Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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教育相談(幼・小) 杉本 真理子
選択  2単位
【教育】 17-1-1333-0295-19A

1. 授業の概要(ねらい)

 本科目は、幼稚園・小学校の教員免許取得のための必修科目で、教育相談・カウンセリングについて学ぶことを目的としています。
 今、幼稚園・小学校は、いじめ、不登校、学級崩壊、保護者の養育に関する不安、さらに特別な支援を必要とする子どもに対する対応など、多くの深刻な問題に直面しています。そのような状況の中、教師は子ども達や保護者にどの様に向き合い、心を通い合わせていけるでしょうか。一方、人との関わりが下手な子どもたちが増えているといわれ、学校現場では予防的・開発的支援の必要性も指摘されています。以上のような観点から、学校での教育相談の実際、教育相談に必要なカウンセリングの基礎的な理論と技法、特別な支援を必要とする子どもたちへの対応、自己表現やソーシャルスキルの教育について学んでいきます。
 しかし、教育相談は頭で理解すればそれで実践に活かせるというものではありません。自分が他者をどう眺め、どう関わっていけるかといった自分自身の見方や態度が開かれていくことが望まれます。そこで、体験学習、グループ学習、映像視聴を含めて多様な教材をできるだけ取り入れて授業を進めていきたいと考えています。現在の子ども達の心の問題についての理解を深め、カウンセリング的な見方を養い、将来現場で教育相談を担う上で役立つ学びを目指します。

2.
授業の到達目標

 ①幼児・児童の心の問題、人との関わりの問題を理解する。
 ②教育相談の実際、カウンセリングの基礎的な理論と技法を理解する。
 ③教育相談を行う上での基本的態度を養う。
 ④子どもたちの自己表現やソーシャルスキルを高めるための方法を知る。

3.
成績評価の方法および基準

 授業への参加態度(毎回の感想)と授業内提出物、小レポート(40%)、学期末のテスト(60%)で評価します。

4.
教科書・参考書

 テキスト:使用しません。
 参考文献:近藤邦夫『教師と子どもの関係づくり―学校の臨床心理学―』東京大学出版会、岡田守弘監修『教師のための学校教育相談学』ナカニシヤ出版、國分康孝他『エンカウンターで学級が変わる』図書文化、園田雅代・中釜洋子『子どものためのアサーション自己表現グループワーク』、河合隼雄『子どもの宇宙』岩波新書、山中康裕『少年期の心』中公新書
 その他は授業中、内容に沿って紹介していきます。積極的に読んでいって下さい。

5.
準備学修の内容

 ①毎回の配付資料(相当量になります)をファイルし、授業内容をノートにまとめ、復習に努める。
 ②課題にじっくりと取り組み、期日までに提出する。
 ③授業で行った体験学習から得た態度・技法を実際に日常生活で実施してみる。
 ④自分のコミュニケーション能力、ソーシャルスキルを高めるよう、意識して生活する。
 ⑤関連文献を積極的に読み、レポートにまとめる。

6.
その他履修上の注意事項

 体験学習やグループでの活動があります。これは実際に自分が動き、他者と関わる中で実感することで、理論を深く理解し、自分が変化していくことにつないでいくためのものです。受講生1人1人が自分からやらないと授業が前に進みません。不得意な方もおられるでしょうが、勇気を出して、恥ずかしがらずにやってみて下さい。各々が、意欲的に参加すれば、得るものは大きいと思います。
 また、この科目では人の内面を扱いますので、謙虚に取り組んで下さい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 受講上の注意と導入 ①初めまして:学級開きのエクササイズとシェアリング ②構成的グループエンカウンターについて ③カウンセリングの見方とは ④受講上の注意
【第2回】
 互いを知り、感じるために:学級でできるGWTの実施とシェアリング
【第3回】
 聴くこと、語ること:①教師と子どもに「ずれ」が生じるとき ②体験学習「語る・聴く」その1
【第4回】
 聴くこと、語ること:③体験学習「語る・聴く」その2 ④ロジャーズのカウンセラーの基本的態度について
【第5回】
 スクールカウンセラーの役割:①映像視聴前半 ②学校におけるスクールカウンセラーの仕事
【第6回】
 スクールカウンセラーの役割:③映像視聴後半 ④スクールカウンセラーの聴き方について ⑤スクールカウンセラー・専門機関との連携
【第7回】
 代表的な理論からみた心の問題と心理療法:①来談者中心療法
【第8回】
 ロールプレイ:教師と生徒の面談場面
【第9回】
 代表的な理論からみた心の問題と心理療法:②精神分析的アプローチ
【第10回】
 代表的な理論からみた心の問題と心理療法:③行動療法、行動分析 ④論理療法
【第11回】
 園や学校で出会う心の問題と教育相談:①幼児期、児童期、青年期の心の問題 ②不登校、いじめなど
【第12回】
 園や学校で出会う心の問題と教育相談:③教育相談の実践例から学ぶ
【第13回】
 特別な支援を必要とする子どもたちへの対応:ADHD、LD、アスペルガー症候群など
【第14回】
 予防的・開発的教育相談:自己表現を学ぶ
【第15回】
 まとめ…学校における教育相談の意義と役割
 注:履習者の人数・状態により内容・順序を変更することがあります。