Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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考古学 I 平野  修
【Ⅲ】  2単位
【Ⅲ 歴史と文化を学ぶ】 17-1-1501-1963-01

1. 授業の概要(ねらい)

 ・この授業では、考古学資料の中で文字や文献史料が豊富になってきた古墳時代以降の「歴史考古学」を対象とする。
 ・取り扱う考古学資料は、都城・城柵・官衙・集落等の遺跡や、農業・窯業・製 塩・製鉄・木工・造幣等の生産遺跡とそれら遺跡に伴う遺物、そして仏教信仰や神祇信仰等の宗教関連、呪いをはじめ様々な信仰関連遺跡とその遺物など、多種多様な史資料を取扱い多角的な検討を加える。
 ・これまでの「歴史考古学」は、文献史学の補助学的な存在であったが、遺跡から出土する出土文字資料である墨書土器や木簡、漆紙文書は、現在では古代史研究に欠かせない資料となっており、今や「歴史考古学」は歴史学の一翼を担う重要な学問の一つとなっている現状を紹介する。
 ・前期では、「歴史考古学」の飛鳥時代から平安時代にわたるさまざまな考古学成果をレジュメ資料やパワーポイントを用いて講義を行う。

2.
授業の到達目標

 ・歴史考古学における基礎知識を習得し、考古学を中心として、関連諸学の研究成果も加え、広い視野で歴史を見る目を養う。
 ・私たちの身近な歴史や風土に触れることで過去に向き合い、過去に起こった事件やさまざまな出来事が、「今」に繋がっていることを他者に説明できるようにする。
 ・「地域社会と国家」という視点から歴史をを考える方法を身につける。

3.
成績評価の方法および基準

 試験(30%)、レポート課題(30%)、授業内試験(20%)、授業参画度(20%)によって評価します。

4.
教科書・参考書

 各授業ごとにレジュメを作成し配布するが、下記の参考書もあれば授業内容を理解するための手助けとなるでしょう。
 参考書:熊野正也他編 『歴史考古学を知る事典』(東京堂出版)

5.
準備学修の内容

 ・高校の授業で日本史を専攻しなかった人も旧石器時代・縄文時代~奈良時代・平安時代といった基本的な時代の流れや、専門用語の意味は、上記に示した参考図書やインターネットなどで理解しておくこと。
 ・身近な博物館施設や史跡公園等の存在を意識し、各地で開催される展覧会情報やシンポジウム、考古学報道等もチェックするように心がけること。

6.
その他履修上の注意事項

 ・生まれ故郷や、現在住んでいる身近な地域の博物館や資料館等に足を運んで、その土地土地の歴史や風土に触れること。
 ・本授業は総合基礎科目のため、1・2年生の学生を主に対象としていますが、それ以外の学年でも、歴史や考古学に関心があり、本授業にまじめに参加し、真剣に取り組もうとする学生であれば受講を認めます。
 ・質問については基本的に授業終了時に行うが、授業時にメールアドレスを開示するのでE-mailでも対応します。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 歴史考古学概論1
 考古学とは何か、本授業の目的と内容の解説を行う。
【第2回】
 古代の焼き物―考古学の時間的尺度(編年)となる様々な土器―
 [準備]古代の焼き物にはどのようなものがあるのか、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第3回】
 古代の宮都(1)―東アジアの変動と動く都の飛鳥-
 [準備]「飛鳥」の地に宮が置かれた6世紀後葉から7世紀中葉の時代とはどのような時代であったのか、下記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第4回】
 古代の宮都(2)―「日本」のデビューの象徴 藤原京と本格的律令制国家の形成を目指した平城京を考える
 [準備]「律令制」と「奈良時代」という時代について、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第5回】
 律令制下の地方社会支配―律令制国家の地方組織整備を考える―
 [準備]地方支配を進める律令国家が全国各地に設置した公的機関にはどのようなものがあるのか、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第6回】
 古代の地方官衙(1)―国府の構造と役割を考える -
 [準備]「国府」とは何か、第5回目の授業で配付した資料を読み、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第7回】
 古代の地方官衙(2)―地域社会支配の拠点施設郡家の構造とその役割-
 [準備]「郡家(郡衙)」とは何か、第5回目の授業で配付した資料を読み、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第8回】
 古代の集落(1)―庶民の活動の場である集落遺跡を考える-
 [準備]「集落」のもつ意味とは何か。上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第9回】
 古代の交通―陸上交通と水上交通とその役割を考える―
 [準備]古代の「交通」のもつ意味とは何か、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第10回】
 古代の土地開発―農地開発と牧開発からみた古代の開発を考える―
 [準備]古代人は自然とどのように向き合っていたか、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第11回】
 古代の手工業生産と流通―古代の特産物生産とその担い手―
 [準備]自然が生み出す資源を人々がいかに活用してきたか、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第12回】
 古代の信仰―仏教信仰と神祇信仰地域社会への浸透を考える
 [準備]古代の仏教信仰と神祇信仰について、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第13回】
 古代の信仰―地域社会にみる「呪い信仰」を考える
 [準備]古代の呪い信仰について、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第14回】
 出土文字資料からみた古代日本―古代日本の識字率を考える―
 [準備]発掘調査で発見される「出土文字資料」とは何か、第1回目で配付した資料を読み、上記の参考書やインターネットなどで事前に調べておくこと。
【第15回】
 本授業のまとめ
 [準備]第1~14回目の授業で配付したプリントを読んでおくこと。