Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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環境衛生工学 宮川 宗之
選択  2単位
【スポーツ医療】 17-1-3074-3854-03

1. 授業の概要(ねらい)

 環境衛生工学は、環境や健康に有害な化学物質等を適切に処理して環境への放出を防止し、環境を清浄に保つとともに、有害化学物質曝露による健康障害を防ぐための技術である。本講義では、化学工学的な技術の解説に重点をおくのではなく、化学物質による健康障害を未然に防止するための枠組み、すなわち化学物質のリスク管理を重点に解説する。この科目は、有害化学物質を取り扱う工場等、様々な有害因子が存在する事業場においても衛生管理業務を担当することが可能な第一種衛生管理者の資格取得の要件とされていることから、職場環境に存在する有害因子から労働者を保護するための方法が中心となる。
 注)この科目は、労働安全衛生法で定められている国の資格「第一種衛生管理者」免許の取得に必要な科目の一つである。常時50人以上を雇用する事業場では、免許を受けている等、資格を有するもの(常勤者)から「衛生管理者」を選任し、職員の衛生管理に関わる業務を担当させる必要がある。健康スポーツコースでは要件となる9科目(生理学Ⅰ、生理学Ⅱ、救急処置法、衛生学・公衆衛生学、精神医学、産業労働心理学、環境衛生工学、労働関係法令Ⅰ、労働関係法令Ⅱ)を履修すると、試験免除で免許取得が可能。学生便覧参照。

2.
授業の到達目標

 ・化学物質による健康障害リスクの評価について基本的考え方を他者に説明できる。
 ・化学物質の有害性の種類を理解し有害性情報伝達システムの概要を他者に説明できる。
 ・職場における化学物質等による健康リスクの管理について概要を他者に説明できる。

3.
成績評価の方法および基準

 評価は期末試験で行なう(100%)。化学品の有害性情報伝達システムや職場の健康障害リスク評価の基本について、知識と理解度を問う。不適切な授業態度(私語など他の学生の学習の妨げとなるような問題行動)があった場合は、確認・記録をして評価時に10点の減点をする。

4.
教科書・参考書

 参考書1:『基準値のからくり』 村上道夫・他 講談社ブルーバックス 2014
 参考書2:『労働安全衛生法のはなし(改訂版)』 畠中信夫 中災防新書 2006
 参考書3:『やさしい化学物質のリスクアセスメント』 沼野雄志 中央労働災害防止協会 2015

5.
準備学修の内容

 大学のウェッブファイルサーバーで配付する授業資料をダウンロードして予習・復習すること。授業全体をカバーする教科書はないので配付する資料(パワーポイント)に目を通しておき、不明な点は授業中に質問すること。これらの準備・学習には毎回60分程度の時間が必要と考える。試験前には配付資料をよく読み復習するとともに、憶えておくべき次項は確実に修得すること。衛生管理者免許を取得しようとする場合は上記参考書を購入し通読しておくことが望ましい。

6.
その他履修上の注意事項

 化学物質による健康問題について常に関心を持つよう努めること。衛生管理者免許取得を希望しない者にも一定の知識の修得と化学物質による健康障害防止についての基本的な考え方を理解することを求める。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 衛生工学とは:地域や職場で人々の健康をまもるための工学的対策の概容について学ぶ。
【第2回】
 職場における有害因子と職業病:職業性疾病の歴史と現状について学ぶ。
【第3回】
 化学物質の危険有害性:化学物質の危険有害性の種類について学ぶ。
【第4回】
 毒性発現と曝露レベル;量-影響関係・閾値等について学ぶ。
【第5回】
 リスクとその管理:基本的な考え方と曝露限界値設定の手順について学ぶ。
【第6回】
 化学物質のリスク評価1:国が実施するリスク評価について学ぶ。
【第7回】
 化学物質のリスク評価2:事業者が実施するリスク評価について学ぶ。
【第8回】
 危険有害性情報の伝達(GHS)1:急性の影響に関わる次項について学ぶ。
【第9回】
 危険有害性情報の伝達(GHS)2:慢性の影響に関わる事項について学ぶ。
【第10回】
 危険有害性情報の伝達(GHS)3:混合物に関わる事項について学ぶ。
【第11回】
 物理因子によるリスク1:暑熱・寒冷、騒音と難聴、振動障害について学ぶ。
【第12回】
 物理因子によるリスク2:電磁場、有害光線、電離放射線について学ぶ。
【第13回】
 作業環境の測定と評価1:測定デザインと測定法の基礎について学ぶ。
【第14回】
 作業環境の測定と評価2:管理区分の決定と対策について学ぶ。
【第15回】
 復習とまとめ