1. |
授業の概要(ねらい) |
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市場における買い手の意思決定を扱う。市場では「価格」という媒体が色々な情報を伝えてくれるため、一般の場合よりは問題が単純になっている。入門ミクロ経済学Ⅰ・Ⅱにおける最重要命題は、誤解をおそれずひと言で述べれば「市場経済はある意味うまくできている」ということである。おそらく、どの入門ミクロ経済学Ⅰ・Ⅱの授業でも、「ある意味」や「うまく」が意味するものは明示されていなかっただろう。これらがはっきりしないうちは、せっかく学んだ命題も、他の経済事象に応用しようがない。ここで、「厳密な議論がなされていない入門ミクロの授業はだめだ」と主張しているわけではないことには注意が必要である。実際のところ、初級ミクロ経済学で、いきなり厳密な議論を取り扱うことは、通常「議論のさまたげ」でしかない。しかし、中級レベルでは可能である。本科目では、入門ミクロ経済学Ⅰ・Ⅱの授業では暗黙裡に仮定されていたうそやごまかしをなくして、できるだけ少ない前提下で、市場における消費者の行動原理について学び、上の命題を正確に理解する。
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2. |
授業の到達目標 |
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価格理論を通して、ミクロ経済学の方法・考え方を身につけることを目標とする。 ・序数的効用と基数的効用を区別できる ・無差別曲線と予算制約線が与えられたときに、消費者の最適消費点を求められる ・価格の変化に応じた消費者の需要量の変化を、所得効果と代替効果に分解できる
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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授業への参加状況などを考慮して総合的に評価する。
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4. |
教科書・参考書 |
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タイトルが『ミクロ経済学』とついていればたいていはOK。
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5. |
準備学修の内容 |
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復習、特に問題演習は重要である。ノートや参考書を読むだけで、例題・問題は解かない、という勉強をする人がいるが、これではわかったことにならない。例題・問題は解き方を読むだけでなく、自分でペンをもってノートに解きなおすべきである。問題を解けば自然にわかってくることは多い。わかっていることとわからないことを明確に区別して、理解できていない解説を紙に何回でも再現せよ。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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継続的に学習しなければならない。どんなに忙しい日でも、10分でも構わないので、毎日勉強する時間をとれ。停滞は後退である。 丁寧にせよ。つまみ食い的な勉強は基礎科目においては百害あって一利なしである。100パーセントわかるところからスタートして、一歩一歩丁寧に勉強するのが、結局のところ、最も楽な方法である。あせりは禁物である。 どんなに丁寧に勉強してもわからないところは、躊躇せずに質問すべきである。質問する相手は教員でも友人でも誰でも構わない。困ったときに人に頼ることもれっきとした能力のひとつである。 定義を大切にすべきである。ミクロ経済学がわからなくなる原因の多くは定義の理解が不十分なことにある。定義とは、ある概念を、過不足なく説明し、約束することである。スポーツをやるのにルールを覚えるがごとく、推理小説を読むのに登場人物の名前を覚えるがごとく、ミクロ経済学を勉強するにあたっては、ミクロ経済学の専門用語の定義を覚えよ。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 | イントロダクション | 【第2回】 | 入門ミクロ経済学の復習 | 【第3回】 | 加重限界効用 | 【第4回】 | 効用と正味便益 | 【第5回】 | 正味便益の計算 | 【第6回】 | 無差別曲線 | 【第7回】 | 予算制約線 | 【第8回】 | 最適消費点 | 【第9回】 | 所得の変化と予算制約線 | 【第10回】 | 正常財・中立財・劣等財 | 【第11回】 | 所得消費曲線と需要の所得弾力性 | 【第12回】 | 価格の変化と予算制約線 価格消費曲線 | 【第13回】 | 需要曲線の導出 | 【第14回】 | スルツキー分解 | 【第15回】 | ギッフェン財と需要の価格弾力性 |
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