Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
少年非行の要因 岡本 潤子
選択  2単位
【教育】 17-1-1360-3763-15A

1. 授業の概要(ねらい)

 少年非行の発生には,さまざまな要因が複雑に絡み合っています。少年非行が起きる状況を理解するためには,個人が非行に至る要因を,人間行動の結果として見る視点,非行を生む社会や環境をエコロジカルなものとして見る視点など,複合的な視点が必要です。また,ひとは,犯罪や非行に興味を持ったり惹かれたりし,また,遠いものと感じたり嫌悪感を抱いたりもします。少年非行に対する,私たちの姿勢には,連続性と不連続性,親近感と疎遠感が複雑に絡みます。
 本授業では,まず,日本の少年非行の現状を把握し,社会現象としての犯罪や非行,人間行動としての犯罪や非行に関する各理論を概括します。また,少年が非行に至る状況をシステムとして把握する視点,さらに,可塑性のある介入可能な要因に注目し,介入の方策につながる視点についても学びます。
 本授業は,大教室での講義授業ですが,知識を深めるだけでなく,社会の一員であり,有権者である学生自身の感じ方も意識していきます。本授業は,秋期の授業「非行少年の処遇」につながっていく内容です。

2.
授業の到達目標

 ① 我が国の少年非行の実情について説明できる。
 ② 非行行動の要因としての生物学的理論,社会心理学的理論,心理学的理論について説明できる。
 ③ 少年の更生を視野に入れて非行の要因を検討する姿勢について説明できる。
 ④ 具体的な非行行動を,理論と関連付けて説明できる。

3.
成績評価の方法および基準

 定期試験の成績(70%)と,授業参加状況(30%)を総合して評価します。授業参加状況とは,カードリーダーによる各授業の出欠席ではなく,授業内で不定期に実施する振り返りシートの提出の状況と,その内容の評価のことを指します。

4.
教科書・参考書

 テキストは使用せず,毎回,授業のレジュメを配布します。
 参考図書:原田隆之『入門 犯罪心理学』ちくま新書
      越智啓太『Progress & Application 犯罪心理学』サイエンス社
      バートル&バートル『犯罪心理学』北大路書房
      日本犯罪心理学会編『犯罪心理学事典』丸善出版

5.
準備学修の内容

 授業で紹介する書物,新聞,専門誌,インターネットのサイトなどを興味を持って読み,関心を広げてください。
 配布する授業のレジュメは,テストに持ち込む大切な資料になるので,授業ごとに確認・整理し,授業時持参するようにしてください。

6.
その他履修上の注意事項

 ① 配布するレジュメは概要なので,講義により細部を充実させ,内容を理解することが必要です。
 ② 知識を得るだけではなく,少年非行に対する自分の立ち位置を振り返る姿勢を持って臨んでください。
 ③ 大教室での講義になりますので,授業中の私語や,他の学生の迷惑になる行為は慎んでください。
 ④ <重要> 教室の大きさにあわせ,受講者を制限する可能性があります。その場合は初回の授業の出席に基づいて決めていきますので,受講を予定している人は,必ず初回授業に出席してください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション。犯罪・少年非行とは
【第2回】
 日本における非行の傾向および現状
【第3回】
 少年非行をめぐる言説の嘘と本当。少年の非行の特徴
【第4回】
 犯罪理論の始まり。生物学的な非行要因の理論 ①
【第5回】
 生物学的な非行要因の理論 ②。 心理学的な非行要因の理論 ①
【第6回】
 心理学的な非行要因の理論 ②
【第7回】
 心理学的な非行要因の理論 ③
【第8回】
 社会心理学的な非行要因の理論 ①
【第9回】
 社会心理学的な非行要因の理論 ②
【第10回】
 事例に当てはめて考察する
【第11回】
 二次的な要因と非行の発生(発達,経済,家族)
【第12回】
 システム的に非行の発生を考える
【第13回】
 R-N-R理論
【第14回】
 テスト
【第15回】
 振り返りとまとめ