Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
西洋政治思想史 II 森谷 公俊
教職  2単位
【教職】 17-1-1340-0538-18A

1. 授業の概要(ねらい)

 近年の歴史学では、文字史料と並んで図像史料が重要な研究対象となっている。この授業では西洋古代およびルネサンス時代の代表的な図像を取り上げ、そこに込められた政治思想を読み取っていく。
 当時の重要な建築・彫刻・絵画は、皇帝や国王といった権力者あるいは国家自体が、特定の政治状況の下で、何らかの意図をもって注文した公共財である。一般の人々もそこに権力者の意思を読み取ろうとし、その結果、作品それ自体が政治過程における一つの主体となった。それゆえ芸術作品は政治思想を研究するための素材となりうるのである。
 取り上げる作品の多くは世界遺産になっているが、この授業を通して、芸術作品を歴史学の目で読み解くことの面白さを味わってもらいたい。

2.
授業の到達目標

 図像史料を見て、それの作品記述ができること
 図像に込められた政治思想を、歴史的文脈の中で読み取り、その内容を的確に表現できること

3.
成績評価の方法および基準

 中間試験40%、期末試験60%

4.
教科書・参考書

 毎回プリントを配布する。

5.
準備学修の内容

 授業終了後にプリントとノートを読み直しておくこと

6.
その他履修上の注意事項

 毎回授業中に小さな課題を出して答案用紙に書いてもらう。
 その提出をもって出席を認定する。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 オリエンテーション
  歴史研究における図像史料の意義と方法
【第2回】
 ペルセポリスの浮彫
  アカイメネス朝の王権理念
【第3回】
 パルテノン神殿(1)
  メトープの主題とペルシア戦争
【第4回】
 パルテノン神殿(2)
  フリーズの主題とパンアテナイア祭
【第5回】
 パルテノン神殿(3)
  ジェンダー論で読み解くアテナ女神とアマゾン族
【第6回】
 アレクサンドロス大王の図像(2)
  大王の石棺とフェニキアの都市国家シドンの政治的位置
【第7回】
 アレクサンドロス大王の図像(2)
  アレクサンドロス・モザイクを読む
【第8回】
 前半のまとめと中間試験
【第9回】
 ローマの公共建築(1)
  アウグストゥスの「平和の祭壇」
【第10回】
 ローマの公共建築(2)
  コロッセウムとローマ社会
【第11回】
 ローマの公共建築(3)
  記念柱と凱旋門・「記憶の抹消」
【第12回】
 ビザンツ帝国のモザイク
  皇帝権力と聖像崇拝論争
【第13回】
 ローマ教皇庁とルネサンス・バロック絵画
  ローマ教皇の権力はどう表現されたか
【第14回】
 システィナ礼拝堂側面壁画の図像
  図像プログラムに込められた政治意思
【第15回】
 後半のまとめと期末試験