Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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スポーツ医学 II 小川 佳子
必修  2単位
【スポーツ医療】 17-1-3074-4448-03

1. 授業の概要(ねらい)

 スポーツは、健康によい効果をたくさん持っているが、その一方で、スポーツによる突然死や熱中症、ケガや故障など、健康を害する要素も含んでいる。これらのスポーツが心身に及ぼす影響は、年齢や性別、体力レベルや健康状態などによる個人差が大きく、環境条件にも左右される。したがって、スポーツを実践したり指導したりする際には、個人差や環境条件がスポーツに及ぼす影響について理解しておく必要がある。また、安全にスポーツを行うために、スポーツに関連した病気やケガなどが生じた場合の対応法や予防策、アスリートやスポーツ実施者の健康管理、アンチ・ドーピングについても知っておかなければならない。
 そこで、本授業では、疾病、年齢、性別、メンタルヘルスとスポーツとの関係、特殊環境下でのスポーツ、スポーツ障害とメディカルチェック、救急処置、アンチ・ドーピングなど、スポーツ医学の実践的領域について講義形式で学ぶ。

2.
授業の到達目標

①代謝性疾患の運動療法について説明できる。
②スポーツ実施者の栄養摂取法について説明できる。
③女性アスリートのスポーツ障害について説明できる。
④年齢(子ども、高齢者)とスポーツ活動との関連について説明できる。
⑤アスリートに多い精神障害について説明できる。
⑥内科的・外科的スポーツ障害ついて説明できる。
⑦コンディショニング手法とスポーツ障害に対する救急処置について説明できる。
⑧アンチ・ドーピングについて説明できる。

3.
成績評価の方法および基準

期末試験(70%)、授業内またはインターネット(LMS)を利用した課題(30%)で評価する。
なお、授業には全て出席することが前提であり、出席が3分の2に満たない場合は評価対象外とする。

4.
教科書・参考書

教科書(授業で使用し購入が必須のもの)は指定しない。
参考図書:
『はじめて学ぶ 健康・スポーツ科学シリーズ8 スポーツ医学【内科】』赤間高雄編(化学同人)
『スポーツ医学入門』目崎登著(文光堂)
『スポーツ指導者のためのスポーツ医学(改訂第2版)』小出清一ほか編(南江堂)
『公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第4巻 健康管理とスポーツ医学』日本体育協会
『公認スポーツ指導者養成テキスト共通科目Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』日本体育協会

5.
準備学修の内容

1回の授業あたり2時間程度の予習および復習が必要である。
①スポーツ医学Ⅰの内容について復習しておく。
②授業前にインターネット(LMS)上にアップロードされた講義資料に目を通しておくこと。また、参考図書の関連する部分も通読しておくことが望ましい。
③授業後には、講義資料や参考図書などを使って十分に復習すること。

6.
その他履修上の注意事項

①講義資料は各自でインターネット(LMS)上から事前にダウンロードし、講義に持参すること。講義時の紙媒体での配布は行わない。
②授業中の私語など授業の妨げとなるような行為は厳禁である。
③わからないことは積極的に質問し、わからないままにしておかないようにすること。

7.
各回の授業内容
【第1回】
スポーツ医学概論
スポーツ医学Ⅱの内容について概説し、スポーツ医学Ⅰで学んだ基礎的事項について復習する。
【第2回】
内分泌と代謝の運動生理とトレーニング効果/代謝性疾患の運動療法
内分泌と代謝の運動による変化とトレーニング効果を学ぶ。また、代表的な代謝性疾患(肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症)の病態と運動の治療的効果について学ぶ。
【第3回】
運動と栄養・食事・飲料
五大栄養素についての基礎的事項(役割、消化と吸収、必要量など)を学ぶ。さらに、運動時の栄養摂取法、アスリートの健康維持におけるサプリメントや食事など、栄養・食事・飲料に関する応用的事項について学ぶ。
【第4回】
女性とスポーツ
女性のからだと月経周期の基礎、女性アスリートの三主徴(エネルギー不足・視床下部性無月経・骨粗鬆症)とコンディションについて学ぶ。また、妊婦スポーツと更年期・老年期のスポーツについても学ぶ。
【第5回】
運動と年齢(その1:子どもの運動)
子どものからだの特徴、発育期の運動とその注意点、子どもに生じやすい障害や外傷について学ぶ。
【第6回】
運動と年齢(その2:高齢者の運動)
高齢者のからだの特徴と健康問題の特殊性、高齢者向けの運動やその注意点について学ぶ。
【第7回】
メンタルヘルスと運動
運動が精神や精神疾患に及ぼす影響、スポーツ心理学について学ぶ。
【第8回】
内科的障害と予防(その1:基礎編)
運動による急性および慢性の内科的障害(突然死、熱中症、スポーツ貧血、オーバートレーニングなど)の発生機序とその予防および対処法について学ぶ。
【第9回】
内科的障害と予防(その2:応用編)
特殊環境下でのトレーニングや負荷をかけるトレーニングでの内科的障害について学ぶ。
【第10回】
内科的障害と予防(その3:メディカルチェック)
運動による内科的障害を予防するためのメディカルチェックの必要性とその内容について学ぶ。
【第11回】
外科的損傷と予防(その1:頭部、頚部、上肢、体幹)
運動による頭部、頚部、上肢および体幹の急性損傷と慢性障害の発生機序とその予防および対処法について学ぶ。
【第12回】
外科的損傷と予防(その2:腰部、下肢)
運動による腰部および下肢の急性損傷と慢性障害の発生機序とその予防および対処法について学ぶ。
【第13回】
外科的損傷と予防(その3:メディカルチェックとアスレティックリハビリテーション)
運動による外科的損傷を予防するためのメディカルチェックの必要性とその内容について学ぶ。また、運動により生じた外科的損傷からスポーツ復帰に向けてのアスレティックリハビリテーションとそのトレーニング計画について学ぶ。
【第14回】
コンディショニングの手法と運動現場での救急処置
スポーツ現場で行われているコンディショニングの手法(ストレッチング、テーピング、アイシング、スポーツマッサージ)について学ぶ。また、心肺蘇生法および各種外傷の応急処置(RICE処置)を学ぶ。
【第15回】
アンチ・ドーピング
ドーピングの現状とドーピングコントロールについて学ぶ。