Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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演習 II 西田 令一
必修  2単位
【経営】 17-1-1120-3873-10A

1. 授業の概要(ねらい)

 中国経済の成長の歩みと背景という「過去」を専ら振り返った春期の演習を踏まえ、秋期ではその「現在」を見つめて「将来」を展望します。
 経済成長の鈍化が鮮明になる中で、差し迫った最大の課題は、不動産、投資・信用のバブル状況を軟着陸させられるかどうかです。技術革新を進めて高付加価値製品を生み出す経済の高度化や、成長が一部の分野を除けば国有企業に偏している現状の改善、輸出主導、公共投資主導型から内需主導型への経済構造の転換も待ったなしです。
 「世界の工場」を支えた安価で豊富な労働力も、すでに始まった人件費の高騰と、間もなく急速に進む少子高齢化で、先細りしてくるのは目に見えています。経済がさらに減速して失業者が増大したとき、共産党指導部は発展に不可欠な社会的安定を曲がりなりにも維持できるのでしょうか。
 秋期では、そんな現状と見通しを念頭に置きつつ、春期で設定したテーマに沿ってレポートを作成します。自分にとって身近な日本の事象に関連付けたテーマだと、まとめやすいでしょう。内容を発表して議論したうえで、グループないしは個人で執筆に取りかかり、構成や文章の指導を受けて完成させるという手順で進めます。

2.
授業の到達目標

 中国経済に対する理解度をさらに深めて、ある程度は自分なりの見方を持てるようになることを目指します。同時に、内容はもちろん、構成と文章も一定水準に達したレポートを作成・提出することを目標とします(ちなみに、2016年度のゼミ生がまとめたレポートのテーマは、サッカーと中国経済、日本コンビニの中国進出の状況と課題、ニトリの対中戦略、中国人訪日客の日中争奪戦、中国の国産中型旅客機ARJ21と日本の中型機MRJとの比較で捉えた中国の技術革新の現状、です)。

3.
成績評価の方法および基準

 最終的に提出されるレポートを最大の評価対象とし、それに先立つ発表内容やゼミへの参加姿勢も勘案して、成績を決定します。

4.
教科書・参考書

 春期と同様に、特定の教科書などは使用せず、レジュメなどの印刷物、映像といった教材はこちらで準備します。参考書は以下の通りです。
 『中国台頭の終焉』(津上俊哉、日経プレミアシリーズ)
 『暴走する中国経済』(柯隆、ビジネス社)
 『中国の不良債権問題』(柯隆、日本経済新聞社)

5.
準備学修の内容

 レポートをどのような内容にするか発表する際には、事前に用意することが不可欠ですし、レポートそのものも、丹念に調査したうえで執筆し、指導を受けて書き直しすることを迫られます。秋期では、春期以上に準備学修が必要になると考えてください。

6.
その他履修上の注意事項

 演習ですので、受け身の姿勢ではなく参加するという能動的な態度が求められます。秋期には、レポート内容を発表したりそれをめぐって議論したりする機会も増えますので、積極的に発言するようにしてください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション(レポート・テーマの確認、内容の事前発表、執筆、指導、完成、といったレポート提出への手順などを説明)
【第2回】
 ドキュメンタリー「チャイナ・ブルー―ある起業家の記録」(前編)を視聴する。
【第3回】
 ドキュメンタリー「チャイナ・ブルー―ある起業家の記録」(後編)を視聴する。
【第4回】
 中国が現在のバブル状況を軟着陸させられるかについて学ぶ。
【第5回】
 中国の国有企業改革が進まない現状とその理由について学ぶ。
【第6回】
 技術革新を進めて中国製品がハイエンド市場を狙えるようになるかについて学ぶ。
【第7回】
 輸出・公共投資主導型経済から内需主導型経済に転換できるかについて学ぶ。
【第8回】
 レポート内容を発表し議論を行う。
【第9回】
 レポート内容を発表し議論を行う。
【第10回】
 レポート内容を発表し議論を行う。
【第11回】
 レポート内容を発表し議論を行う。
【第12回】
 レポート内容を発表し議論を行う。
【第13回】
 執筆したレポートの内容、構成、文章について指導を受ける。
【第14回】
 執筆したレポートの内容、構成、文章について指導を受ける。
【第15回】
 書き直したレポートを提出する。