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授業の概要(ねらい) |
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私たちは「地域」・「地方」をしばしば明確な境界線で区分された空間とみなしがちです。しかし、実際の「地域」空間とは、必ずしも固定的ではない、人為的に創出されるものでもあります。この講義では、タイの領土成立の歴史とその影響を「辺境」――具体的には中国と東南アジア大陸部交界部――から眺めることにより、地域概念の生成過程とその波及効果について学び、国境や領土について新たな視点を獲得することを目指します。
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2. |
授業の到達目標 |
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対象地域の政治や社会、人々の地理認識が歴史的にどのように変化したか簡潔に説明できること、及び「地域」の生成に関わる諸要因を列挙し、そのメカニズムを説明できることをめざします。さらに現代のわれわれにとっての「地域」・「地方」の問題についても一定の見解を述べられることを期待します。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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期末試験またはレポート(50%)及び平常点(50%)より評価します。平常点はLMSの課題履行状況から判断します。
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4. |
教科書・参考書 |
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以下の書籍の内容を基本とします。その他参照すべき文献についてはその都度紹介します。 『地図がつくったタイ 国民国家誕生の歴史』トンチャイ・ウィニッチャクン(石井米雄訳)、明石書店、2003年 『物語 タイの歴史 微笑みの国の真実』柿崎一郎、中公新書、2007年 『世界単位論』高谷好一、京都大学学術出版会、2010年
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5. |
準備学修の内容 |
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講義では基本的な事実関係は自習により認識していることを前提に行うため、授業時間外に予習・復習を行い各自で講義内容を確認することは必須とお考えください。 授業の進行と並行してLMSを利用した課題を設定するので、適宜確認に役立ててください。 さらに授業のテーマを紹介された参考文献などを通じ、各自で理解を深めることが必要になります。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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この講義はパワーポイントを利用して行います。ただし重要な点はスライドの文言を書き写すことではなく、そのつながりの説明にありますので、集中して自発的に講義に臨んでください。 授業時間外にも新聞・雑誌や各自関心を持った事項について図書館の本を読むなど、自主的な学習を通じ、幅広い社会的関心を養うことを希望します。 教室内では、脱帽、スマートフォンなど電子機器は使用を控え、私語を慎むなど講義の妨げにならないよう静粛にして下さい。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 | イントロダクション:「地図」と「領土」 | 【第2回】 | 東南アジア大陸部の地誌 | 【第3回】 | 生態空間と伝統的地域単位 | 【第4回】 | 伝統的地域単位と地理認識 | 【第5回】 | 地図と国境:近代の国境問題 | 【第6回】 | 中心と周縁:主権の行方 | 【第7回】 | 地域認識の変容:「地図」の作用 | 【第8回】 | 地図と「領土」 | 【第9回】 | 地理・歴史・国家:「領土」の誕生 | 【第10回】 | 「国土」ナショナリズム | 【第11回】 | ナショナリズムと地域の包摂 | 【第12回】 | “みえない”地域:辺境「少数民族」とそのリーダー | 【第13回】 | 「辺境」から眺める | 【第14回】 | 「地域」の区分とそれのもたらしたもの | 【第15回】 | まとめ(予定) |
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