Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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エリアマネジメント論 I 今野 久子
選択  2単位
【経済】 17-1-1130-3754-11A

1. 授業の概要(ねらい)

 都市・地域が成長から成熟の時代を迎えて、まちづくりの重心が行政主体の開発から市民に身近な維持管理へと移り、コミュニティの課題も人口減少・超高齢化に伴い多様化している。こうしたなかで近年、良好な環境や地域の価値を維持向上させるための住民・事業主等による取組みが「エリアマネジメント」として体系化・提唱されている。一方、大学には、「学生による地域課題解決への参画や地域との相互交流」が求められ(※注1)、実践例も増えつつある。
 本講義では、「エリアマネジメント」の体系をもとに、市民主体の組織的なまちづくりに関する基礎的理解を促すとともに、学生の視点から身近なまちづくり(大学の地域交流・貢献)への関心と課題解決力の醸成を目指す。具体的には、先ず、背景となる地域社会とコミュニティを取巻く潮流を概観したうえで、「エリアマネジメント」や「大学の地域交流・貢献」の活動分野・テーマを学ぶ。その知見をもとに身近な地域での具体の活動テーマについて考察する。まちづくりの基本である市民協働に資する実践力を養うため、講義とグループワークなどの演習形式とを組合わせる。なお、受講者の関心等をもとに必要に応じ関係者をゲスト講師として招聘する機会をつくる。
 ※注1:『第2期教育振興基本計画(平成25~29年)』『文部科学白書(平成25年度)』における「大学COC構想」など。COCはCenter of Community(地域コミュニティの中核的存在)の略。

2.
授業の到達目標

 ①地域社会とコミュニティを取巻く潮流について基礎的事項を理解し、現在の地域・コミュニティの課題(関心ある領域)について説明することができる。
 ②「エリアマネジメント」について基礎的事項を理解し、市民の主体的・組織的なまちづくりの活動分野・テーマ(関心ある領域)について説明することができる。
 ③「大学の地域交流・貢献」について概況を理解し、身近な地域への適応・展開に向けた活動テーマについて自らの意見を述べることができる。
 ④グループワークにおいて定められた時間内に、意見交換と発言趣旨の記録、合意形成・とりまとめを行い、結果を正しく伝えるよう発表することができる。

3.
成績評価の方法および基準

 評価は個人で提出する課題レポートが40%、授業内容に関するリアクションペーパーが20%、グループワークへの参加・積極的貢献が20%、グループワークの成果発表が20%の配分によって総合的に評価する。なお、課題レポートはグループワークの材料とするものであり、期限に遅れるとグループ検討に支障をきたすため厳しく減点評価し、また提出しない場合には単位を認めない。

4.
教科書・参考書

 以下の資料・参考書を適宜用いるほか、授業のなかで必要に応じて適宜紹介する。
  ①エリアマネジメントに関する国土交通省ホームページ掲載資料(エリアマネジメント推進マニュアル 等)
  ②小林英嗣他(2008)『地域と大学の共創まちづくり』学芸出版社
  ③上野淳・松本真澄(2012)『多摩ニュータウン物語 オールドタウンと呼ばせない』鹿島出版会
  ④秋元孝夫(2005)『ニュータウンの未来』多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議(pdf版無償配布)

5.
準備学修の内容

 3.成績評価方法に示した通り、グループワークの事前検討として、予め個人で調査・考察した「課題レポート」をまとめ、これをグループワークの検討材料として活用する。併せて、授業内容に関するリアクションペーパーの提出を求める。
 また、まちづくりは、日常生活のあらゆる分野が総合的に関連するため、日頃から新聞、雑誌、メディア情報等を通して地域・社会の現状に広く関心を寄せるようにしてほしい。

6.
その他履修上の注意事項

 〇講義の妨げとなる行為を厳に慎むこと。特に他の受講学生に迷惑となる私語は退席を願い、評価の減点対象とする。
 〇3.成績評価方法にも示した通り、レポート提出期限に遅れた場合は減点、提出しない場合には単位を認めない。
 〇秋学期には、春学期の学修内容を深め、春・秋学期を通じて理論と具体的考察の両面から体系的理解を得られるよう構成しているため春・秋学期の通年受講が望ましい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 授業の全体構成の解説
【第2回】
 地域社会とコミュニティを取巻く潮流①
 コミュニティの姿と価値感
【第3回】
 地域社会とコミュニティを取巻く潮流②
 国土政策と都市計画・まちづくり
【第4回】
 地域社会とコミュニティを取巻く潮流③
 市民参加とまちづくり
【第5回】
 「エリアマネジメント(国土交通省の提唱による市民の主体的・組織的なまちづくりの体系。以下同様)」の定義と全体概況
【第6回】
 「エリアマネジメント」の活動分野・テーマ①
 計画・ルールの策定
【第7回】
 「エリアマネジメント」の活動分野・テーマ②
 共有物・公物等の維持管理
【第8回】
 「エリアマネジメント」の活動分野・テーマ③
 環境・地域活性化に関する活動
【第9回】
 「エリアマネジメント」の活動分野・テーマ④
 サービス・コミュニティ等のソフト中心の活動
【第10回】
 「大学の地域交流・貢献」の事例①
 特産品を活かした地域活性化
【第11回】
 「大学の地域交流・貢献」の事例②
 高齢化団地再生・世代間交流
【第12回】
 グループワーク(身近な地域での具体の活動の考察)①
 テーマの検討
【第13回】
 グループワーク(身近な地域での具体の活動の考察)②
 活動方針の検討
【第14回】
 グループワーク(身近な地域での具体の活動の考察)③
 活動メニュー・概要の検討
【第15回】
 グループワーク成果の発表、授業の総括
 ※以上は、受講者の理解関心や進捗等により若干修正する可能性もある。