Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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超域思想論 I 宇多 浩
選択  2単位
【外国語】 17-1-1501-0738-11

1. 授業の概要(ねらい)

 20世紀の後半以降、世界の各国間では経済面・政治面・文化面における相互交流が進んできましたが、この20~30年のグローバル化の進展のなかで、こうした流れはますます加速しつつあります。それに伴って、現在の世界では、貧困、格差、移民、環境問題など、もはや一国の内部では解決できない問題(いわば超域的な問題)も表面化してきました。この授業では、このような問題をテーマとし、それをさまざまな思想的な立場から考察することを目標にします。
 前期の講義では、その代表的な事例として、現代世界における貧困・格差の問題を考察します。①世界における貧困・格差の現状はどのようなものなのか、②それはどのような背景・要因によって生み出されたものなのか、③それに対して先進国に住む私たちにはいかなる責任があるのか、といった問題を考えていきます。
 その際、とりわけ「世界のグローバル化」という現象に焦点を当てていきます。現在、世界で進行している「グローバル化」とはどのような現象であり、それが世界の貧困や格差とどのように関わっているのか、という問題をさまざまな側面から考えていきます。

2.
授業の到達目標

 ・世界における貧困・格差の問題とその背景について、自分の言葉で説明することができる。
 ・世界における貧困・格差の問題に対して私たちがどのような責任をもつのか、について自分自身の見解を論理的かつ説得的に論じることができる。

3.
成績評価の方法および基準

 ・平常点(約20%)、授業内小論文(2回 約80%)によって総合的に評価する予定。
 ・平常点は、数回に1回の割合で課すワークシートの出来によって評価する。
 ・授業内小論文は2回とも受験しなければ、評価の対象とならない。どちらか1つでも受験しなかった場合、原則として失格扱いとなる。
 ・5回を超えて欠席した学生は受験資格がないものとする。受験しても原則として失格扱いとなる。

4.
教科書・参考書

 テキスト:特になし
 参考文献:馬淵浩二 『貧困の倫理学』 (平凡社新書 2015年)
      伊藤恭彦 『貧困の放置は罪なのか』 (人文書院 2010年)

5.
準備学修の内容

 ・授業の途中で課したワークシートは、自宅にて必ず行ってくること。
 ・授業の該当箇所は、関連文献を読んでおくことが望ましい。

6.
その他履修上の注意事項

 この授業では授業内小論文によって評価することとします。知識を覚えることが目標ではなく、皆さんが与えられたテーマについて、自分自身の問題として考え、自分なりの議論を展開できることが目標です。文章の書き方が分からない方は、「レポート作成講座」を受講するか、「ライフデザイン演習」のテキストを読んで、レポートの書き方を習得しておいてください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 講義の概要
【第2回】
 世界における貧困(1) 世界における貧困の現状とそれに対する国際的な取り組みについて見ていく。
【第3回】
 世界における貧困(2) 世界における貧困の背景について、いくつかの主要な要因を考察する。
【第4回】
 世界における貧困(3) 世界における貧困の背景について、とりわけグローバル化との関わりという観点から考察する。(VTRを使用)
【第5回】
 「コーヒー危機」の問題(1) アフリカにおける「コーヒー危機」の事例を取り上げながら、貧困とグローバル化との関わりについて見ていく。(VTRを使用)
【第6回】
 「コーヒー危機」の問題(2) 引き続き、「コーヒー危機」の事例を検討しながら、貧困に対する私たちの責任について考える。
【第7回】
 貧困と倫理(1) 世界における貧困の問題について、救命ボートの倫理、リバタリアニズム、近親者優先倫理の立場から検討する。
【第8回】
 貧困と倫理(2) 世界における貧困の問題について、功利主義やグローバルな正義論の立場から検討する。
【第9回】
 貧困と倫理(3) 世界における貧困の問題について、ヌスバウムのケイパビリティ・アプローチの立場から検討する。
【第10回】
 授業内小論文(第1回)
【第11回】
 格差の問題(1) 世界におけるスウェットショップの事例を取り上げながら、世界的な富の格差の現状と背景について見ていく。(VTRを使用)
【第12回】
 格差の問題(2) 引き続き、スウェットショップの事例を見ながら、格差に対する私たちの責任について考える。
【第13回】
 児童労働の問題(1) 途上国における児童労働の現状を見ながら、その背景について考察する。(VTRを使用)
【第14回】
 児童労働の問題(2) 引き続き、児童労働の背景について考察しながら、児童労働に対する私たちの責任について考える。
【第15回】
 授業内小論文(第2回)