Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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地域情報論 II 野本  敬
【Ⅳ】  2単位
【Ⅳ 社会と経済のしくみを学ぶ】 17-2-2120-1890-04

1. 授業の概要(ねらい)

 通常私たちは「地域」をあらかじめ決まったまとまりと考えがちです。しかし実際は、地域区分とは長期的な人間の営みに関わり形成されてくる枠組みでもあります。
 この講義では中国雲南省の生態環境史について学びます。雲南の歴史上における人間の営みと長期にわたる社会の変容が、生態環境との相互作用により、いかに「地域」区分としてできあがってくるかを概観します。さらに、我々が現在直面している環境問題や地域社会との関わりについても考える契機としてもらいたいと思います。

2.
授業の到達目標

 人間活動と地域の自然環境との相互作用について簡潔に説明できることを目指します。歴史的な変遷が、社会や政治システムに影響を与えるメカニズムについて説明できることを目指します。生態環境史の事例を通して、「地域」生成について構造的に理解する視点の獲得を期待します。

3.
成績評価の方法および基準

 期末試験またはレポート(50%)及び平常点(50%)より評価します。平常点はLMSの課題履行状況から判断します。

4.
教科書・参考書

 教科書はとくに指定しません。事実関係確認のための参考として、講義内容全体に関わるものに以下を挙げておきます。LMSを利用した予習・復習に役立ててください。
  『雲南の歴史 アジア十字路に交錯する多民族世界』川野明正、白帝社、2013年
  『中国雲南少数民族生態関連碑文集』唐立(編)、総合地球環境学研究所、2008年
  『アジア遊学』第9号(特集 少数民族の謎の歴史―西南中国からシャン文化圏へ―)、勉誠出版、1999年所収の諸論考
  『雲南中華世界の膨張 プーアル茶と鉱山開発にみる移住戦略』西川和孝、慶友社、2015年
 必要に応じて参考資料を適宜配布し、関連文献はその都度紹介していきます。

5.
準備学修の内容

 講義は基本的な事実関係を確認している前提で行うため、授業時間外に参考文献などを参照して各自で講義内容を確認してください。授業の進行と並行してLMSを利用したクイズを設定するので、内容理解に適宜役立ててください。
 さらに授業のテーマを紹介された参考文献などを通じ、各自で理解を深めることを期待します。

6.
その他履修上の注意事項

 この講義はパワーポイントを利用して行います。ポイントはスライドの文言を書き写すことではなく、その繋がりの説明にこそありますので、集中して自発的に講義に臨んでください。
 授業時間外にも新聞・雑誌や各自関心を持った事項について図書館の本を読むなど、自主的な学習を通じ、幅広い社会的関心を養うことを希望します。
 教室内では、脱帽、スマートフォンなど電子機器は使用を控え、私語を慎むなど講義の妨げにならないよう静粛にして下さい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション:雲南省とは?
【第2回】
 雲南の地形
【第3回】
 雲南の民族
【第4回】
 雲南の生活と技術:焼畑
【第5回】
 雲南の生活と技術:棚田
【第6回】
 雲南の歴史①地域王国の時代
【第7回】
 雲南の歴史②中国王朝との関わり
【第8回】
 雲南の歴史③「中国化」の時代
【第9回】
 雲南の生態環境史①碑文とその意味
【第10回】
 雲南の生態環境史②移民とその影響
【第11回】
 雲南の生態環境史③地域社会と環境変化
【第12回】
 雲南の生態環境史④地域社会の対応
【第13回】
 雲南の生態環境史⑤地域と「環境」
【第14回】
 雲南地域の「変容」
【第15回】
 まとめ(予定)