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授業の概要(ねらい) |
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人は、人とのつながりの中で生きる。その人と人とのあいだに様々な事象が立ち現れる中で、人は自分の生き方を選び、自らの人生を生きようとする。人間形成を支援する保育や教育、さらに人の自己決定を支える福祉の現場では、人と人のあいだをつなぐケアが極めて重要となる。 人と人とのあいだは、こどもと親、幼児と保育士、児童生徒と教師、友だちと友だち、障害児者と介助者、患者と医者、社員と上司、客と店員など様々であり、今保育や教育、福祉の現場では、医療や科学技術の進展、情報化に伴う社会の大きく急速な変化の中で、既存の法制度が想定をしてこなかった様々な課題が現実化し、それらの事象の中で人と人のあいだにケアが求められている。 本講義では、前半はケアの概念、様々な課題に直面した人々を支えるケアの本質を学び、その上で後半は、人と人とのあいだにおこる様々な課題からテーマを選択し、グループでの話題提供、メンバー同士での協議を通して当事者の観点から問題を捉え、問題への共感的理解としてのケアのあり方、ケアすることの意味について考える。
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授業の到達目標 |
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①ケアについての概念を理解して、説明することができる。 ②人と人のあいだに起こる諸課題について、ケアをする観点から当事者の立場に立って問題を発見し、問題点を整理できる。 ③ケアを受ける人の立場を配慮してかかわることができる。
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成績評価の方法および基準 |
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①受講態度30% ②ロールプレイ・グループ協議への参加の状況30% ③レポート40%を総合的に評価する。
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教科書・参考書 |
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テキスト 田村真・向野宣之訳 ミルトン・メイヤロフ(1971)『ケアの本質 生きることの意味』 ゆみる出版 参考文献 浜渦辰二編(2005)『ケアの人間学』 知泉書館 中西正司・上野千鶴子(2003)『当事者主権』 岩波新書
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準備学修の内容 |
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指定されたテキスト部分を授業前に熟読して、授業に参加すること 日常において新聞やニュースに注意を向け、人と人のあいだに起こる様々な事象を当事者の観点から捉える態度・習慣を養ってほしい。
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その他履修上の注意事項 |
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講義内容に疑似体験が含まれるため受講者数を制限する場合がある。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | オリエンテーション | 【第2回】 | ケアの概念について | 【第3回】 | 他者の成長をたすけるケア | 【第4回】 | ケアの主要な特質 | 【第5回】 | 人をケアすることの特殊な側面 他の人をケアすること 自分自身に対するケア | 【第6回】 | 人生に意味を与えるケア | 【第7回】 | ケアによって規定される生の重要な特徴 | 【第8回】 | ケアの実際① 肢体不自由の疑似体験 肢体不自由者の車椅子移動を通して肢体不自由のある人へのケアのあり方を考察する。 | 【第9回】 | ケアの実際② 視覚障害の疑似体験 視覚障害の種類を理解し、いろいろな見えにくさに対応したケアのあり方を考察する。 | 【第10回】 | ケアの実際③聴覚障害の疑似体験 聴覚障害のある状況での音声言語によるコミュニケーションの困難を理解し、聞こえにくさに対応したケアのあり方を考察する。 | 【第11回】 | グループ協議 学校教育を巡る課題とケアを考える | 【第12回】 | グループ協議 家庭、親子を巡る課題とケアを考える | 【第13回】 | グループ協議 出生を巡る課題とケアを考える | 【第14回】 | グループ協議 老いとケアを考える | 【第15回】 | まとめ ケアすることに生きる |
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