1. |
授業の概要(ねらい) |
|
本講義では日本のスポーツ文化に焦点を当て、その発生および成立のメカニズムを文化人類学的に探るとともに、未来に向け我々はどのようなスポーツ文化を構築すべきかについて議論を深めてゆく。 我々は日常的にスポーツに関わっているが、日本のスポーツ文化が世界的に見てきわめて特殊な形態をとっていることについては普段なかなか気づくことができていない。日本スポーツ文化の特殊性とはすなわち精神至上主義、集団主義、鍛錬主義、厳しい上下関係の四つをさすがこれは欧米のスポーツ価値観とは正反対のものである。本講義ではこのような特殊な形がどのようにして日本に形成されたのかについて歴史的に俯瞰するとともに、その良い面と悪い点について整理し、問題点の克服にはどのようなプロセスをとることが必要かについてともに議論してゆく。特に最近話題となっている「体罰」について、その原点はどこに有りどのように広まっていったのかについて歴史的事象を追いながら明らかにするとともに、文化人類学的側面から体罰の持つ文化的意味合いについて考察を加えてゆく。最終的に現代社会においてスポーツ文化のあるべき形はどのようなものであるのかを学生諸君とともに考えてゆきたい。
|
2. |
授業の到達目標 |
|
①欧米のスポーツ文化の文化的基盤について説明することが出来る ②日本のスポーツ文化の文化的基盤について説明することが出来る ③現代におけるスポーツ文化の諸事象について文化人類学的視点で分析することが出来る
|
3. |
成績評価の方法および基準 |
|
①毎時間の小レポート50% ②期末試験50% ③遅刻、早退および授業マナー違反は一回につき5点減点
|
4. |
教科書・参考書 |
|
毎時間資料を配付する
|
5. |
準備学修の内容 |
|
①西洋近代史に関する文献を何冊か読むこと ②日本の仏教文化特に禅宗に関する文献を何冊か読むこと ③日本の近代史特に明治維新から大正期に至る日本の歴史に関する文献を何冊か読むこと。 ④毎時間予習復習を各1時間ずつ行うこと。
|
6. |
その他履修上の注意事項 |
|
①自分から進んで授業テーマに即した情報収集を行うこと ②積極的に質問や意見発表を行うこと ③授業マナーを守ること ④主体的に授業に参加すること
|
7. |
各回の授業内容 |
|
【第1回】 | 日本のスポーツ文化の特質 | 【第2回】 | 宮本武蔵の剣術と禅の思想 | 【第3回】 | 柳生新影流と禅の思想 | 【第4回】 | 近藤勇、山岡鉄舟など幕末の志士の剣術と禅の思想 | 【第5回】 | 明治期の体操の思想と日本の伝統的武士道精神 | 【第6回】 | 帝国陸海軍における身体鍛錬の思想的背景 | 【第7回】 | 嘉納治五郎と講道館柔道の思想 | 【第8回】 | 大日本武徳会が武道およびスポーツに与えた思想的影響 | 【第9回】 | 日本における野球の発展と武士道精神 | 【第10回】 | 昭和初期の軍隊における鍛錬思想―しごき、体罰、連帯責任、集団主義の源流― | 【第11回】 | 1964東京オリンピック女子バレーボール「東洋の魔女」における日本的スポーツ精神 | 【第12回】 | 1970年代スポーツアニメとスポーツドラマに見る日本のスポーツの文化的構造―伝統的日本のスポーツ精神と高度経済成長― | 【第13回】 | 1980年代のスポーツアニメとスポーツドラマに見る日本のスポーツの文化的構造―伝統的日本の精神構造の変容― | 【第14回】 | 「なぜ体罰・長時間練習はなくならないか」歪曲された武士道文化と変革期にある日本のスポーツ文化 | 【第15回】 | まとめと試験 |
|