Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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超域思想論 II 宇多 浩
選択  2単位
【外国語】 17-1-1501-0738-12

1. 授業の概要(ねらい)

 超域思想論Ⅱでは、前期に引き続き、グローバルな次元で生じる問題を思想的な観点から考察していきます。
 講義の前半では、世界のグローバル化がもたらした問題として、環境問題と工場式畜産の問題について考察します。これらの問題が示唆しているのは、自由貿易をはじめとしたグローバル化の進展が、一方で消費者の生活を豊かにしつつも、他方で社会的・環境的・健康福祉的なコストを目に見えないところで引き起こしている、という点です。こうしたグローバル化がもつ問題点を、いくつかの思想的立場から考察していきます。
 講義の後半では、現代の主要な問題の1つである移民・難民問題を考察する予定です。現在の移民・難民問題が示唆するのは、移動の自由が高まった現代において、国境を越えた責務や義務というものが存在するのか、それは共同体の利害やアイデンティティ、シティズンシップという観念とどのように関係するのか、という問題です。この問題について、いくつかの代表的な論者の立場を紹介しながら、考察していきます。

2.
授業の到達目標

 ・授業で紹介した主要な見解について、自分自身の言葉で説明することができる。
 ・授業で紹介したいくつかのテーマについて、授業の内容を踏まえながら、自分自身の見解を論理的かつ説得的に論じることができる。

3.
成績評価の方法および基準

 ・平常点(約20%)、定期試験(約40%)、授業内小論文(約40%)によって総合的に評価する。
 ・平常点は数回に1回の割合で課すワークシートの出来によって評価する。
 ・定期試験は資料等の持ち込みは認められない。
 ・2回の試験(定期試験・授業内小論文)を受験しなければ、評価の対象とならない。どちらか1つでも受験しなかった場合、原則として失格扱いとなる。
 ・5回を超えて欠席した学生は受験資格がないものとする。受験しても原則として失格扱いとなる。

4.
教科書・参考書

 テキスト:特になし。
 参考文献:R・シャブコット 『国際倫理学』(岩波書店 2012年)
      P・シンガー 『実践の倫理(新版)』(昭和堂 1999年)
      その他、毎回の授業で参考文献を紹介します。

5.
準備学修の内容

 ・授業の途中に課した課題は、自宅にて必ず行ってくること。
 ・授業の該当箇所は、関連文献を読んでおくことが望ましい。

6.
その他履修上の注意事項

 この授業は中間試験は通常の定期試験とし、期末試験は授業内小論文形式の試験とします。定期試験は資料持ち込み不可で実施します。授業内小論文はレジュメのみ持ち込み可としますが、文章の構成等を厳正に評価します。文章の書き方が分からない方は、「レポート作成講座」を受講するか、「ライフデザイン演習」のテキストを読んで、レポートの書き方を習得しておいてください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 講義の概要
【第2回】
 環境破壊とグローバル化(1) 森林資源の減少の問題を事例に挙げながら、環境破壊とグローバル化との関係について考察する。(VTRを使用)
【第3回】
 環境破壊とグローバル化(2) 引き続き、森林資源の減少の問題を事例に挙げながら、環境破壊とグローバル化との関係について考察する。
【第4回】
 工場式畜産の問題(1) 食肉の倫理的問題を考える前提として、現代における工場式畜産の現状とその背景を考察する。(VTRを使用)
【第5回】
 工場式畜産の問題(2) 引き続き、工場式畜産の背景とそれがもたらす様々な影響を見ていく。
【第6回】
 工場式畜産の問題(3) シンガーらの議論を見ながら、工場式畜産の倫理的な問題を検討する。
【第7回】
 捕鯨論争(1) 現在の国際的な問題である捕鯨論争を概観し、それを通して動物を保護することの意味について考える。(VTRを使用)
【第8回】
 捕鯨論争(2) 引き続き、現在の捕鯨論争を概観し、それを通して、動物を保護することの意味について考える。
【第9回】
 まとめと定期試験
【第10回】
 国家と宗教(1) フランスで起こった「スカーフ論争」の事例を取り上げながら、国家と宗教の多様性との関係について考察する。
【第11回】
 国家と宗教(2) 引き続き、「スカーフ論争」を確認しながら、国家と宗教の多様性との関係について考察する。
【第12回】
 移民・難民の問題(1) とりわけヨーロッパの難民問題に焦点を当てながら、移民・難民問題の現状について確認する。(VTRを使用)
【第13回】
 移民・難民の問題(2) 移民・難民の受け入れに関する問題を、おもにコスモポリタニズムの立場から考察する。
【第14回】
 移民・難民の問題(3) 移民・難民の受け入れに関する問題を、おもにコミュニタリアニズムの立場から考察する。
【第15回】
 まとめと定期試験(授業内小論文)