Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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財政政策論 II 髙井  正
選択  2単位
【経営】 17-1-1110-3236-36A

1. 授業の概要(ねらい)

 市民革命後に誕生した市場社会には、市場経済と公共経済(財政)という2つの経済が存在する。このうちの財政は、中央政府や地方政府(都道府県・市町村)が民主主義に基づいて営む「公の経済」であり、租税を主たる収入源として、警察・消防・教育などの公共サービスの提供や、道路・公園・上下水道などの公共インフラの整備が行われている。現在の日本の財政規模は対GDP比で4割強(アメリカでは4割弱、フランスでは6割弱)を占めている状況にある。
 財政学は、このような中央政府や地方政府の財政を研究対象とする学問であり、予算論・租税論・公債論・公共支出論・地方財政論・社会保障論・公企業論などで構成されている。
 この講座は、このように現代の市場社会の中で重要な役割を担っている「財政」(公の経済)について、「本編」として考察する後期の講義である。
 この講座は、経済学の基礎を一通り学んだ3年次に配当されている科目であり、経済学の重要な科目の一つである財政学の「本編」として授業を進める予定である(財政学の「入門編」の講義は2年次の科目として配当されている「財政学Ⅰ・Ⅱ」で行う)。

2.
授業の到達目標

 ・学生が、板書の筆記を通じて、実社会で必要となる「メモ取り能力」を修得する。
 ・学生が、財政支出と支出対象の関係を説明できる。
 ・学生が、国と地方の政府間財政関係を説明できる。

3.
成績評価の方法および基準

 ・期末試験の成績(100%)で評価する。
 ・期末試験は、「テキスト・ノートの持込み可」とする。
 ・期末試験は、「テキスト・ノートの内容」から出題する。
 ※ 出席率が2/3未満の学生は、元々「期末試験の受験資格はない」ので注意すること。

4.
教科書・参考書

 テキスト:神野直彦『財政学〔改訂版〕』有斐閣、2007年(3,200円+税)
 参考文献:神野直彦『財政のしくみがわかる本』岩波書店、2007年(800円+税)

5.
準備学修の内容

 指定したテキストの次回の授業範囲の部分を読み、専門用語の意味等を事前に理解しておくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 ・2年次に「財政学Ⅰ・Ⅱ」を履修し、「単位取得」していることが望ましい。
 ・春学期の講座である「財政政策論Ⅰ」との連続履修を希望する。
 ・授業を集中して受講する学生を希望する(私語は厳禁。退席を求める場合もある)。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス―前期の総括と後期の概要
【第2回】
 貨幣支出としてのアウトプット
【第3回】
 3つのサブシステムと公共支出
【第4回】
 オプションとしての公債と公債原則
【第5回】
 地方財政と中央財政①―複数の「政府」
【第6回】
 地方財政と中央財政②―複数政府の変遷
【第7回】
 地方財政の理論と実際①―地方税の課税形態
【第8回】
 地方財政の理論と実際②―財政調整制度
【第9回】
 政府としての社会保障基金①―社会保障とは
【第10回】
 政府としての社会保障基金②―社会保障の現実
【第11回】
 公企業と財政投融資
【第12回】
 財政の過去から未来へ①―産業の変遷
【第13回】
 財政の過去から未来へ②―市場経済のグローバル化
【第14回】
 後期の総括
【第15回】
 まとめと試験