの死』を読みながら、死に直面した人間の実存的苦悩について考える。
【第12回】
 死の問題(5) ハイデガーの『存在と時間』(抜粋)を読みながら、実存論的な観点から見た死について考察する。
【第13回】
 死の問題(6) 森鴎外の『高瀬舟』(抜粋)を読みながら、安楽死の問題を考える。
【第14回】
 死の問題(7) 柳田邦男の『犠牲(サクリファイス)』(抜粋)を読みながら、二人称の死・三人称の死について考える。
【第15回】
 授業のまとめ、レポート作成の準備