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授業の概要(ねらい) |
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世界経済は2007年から2009年頃にかけて、アメリカのサブプライム・ローン問題をきっかけに「100年に一度」と言われる国際金融危機に見舞われました。バブルの崩壊は一時の景気後退にとどまらず、経済社会が長年に亘って築き上げ培ってきた様々な経済基盤や社会基盤を根底から覆し、時に戦争を引き起こす原因にもなりかねない極めて深刻な問題です。日本も平成バブルを経験しましたが、その後のバブル崩壊で日本の経済力を支えてきた製造業がリストラの嵐に巻き込まれ、「3つの過剰」(雇用、設備、債務)処理に追われて「選択と集中」の名のもと業務の縮小が進みました。その結果、日本の国際競争力は急速に失われて「失われた20年」といわれる暗く長いトンネルの闇に入り込んでいきました。 そこで「演習」では、世界に歴史上これまで幾度となく世界各地で繰り返されてきたバブルの発生と崩壊、金融と経済危機の問題を振り返りながら、バブルの発生の歴史と教訓を学び取っていきます。春期は、大航海時代から産業革命期にかけてヨーロッパで起きた「世界三大バブル」のほか、第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて日本やアメリカで起きたバブルを取り上げ、講義と学生の発表を織り交ぜながら授業を進めます。秋期は、特に1980年代の金融自由化の流れの中、世界各地で頻繁にみられるようになった国際規模の金融危機や世界の金融再編問題を取り上げます。 なおこれらのテーマとは別に、来るべき就活に備えて様々な産業・業界の研究、近年世界経済に多大なる影響を与えるようになった中国経済の研究、イギリスのEU離脱やアメリカトランプ大統領の誕生とともに世界で巻き起こり始めた反グローバル化・保護主義化の影響の研究なども随時行っていく予定です。
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授業の到達目標 |
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国際経済社会が経験した様々な金融恐慌事件を通してバブル発生の原因やメカニズムを探るとともに、特に1980年代以降急速に進んだ金融自由化が金融ビジネスの膨張と経済のマネーゲーム化や格差の拡大をもたらし、世界規模の金融危機を頻発させる要因になった経緯を理解します。
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成績評価の方法および基準 |
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出席状況、授業への取り組み姿勢、授業内発表の内容、期末レポートなどによる総合評価で採点します。なお、期末レポートについては以下の点に十分注意して取り組んでください。 ①一定の出席率を満たさない学生のレポートは受け付けません ②ネットなどからのコピー&ペーストなど、論文作成上の基本ルールを無視したレポートは評価対象としません
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教科書・参考書 |
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【テキスト】特に指定しません 【参考文献】『バブルの歴史』チャンセラー(日経BP) 『バブルの物語』ガルブレイス(ダイヤモンド社) 『大暴落1929』ガルブレイス(日経BPクラッシックス) 『昭和金融恐慌史』高橋亀吉・森垣淑(講談社学術文庫) 『マネー革命(1)~(3)』相田洋(NHKライブラリー) 『グローバル金融攻防30年』太田康夫(日本経済新聞出版社) その他の参考文献は、講義に都度紹介します。
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準備学修の内容 |
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講義の際に紹介する参考文献等をできるだけ手に取って読んで、理解を深めて下さい。
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その他履修上の注意事項 |
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単に授業を聞くという受け身の姿勢ではなく、講義を通して自分の関心や疑問を掘り起こし、原典や関連文献または統計データに直接あたって調べたり確認してみるといった積極的な姿勢で取り組まれることを期待します。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | バブルの発生と崩壊 | 【第2回】 | 世界三大バブル(チューリップ狂) | 【第3回】 | 世界三大バブル(南海会社バブルとミシシッピバブル) | 【第4回】 | 産業革命とイギリスのバブル | 【第5回】 | アメリカ「金メッキ時代」 | 【第6回】 | 第一次大戦とニューヨーク株式バブル | 【第7回】 | 暗黒の木曜日 | 【第8回】 | 世界大恐慌 | 【第9回】 | 自由放任から政府による規制・監督の時代へ | 【第10回】 | 第二次大戦とブレトンウッズ体制 | 【第11回】 | 研究発表① | 【第12回】 | 研究発表② | 【第13回】 | 研究発表③ | 【第14回】 | 研究発表④ | 【第15回】 | 研究発表⑤ |
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