Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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国際経済論 II 長田  博
選択  2単位
【観光経営】 17-1-1110-3216-22A

1. 授業の概要(ねらい)

 1990年代以来、経済のグローバリゼーションが急速に進展した。①モノの移動(国際貿易)、②カネの移動(国際資本移動)、③ヒトの移動(国際労働移動)、④情報の移動の活発化は、世界経済の成長の源泉となり、良い面でも悪い面でも各国経済のシンクロナイゼーション(同期化)をもたらした。良い面では、グローバリゼーションの波に乗った東アジア諸国の経済成長や中国経済がアジア各国経済のけん引力となったことなどが例としてあげられる。また、悪い面では国際的な金融危機の伝播や経済の不安定化、そして経済成長の陰での国内経済の所得格差拡大があげられる。反グローバリゼーションの運動は、1999年のWTOシアトル会議以後力を増したが、2015年までは制度面ではメガFTAの形成による経済統合への動きは続いていた。しかし、最近になって、英国のEU離脱やアメリカ新大統領のTPP撤退とNAFTA見直し表明が示すように、グローバル化と逆行する動きが顕著になってきた。
 講義では、このように大きく変化する国際経済の実態を把握し、国際経済理論の学習によって、これらの新たな動きが持つ経済的帰結について理論的に考察する。
 また、講義の最初の20分を使用して、最新の国際経済に関する新聞記事を配布し、解説する。

2.
授業の到達目標

 ①国際経済の動きを見るときに、客観的な統計データの調べ方と信頼できる情報がえられるWebsiteを知っている。
 ②国際経済における大きな流れと各地域経済の現状についておおまかに説明できる。
 ②対外経済政策の変更が持つ意味を、感情論ではなく、理論的に吟味できる。

3.
成績評価の方法および基準

 授業内感想文2回(各10%)、期末テスト80%。持込不可。

4.
教科書・参考書

 テキスト:伊藤元重『どうなる世界経済 入門国際経済学』光文社新書848、2016年。
 参考書:澤田康幸『基礎コース国際経済学』新世社、2003年。

5.
準備学修の内容

 教科書の指定個所を事前に読んで授業に臨むこと。
 練習問題は必ずやってみること。

6.
その他履修上の注意事項

 毎日、新聞を含むメディアが報道する国際経済のニュースを読んだり見たりすること。
 秋期からの受講者は、教科書の春季履修個所を事前に読んで置くこと。そうしないと授業についていけません。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション
【第2回】
 ハンドアウト「戦後世界の経済体制(ブレトンウッズ体制)とその後:GATT, IMF, IBRD」
【第3回】
 テキスト「第1講義 4.WTOの果たした役割」「第4講義 2.自由貿易体制の確立と貿易摩擦」
【第4回】
 ハンドアウト「1.経済統合の理論、2.FTA、3.WTOとFTA」
【第5回】
 ハンドアウト「アジアを含むFTA網:APEC, AEC, TPP, RCEP, SAARC」
 第1回授業内感想文
【第6回】
 テキスト「第3講義 1.国際金融のトリレンマ」(IMFと第2次大戦前の為替理利下げ競争) 
【第7回】
 テキスト「第3講義 2.発展途上国と固定相場制」
 ハンドアウト「1997年アジアの通貨危機」
【第8回】
 テキスト「第3講義 3.ユーロの導入」
【第9回】
 ハンドアウト「グローバリゼーションと国際資本移動(1)直接投資」
【第10回】
 ハンドアウト「グローバリゼーションと国際資本移動(2)間接投資」
 第2回授業内感想文
【第11回】
 テキスト「第5講義 2.ミドルインカムトラップのメカニズム」(中間所得層の重要性)
【第12回】
 テキスト「第5講義 4.地球温暖化と国際経済」
【第13回】
 ハンドアウト「国際開発問題:所得格差、貧困削減」「国際開発協力体制:世界銀行、2国間ODA, NGO」
 練習問題配布
【第14回】
 練習問題の解答
【第15回】
 まとめと期末テスト