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授業の概要(ねらい) |
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市民革命後に誕生した市場社会には、市場経済と財政という2つの経済が存在する。このうちの財政は、中央政府や地方政府(都道府県・市町村)が民主主義に基づいて営む「公の経済」であり、租税を主たる収入源として、警察・消防・教育などの公共サービスの提供や、道路・公園・上下水道などの公共インフラの整備が行われている。現在の日本の財政規模は対GDP比で4割強(アメリカでは4割弱、フランスでは6割弱)を占めている状況にある。 さらに、現在の日本の中央・地方を合わせた政府支出に占める「地方の割合」は約7割(アメリカでは約6割、ドイツでは約8割)にも達している。 この講座は、このように現代の市場社会の中で「公の経済」の中心的役割を担っている地方財政について考察する後期の講義である。 この講座は、大学院・経済学研究科の科目であることから、大学の学部で「財政学」を学んでいることを前提に講義を進める予定である。
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2. |
授業の到達目標 |
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・院生が、板書の筆記を通じて、実社会で必要となる「メモ取り能力」を修得する。 ・院生が、地方自治体の予算編成の方式を説明できる。 ・院生が、国からの特定補助金である「国庫支出金」の仕組みを説明できる。 ・院生が、地方自治体の借金である「地方債」の仕組みを説明できる。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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・期末課題レポートの成績(100%)で評価する。 ・期末課題レポートは、「テキスト・ノートの内容」から出題する。 ※ 出席率が2/3未満の学生は、元々「成績評価の対象外」であるので注意すること。
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4. |
教科書・参考書 |
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テキスト:神野直彦・小西砂千夫『日本の地方財政』有斐閣、2014年(2,000円+税) 参考文献:神野直彦『財政のしくみがわかる本』岩波書店、2007年(800円+税) 神野直彦『財政学〔改訂版〕』有斐閣、2007年(3,200円+税) 高井 正『地方独自課税の理論と現実』日本経済評論社、2013年(3,800円+税)
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準備学修の内容 |
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指定したテキストの次回の授業範囲の部分を読み、専門用語の意味等を事前に理解しておくこと。
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その他履修上の注意事項 |
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・大学の学部で「財政学」の単位を取得していることが望ましい。 ・春学期の講座である「地方財政論特講Ⅰ」との連続履修を希望する。 ・授業を集中して受講する院生を希望する(私語は厳禁。退席を求める場合もある)。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | ガイダンス―前期の総括と後期の概要 | 【第2回】 | 地方交付税の制度運営 | 【第3回】 | 地方自治体の予算編成 | 【第4回】 | 国庫支出金の概要 | 【第5回】 | 国庫支出金の運用 | 【第6回】 | 地方債の起債制限 | 【第7回】 | 地方債の運用 | 【第8回】 | 地方自治体の予算 | 【第9回】 | 地方自治体の決算 | 【第10回】 | 自治体財政健全化法 | 【第11回】 | 地方公会計改革 | 【第12回】 | 地方分権改革と地方財政制度のあり方 | 【第13回】 | 地方財政論の活用 | 【第14回】 | 後期の総括、期末課題レポートの出題 | 【第15回】 | 期末課題レポートの評価・講評 |
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