Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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日本文化講読(古典文学A) II 木村 康平
選択  2単位
【日本文化】 17-2-2110-0181-06

1. 授業の概要(ねらい)

 万葉集を読みます。
 万葉集は年代の判明するところでは、およそ舒明朝(629~641)から淳仁朝の天平宝字3年(759)までの約130年間の歌を集めた、我が国に現存する最古の和歌集です。この間には大化改新・壬申の乱・大宝律令の制定・奈良遷都・大仏開眼など、さまざまな歴史的事件が相次いで起こりました。万葉集には、そうした時代を背景として生みなされた人々の哀歓が歌い込められています。また、それらの歌を読むことによって、当時の人々の暮らしぶりや文化をうかがい知ることができます。
 古文はどうも苦手だという人にも分かりやすい授業を心がけます。

2.
授業の到達目標

 万葉集の基礎的事項について説明することができる。古代の人々の思想や信仰などについて理解し、説明することができる。

3.
成績評価の方法および基準

 期末試験(50%)と、平常点(出席状況・コメントシート・短歌クイズ・小レポートなど。50%)をあわせて評価します。

4.
教科書・参考書

 テキスト:プリントを用意します。
 参考文献:『柿本人麻呂』(稲岡耕二、集英社)・『柿本人麻呂《全》』(橋本達雄編、笠間書院)・『セミナー万葉集の歌人と作品』全巻(和泉書院)・『萬葉集全注』(有斐閣)など。このほか、授業時に紹介します。

5.
準備学修の内容

 ・配付するプリントを授業のあとでよく読みかえすこと。
 ・授業時に紹介する参考文献に目をとおすこと。
 ・自ら疑問を立てて、それについて発展的に考えること。

6.
その他履修上の注意事項

 出席することがたいせつです。試験だけでは単位を取得できません。また、遅刻をしないこと。授業のマナーを守ること。授業時のスマホの使用は不可。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 万葉集概説
【第2回】
 柿本人麻呂①(王権の讃美と悲傷)
【第3回】
 柿本人麻呂②(都と鄙を結ぶ愛)
【第4回】
 柿本人麻呂③(妻との死別1―逢いそめて間もない妻の死)
【第5回】
 柿本人麻呂④(妻との死別2―幼子を抱いて途方に暮れる若い父親)
【第6回】
 柿本人麻呂⑤(人麻呂歌集・日本語の新しい表記法)
【第7回】
 高市黒人と長意吉麻呂(旅の詩人と、歌の道化者)
【第8回】
 山部赤人(聖武天皇の登場と宮廷歌人の活躍)
【第9回】
 大伴旅人(世界は空虚であることの認識と人生の哀しみ)
【第10回】
 山上憶良①(愛することは苦しみである)
【第11回】
 山上憶良②(それでも、なぜ苦の世界を生きねばならないか)
【第12回】
 山上憶良③(子を喪う悲しみ―世界は不条理に満ちている)
【第13回】
 東なる地の歌・防人の歌(東国の人びとの哀歓)
【第14回】
 大伴家持①(孤独の発見)
【第15回】
 大伴家持②(和歌における感受性の成立)