1. |
授業の概要(ねらい) |
|
会計行為(認識、測定、伝達)と簿記の役割ないし意義を理解した上で、会計学と簿記との関係を考察します。講義方法は、当日の修得テーマを概説し、演習問題で具体的課題箇所を実感してもらった上で、再度その意義を解説する手順です。全体像の理解(鳥瞰図的把握)と個別的処理の向上の両方に留意して受講する必要があります。 なお、現実の問題として、大学院に入って初めて簿記を学ぶという学生(とくに留学生)が履修する場合もあります。この場合には、これらの学生に対する手当てをせざるをいないと考えています。つまり、既修得者と初心者を分けた複式授業も予定しています。
|
2. |
授業の到達目標 |
|
複式簿記と会計理論の関係、簿記の中でもいわゆる上級とされる簿記処理の理解を目標にします。簿記・会計を学ぶと、経済の動きを会計言語を通して理解できるようになります。さらに、その根底を流れる法則、「貸借平均の原理」に支えられた、一つの思考回路を身に着けることができる点も重要です。物事は多面的ですが、物事を見る一つのスコープないし羅針盤を手に入れることになるということです。この「思考の道具(会計思考)」を手に入れたという実感を持ってもらうことが2つ目の到達目標です。
|
3. |
成績評価の方法および基準 |
|
受講中の発言内容など講義への関わり方(50%)、レポート(50%)を目安として総合的に評価します。
|
4. |
教科書・参考書 |
|
テキスト:新田忠誓、他著『エッセンス簿記会計』(第13版)森山書店 参考文献:全国経理教育協会編『全経上級 商業簿記・会計学テキスト(第4版)』中央経済社 新田・佐々木、他著『会計学・簿記入門(第12版)』白桃書房
|
5. |
準備学修の内容 |
|
簿記の理解のためには、実践演習も必要です。テキストに基づいて、その都度、演習を指示します。
|
6. |
その他履修上の注意事項 |
|
簿記は、既定の処理技術と思われがちです。しかし今日のような会計制度の大変革期には、既にある方法への順応に加えて、これから生じる新しい現実への適応が不可欠です。単なる技能の修得ではなく、全体を見通すために必要な理論的基盤を備えて簿記の持つ企業管理機能を理解していく心構えで学修して下さい。
|
7. |
各回の授業内容 |
|
【第1回】 | ガイダンス(授業の進め方、成績評価、履修上の留意点) | 【第2回】 | 簿記の基本用語の確認:ダブルエントリーシステム、財政状態の要約と経営成績の要約、その他 | 【第3回】 | 英米法の論理と大陸法の論理 | 【第4回】 | 合計・残高試算表(繰越試算表も含む)の意義と役割 | 【第5回】 | 会計学と簿記(1):収益費用アプローチ的視点における簿記の役割 | 【第6回】 | 会計学と簿記(2):資産負債アプローチに的視点における簿記の役割 | 【第7回】 | 商品売買における簿記処理(1) | 【第8回】 | 商品売買における簿記処理(2) | 【第9回】 | 有価証券の簿記処理 | 【第10回】 | 固定資産(費用配分、減損を含む)の簿記処理 | 【第11回】 | 資産と費用の関係(総論と各論)、在高表示と期間帰属 | 【第12回】 | 引当金の簿記処理、繰延資産の簿記処理 | 【第13回】 | 株主資本の簿記処理 | 【第14回】 | 資本取引・損益取引区別の原則、交換取引と損益取引の区別 | 【第15回】 | 総まとめ(簿記処理を支える原則、基準の意義) |
|