Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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民法 I 小谷 昌子
選択  2単位
【経営】 17-1-1210-3227-11A

1. 授業の概要(ねらい)

 民法は私人と私人の財産関係や取引において重要な役割を果たす法律です。たとえば、自分のスマートフォンやバイクなどを買ったり、一人暮らしをするためにアパートを借りたりしたことがある人がいるかもしれませんが、そういったことも民法に照らしてみると「契約を締結した」と解釈することができます。わたしたちは、法律に規定された行為を、そうとは意識せずに行なっているのです。
 しかし、たとえば、買った物が欠陥品だった、または、自分が借りた部屋なのに大家さんに追い出されそう!というようなトラブルが取引において起きることはしばしばあることです。民法は、契約当事者間でトラブルが発生した場合に、《どのようなこと》を《誰》に請求できる権利があるかなどを定めています。トラブルが起きなかった場合、当事者の力でトラブルが解決できる場合には意識していなかった法律が、トラブルが起きると俄に存在感を増すことになります。
 それでは、取引上当事者だけでは解決できないトラブルが発生した場合、民法はどのような解決方法を用意しているのでしょうか。本科目では、民法のなかでも、とくに「契約」に関係するルールに焦点をあてて解説します。これにより、民法の「財産」や「取引」に関する基本的な考え方を学ぶのが本科目の内容です。

2.
授業の到達目標

 民法(とくに契約法を中心とした財産法)のルールについて、法の枠組みや基本的な知識、法的な考え方などを理解する。

3.
成績評価の方法および基準

 期末試験(教科書および配布資料、自筆ノート持込み可)による。出席そのものによる加点はおこなわない。

4.
教科書・参考書

 ①川井健『はじめて学ぶ民法 所有、契約、不法行為、家族』(有斐閣、2011年)2,500円+税、全321頁
 ②本年度版の小型六法(『ポケット六法』〔有斐閣〕または『デイリー六法』〔三省堂〕) 2,000円程度
 その他、資料の配布も行ないます。

5.
準備学修の内容

 ・試験は持込み披見可で実施するが、だからといってどこに何が書いてあるかくらいは把握していないと答案作成はできないので、そのつもりで必要な準備をすること。言うまでもないことですが、試験前にまとめてやるよりも定期的に予習復習をするほうが理解は深まります。
 ・なお、「出席による加点を行わない」は、「出席しなくても単位がとれる」ことを意味しない。
  出席しない場合にはそれ相応の自習をすることを求める。

6.
その他履修上の注意事項

 ・本科目の履修前に、または平行して、法学概論を履修することが望ましい。
 ・第1回目の授業の際に注意事項を述べます。欠席した際の配布資料の取得方法や成績評価方法についても
  詳細を説明するので、2回目以降授業を欠席する可能性のある学生は必ず出席すること。
 ・授業中の私語は周囲の学生にとって迷惑行為であり、担当教員も不快に感じるので厳禁である。
  また、担当教員は板書等の無断撮影も不快に感じることをお断りしておきます。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス・イントロダクション:授業の進め方(教科書や配布資料などについても紹介する)について概説する。また、本科目で取扱う民法という法律はどのような法律であるのかということや、民法典の全体像につき説明する。
【第2回】
 民法とは、近代私法とは(教科書「はじめに」第1章):民法とはどのようなことを定めた法なのか、どのような役割を果たすのかといったことにつき、具体例を用いて説明する。
【第3回】
 契約とはなにか、契約の成立①(教科書第2部第1章、はじめに第3章第1節):契約が成立したといえるためには何が必要であり、成立により何が起きるのかを確認する。
【第4回】
 契約とはなにか、契約の成立②
【第5回】
 契約成立するかどうか?①(心裡留保):第5回〜第8回まで、様々なケースにおいて契約が成立するかどうかを検討する(教科書第2部第11章)。
【第6回】
 契約成立するかどうか?②(虚偽表示)
【第7回】
 契約成立するかどうか?③(錯誤)
【第8回】
 契約成立するかどうか④(詐欺・強迫)
【第9回】
 契約上起こりうるトラブル①(教科書はじめに第2章第2節、第2部第9章、第10章第1節):契約上トラブルが起き、契約の目的が達成されない場合どうするのだろうか。また、同時履行の抗弁について確認する。
【第10回】
 契約上起こりうるトラブル②(教科書第2部第10章第2〜6節):契約の相手方が契約上発生した義務 を十分に果たさない場合、何ができるのだろうか。
【第11回】
 契約上起こりうるトラブル③(教科書第2部第9章):契約上発生した義務が果たされず目的が達成されないが、契約当事者のどちらにも責めに帰すべき事由(≒落ち度)がない場合はどうするのだろうか。
【第12回】
 契約上起こりうるトラブル④(教科書第2部第10章第8節):契約上の義務の履行として引渡されたものに欠陥があった場合、どうするのだろうか。
【第13回】
 契約の解除(教科書第2部第10章第7節):ここまで学んだような契約トラブルが起きた場合、契約を「なかったこと」にし、当事者を契約関係から解放することが認められている。どのような場合にこれが認められ、契約が解除されるとどうなるのかを確認する。
【第14回】
 契約のまとめ
【第15回】
 まとめと試験:全体をふりかえり、再度確認する。
 ※授業計画はあくまで予定であり、進捗状況、受講者の理解の程度などに応じて変更することがあります。