1. |
授業の概要(ねらい) |
|
人間は、文化に育まれつつ社会に生き、また社会を変えつつ文化を創造していく生き物である。人のふるまい・思考・感性は、地球上の様々な場所で、歴史上の様々な時代に、きわめて多様なかたちにおいて現象してきた。それは人間の「自然」―それを解剖学的構造、生理的欲求、あるいは遺伝情報等の何であると考えるにせよ― によって既に決まっているものではない。私たちは人間を、その「自然」状態において見ることはないのである。文化人類学とは、社会・文化的存在である人間をその社会・文化的多様性において認識し、「自己」とは異なるかたちで社会・文化的に形成されてきた「他者」の姿を「自己」の鏡としつつ、人間のさらなる可能性を探究する営みである。 人類学のカバーする広汎な問題領域のなかで、この授業では特に「性(ジェンダー/セクシュアリティ)」にかかわる諸問題を切り口として、人間の多様性と可能性を探る。私たち一人一人にとってきわめて身近な(むしろ卑近ですらある)性をめぐる現象だからこそ、これを改めて検討することは、社会・文化のなかで形づくられている自らの日々の実践を根底的にとらえ返し、見つめなおす格好の機会ともなるはずである。
|
2. |
授業の到達目標 |
|
文化人類学的認識の作法を獲得する。「性(ジェンダー/セクシュアリティ)」の多様性、社会・文化的構築性について、基礎的知識を形成する。
|
3. |
成績評価の方法および基準 |
|
毎回講義後に課するテスト及び課題の提出(LMSを利用)によって評価する(なお万一LMSのシステム上の不都合によりテスト/課題ができなかった場合は、その翌週の授業の際に必ず申し出て、教員の指示をあおぐこと)。
|
4. |
教科書・参考書 |
|
参考書:田中 雅一・中谷 文美(編)『ジェンダーで学ぶ文化人類学』(世界思想社、2005年) その他の参考文献は、授業中に適宜指示する。
|
5. |
準備学修の内容 |
|
授業でとりあげるテーマと関連する参考書の箇所を、授業の前または後に読む。 授業後に講義の内容を振り返り、授業後テスト/課題に取り組んで提出する。
|
6. |
その他履修上の注意事項 |
|
講義形式の授業である。授業で提起される問題を自分自身への問いとして受けとめ、傾聴し、考察を深めてほしい。いうまでもなく、私語は厳禁である。
|
7. |
各回の授業内容 |
|
【第1回】 | イントロダクション(1):文化人類学とは? | 【第2回】 | イントロダクション(2):文化人類学の歴史と現在 | 【第3回】 | イントロダクション(3):性の人類学へ① | 【第4回】 | イントロダクション(4):性の人類学へ② | 【第5回】 | 性は遺伝子で決まる?!:進化主義再考① | 【第6回】 | 性は遺伝子で決まる?!:進化主義再考② | 【第7回】 | 「世の中、男と女しかいない」?:性の二項対立再考① | 【第8回】 | 「世の中、男と女しかいない」?:性の二項対立再考② | 【第9回】 | 暮らしのなかの性(1):働く① | 【第10回】 | 暮らしのなかの性(2):働く② | 【第11回】 | 暮らしのなかの性(3):つがう① | 【第12回】 | 暮らしのなかの性(4):つがう② | 【第13回】 | 暮らしのなかの性(5):食べる① | 【第14回】 | 暮らしのなかの性(6):食べる② | 【第15回】 | 今期のまとめと展望 |
|