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授業の概要(ねらい) |
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この授業では、西洋の文学と絵画における「愛」の表象を探求する。中世フランスの『トリスタンとイズー』において、トリスタンとイズーは愛の媚薬を飲んで運命的な恋に落ちる。中世イギリスの『カンタベリー物語』中の「忍耐強いグリセルダ」の物語において、グリセルダは夫が与えるいくつもの過酷な試練を耐え忍ぶ。ルネッサンス期イタリアの絵画「聖なる愛と俗なる愛」では衣服を着た女性と裸の女性のどちらが天上の愛を象徴するのだろうか。「ヴィーナスの誕生」は、天上のヴィーナスが地上に降りる話だが、ここに表れるネオ・プラトニズムの思想とは何か。イギリス・ルネッサンス期の『ロミオとジュリエット』は一目惚れから始まる情熱的な恋愛。二人はなぜ死ななければならなかったのか。17世紀イギリスで書かれた『失楽園』ではアダムとイブが楽園を追放され、「内なる楽園」を二人の腕の中に見出そうとする。それはエデンの園より幸せな場所なのか。
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授業の到達目標 |
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1.前近代の西洋の文学・文化・社会を理解する。 2.西洋の愛の思想を理解する。 3.文学作品を英語で読むための英語力を修得する。 4.文学作品や絵画の象徴性を理解する。 5.自分自身で分析・考察する力を身につける。 6.分析・考察結果を明晰な言語と論理で発表できる。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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積極的な授業参加20%、提出物20%、発表30%、期末テスト30%
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4. |
教科書・参考書 |
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参考書:『トリスタン・イズー物語』(岩波文庫)、『完訳カンタベリー物語(中)』(岩波文庫)、『新訳ロミオとジュリエット』(角川文庫)、『失楽園(上下)』(岩波文庫)、『ルネッサンスの光と闇』(中公文庫)
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5. |
準備学修の内容 |
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上記の参考書を各自で読むこと。配布資料を読むこと。
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その他履修上の注意事項 |
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授業は講義形式を中心とはするが、積極的な参加を必須とする。毎回、講義のあと、グループ活動や意見の発表など、アクティブな授業形式をとる。また、学生によるプレゼンテーションも行う。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | 授業説明 | 【第2回】 | 『トリスタンとイズー』における愛の媚薬 | 【第3回】 | 『トリスタンとイズー』における愛と死 | 【第4回】 | チョーサーの『カンタベリー物語』における忍耐強いグリセルダ | 【第5回】 | チョーサーの『カンタベリー物語』におけるグリセルダの衣服 | 【第6回】 | ティツィアーノの「聖なる愛と俗なる愛」における衣服と裸の意味 | 【第7回】 | ティツィアーノの「聖なる愛と俗なる愛」における地上の愛と天上の愛 | 【第8回】 | ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」における地上の愛と天上の愛 | 【第9回】 | ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」におけるネオ・プラトニズム | 【第10回】 | シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』における一目惚れ | 【第11回】 | シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』における愛と死 | 【第12回】 | ミルトンの『失楽園』におけるアダムとイブ | 【第13回】 | ミルトンの『失楽園』における楽園追放 | 【第14回】 | まとめ | 【第15回】 | まとめと期末テスト |
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