Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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基本文献研究 II 木村 康平
選択  2単位
【日本文化】 17-2-2110-0181-02

1. 授業の概要(ねらい)

 古事記を読みます。
 古事記は和銅5年(712)に成立したと、その序文にしるされる、わが国に現存する最古の書物です。上・中・下の3巻からなり、上巻は世界の始まりからカムヤマトイハレビコノミコト(神武天皇)の誕生までの神代、中巻は神武天皇から応神天皇までの、神と人の中つ代、下巻は仁徳天皇から推古天皇までの人代を語り、推古天皇までを古代とする歴史認識のもとに編まれています。
 天皇王権の由来と正統性を、神話に規範を仰ぎつつ説くもので、中巻には神武東征やヤマトタケノミコトの全国征旅など、王権の確立を語る物語が置かれています。一方で、サホビコ・サホビメきょうだいの叛乱伝承など、王権に抗して倒れた人々の物語をもしるし、その悲劇性が古事記の豊かな文学性のみなもとともなっています。また、下巻には儒教的君子仁徳天皇を先立てて、人の代の、国の統治のあり方が、多くの恋物語に絡めて語られています。
 秋期は主に中・下巻を読みます。

2.
授業の到達目標

 古代文学に親しみをもつことができる、神話や古代の物語の方法や主題について、その初歩を理解することができる、古代の文学や歴史について基本的な知識をもつことができる、以上を目標とします。

3.
成績評価の方法および基準

 期末試験(50%)と平常点(出席状況・コメントシート・小レポートなど。50%)をあわせて評価します。

4.
教科書・参考書

 テキスト:プリントを用意します。
 参考文献:『古事記とはなにか』(神野志隆光、講談社学術文庫)など、授業時に紹介します。

5.
準備学修の内容

 ・授業後、復習をすること。
 ・授業時に紹介した参考書を読むこと。
 ・自分なりに疑問を立てることが大切です。また、その疑問をもとに発展的に学習すること。

6.
その他履修上の注意事項

 出席することが大切です。また、授業マナーを守るようにしましょう。スマホは仕舞うこと。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 古事記概説・大国主神の国作り(国を作るとは、どのような意味か)
【第2回】
 国譲りの神話(出雲と高天の原―世界の覇権を争う)
【第3回】
 天孫降臨神話(天降る神々―天皇が国を統治することの根拠とは)
【第4回】
 天皇の死の起源(食べ物として、石とバナナのどちらを選ぶか)
【第5回】
 海幸彦・山幸彦①(天皇の権威は山海に及ぶ)
【第6回】
 海幸彦・山幸彦②(隼人の服属と王権)
【第7回】
 神武東征①(神は外部より訪れる)
【第8回】
 神武東征②(東征と天孫降臨の関係とは)
【第9回】
 三輪山の神話(カミとは、どのような存在か)
【第10回】
 ヤマトタケルの物語①(ヲウスノミコトの兄殺し―暴力と天皇統治の理念の関係)
【第11回】
 ヤマトタケルの物語②(クマソタケル討伐―少年英雄の物語)
【第12回】
 ヤマトタケルの物語③(父に疎まれる子の悲しみ)
【第13回】
 ヤマトタケルの物語④(望郷と死、白鳥と化す皇子)
【第14回】
 古事記下巻の世界①(父を殺され、母を奪われたマヨワ王の復讐)
【第15回】
 古事記下巻の世界②(雄略天皇の時代)