Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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発達心理学(幼・小) 杉本 真理子
選択  2単位
【教育】 17-1-1333-0295-18A

1. 授業の概要(ねらい)

 本科目は、幼稚園・小学校の教員免許を取得するための必修科目で、幼児・児童の心身の発達と学習の過程を学ぶために開講されています。教育を行うためには、その対象である子どもについて、どのような発達の過程をたどっていくのか、また、学習はどのような過程で進むのかについて学ぶことが不可欠です。また、特別な支援を必要とする子ども達の発達についての理解と対応の仕方を知ることも必要です。
 具体的には心理学の代表的理論から見た発達観(子ども観・人間観でもあります)を紹介しつつ、乳児から成人に至る発達の様相と、心理学でいうところの学習の過程を講義していきます。さらに、意欲的に学ぶということについて、心理学で明らかにされてきた理論を紹介します。そして、小学校の授業や保育の実践例を教材に、発達心理学的観点から検討し、理論と実践のつながりを考えます。

2.
授業の到達目標

 ①生涯にわたる発達の過程、特に乳幼児・児童の発達について理解する。
 ②学習の過程に関する一般的な理解に基づいて、学校での実際の「学び」「学び合い」とそれを支える「教える」をとらえる視点が持てる。
 ③教師・保育者として、子どもが意欲的に学ぶために、発達段階に応じた工夫を考えられる。
 ④特別な支援を必要とする子ども達の発達と対応について理解する。

3.
成績評価の方法および基準

 授業への参加(毎回の感想と小レポート30%)と学期末のテスト(70%)を合わせて評価します。

4.
教科書・参考書

 テキスト:使用しません。
 参考文献:『やさしい教育心理学第3版』鎌原雅彦・竹綱誠一郎 有斐閣、『発達心理学への招待』矢野喜夫・落合正行 サイエンス社、『図説心理学入門第2版』齋藤勇編 誠信書房
 上記以外は、授業内容に沿って参考文献を紹介していきますので、積極的に読んでいって下さい。

5.
準備学修の内容

 ①授業のスピードは速いですので、毎回の配布プリント(かなりの量になります)をファイルし、授業内容をノートにまとめて復習をして下さい。
 ②ボランティアや見学、さらに日常生活の中で、子どもをよく観察し、授業で取り上げた子どもの発達の様相を実際の子どもの姿で確かめて下さい。
 ③授業で紹介する参考文献を積極的に読んで下さい。参考文献をまとめたレポートを提出すれば、コメントします。

6.
その他履修上の注意事項

 発達や学習の心理学の理論と、実際の授業や保育との関連を考えながら授業に参加して下さい。
 教員を目指す方は、1年次より様々なことに興味を持ち、多くの体験を積み重ねていって下さい。
 3・4年次教育実習で「先生」として子どもたちの前に立つことを自覚し、自ら意欲的に学んでいって下さい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 導入 ①受講上の注意 ②「発達」とは ③発達の可塑性について
【第2回】
 発達の規定因 ①遺伝か環境か ②遺伝も環境も ③遺伝と環境の相互作用説
【第3回】
 発達の規定因 ④現在の考え方 ⑤初期経験と敏感期
【第4回】
 思考の発達 ①子どもは大人と違った考え方をする ②子どもの考え方の特徴(乳幼児期) 
【第5回】
 思考の発達 ③子どもの考え方の特徴(児童期) ④子どもの考え方の特徴(青年期)
【第6回】
 思考の発達 ⑤思考の発達のメカニズム
 発達と教育 発達に応じた教育方法について、実践例から考える
【第7回】
 発達観の変遷と教育 ①成熟優位の発達観と教育 ②「反応する人間」モデルと教育
【第8回】
 発達観の変遷と教育 ③「考える人間」モデルと教育
【第9回】
 パーソナリティーの発達 ①エリクソンの発達説 ②乳児期 ③幼児期 ④学童期
【第10回】
 パーソナリティーの発達 ⑤青年期 ⑥成人期 ⑦高齢期 ⑧子どもと大人、子どもと教師の相互性について
【第11回】
 学習の過程 ①心理学の中での学習に関する考え方 ②条件づけ ③社会的学習 ④問題解決 ⑤記憶
【第12回】
 学習の過程 ⑥学校での学びの過程「学ぶ」と「教える」
 意欲的に学ぶ ①動機付けについて ②外発的動機づけと内発的動機づけ
【第13回】
 意欲的に学ぶ ⑥学習性無力感と効力感 ⑦原因帰属と自己原因性 ⑧意欲的にな学ぶために実践例から考える
【第14回】
 特別な支援を必要とする子どもたち ①発達障害とは ②発達障害の子どもたちへの特別支援 
【第15回】
 特別な支援を必要とする子ども達 ③インクルーシブ教育を目指して
 まとめ…学習内容全体の確認
 注:履修者の人数・状態によって内容、授業の順序を変更することがあります。