Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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中国経済論 I 吉田 治郎兵衛
選択  2単位
【経営】 17-1-1110-3256-15A

1. 授業の概要(ねらい)

 現在の日中関係は、領土問題で揺れ、そのことは、日中の経済交流、学術交流、地方の友好都市の交流、教育学問分野での交流などの幅広い産業・学術・文化分野に暗い影を落とし始めています。
 中国を敬遠する学生が増加しているのを認めざるをえませんが、過去三千年の歴史から見ると日中経済交流の長い歴史があり加えて中国の経済力が日本を上回っていた時代が圧倒的に長いのも事実です。経済的角度から見れば、今後も日本は中国の14億人の市場的価値は無視できないし、中国も日本の先端技術、グローバル企業、環境保護技術を無視して産業政策、雇用政策を立てられないでしょう。
 ここ数年の学生の意見から中国に行きビジネスを始める気は無くとも次の3つの点は関心が高いと感じています。一つは、中国人旅行者の「爆買い」にも見られるように中国人のインバウンド経済効果について、大気汚染、海水汚染ともに日本にも大きな影響を与えている環境汚染、もう一つは世界経済においてニューヨークや東京の株式市場と同じように重要視されつつある中国の株式市場です。
 今年度は、前期は中国の観光資源、後期は中国の環境問題と株式市場に重点をおきます。
 前期の具体的な重点は次の3点。
 1.日本語で書かれた中国経済の分析における重要資料の把握。
 2.中国語が分からなくても中国語で書かれた主要社会経済統計資料を理解できる能力の養成。
 3.中国の主要観光資源の理解。
 4.中国株式市場の概要
 5.尖閣列島における領土問題と東シナ海の地下資源の理解。

2.
授業の到達目標

 前期は次の6点の理解を目標にします。
 ① 中国経済の概要の理解。
 ② 中国語が出来なくても中国の主要経済統計を読解できる能力の習得。
 ③ 中国の地理、行政区画、省都の概略の理解。
 ④ データベースを活用し外国語で書かれた中国経済関係の資料を収集・利用できるスキルの習得。
 ⑤ 中国の主要観光資源の把握。
 ⑥ 尖閣列島における領土問題と東シナ海の地下資源の理解。

3.
成績評価の方法および基準

 成績は、次の5つの方面から評価する。
 ① 授業中の積極性、特にあてられた時にしっかりと自分の意見を述べているかどうか。評価割合は10%
 ② MELICのデータベースを十分活用できるかどうか、検索したデータは利用できるものかどうか、評価割合は10%
 ③ 配布した授業プリント、独自に収集した関連資料を保管し、後で活用できる状態にしていること。評価割合は10%
 ④ 事前にレポートの添削を受けているかどうか。評価割合は10%。
 ⑤ 決められたテーマでレポートを決められた字数で良い内容で提出しているかどうか、評価割合は60%。尚字数は講義の後半で学生の理解度を見ながら発表します。

4.
教科書・参考書

 授業中に適時配布する。量的に多くなるが学生は大切に保管しなければならない。その方法は、授業中に指示を出しますから遵守して下さい。重要テキストは『中国統計年鑑』です。
 膨大な参考文献は、授業中に順次紹介します。

5.
準備学修の内容

 授業によって興味を抱いた分野に対し、日本語、中国語、英語を問わず資料収集し独自の分析能力を高めることを希望します。
 日々のニュースから興味のある中国経済関係のものをストックし、自分自身で学習・研究し不明なところは授業で先生に質問することを希望します。

6.
その他履修上の注意事項

 授業に積極的に出席することを希望するが、事情があって欠席が多い場合は、事前に書面にて理由を説明・相談し許可を得ること。
 レポートの作成において次の3点を遵守すること。
 ① 全体の構成を考えて構想を練り、段落を作ること。
 ② 引用文献は引用した箇所に必ず、引用文献、引用サイトのホームページのアドレス(URL)と日時を括弧書きで記載すること。剽窃、「ハリポテ」のレポートは書いてはいけません。
 ③ 引用したのを貼り付けただけでは大学生のレポートとはいえませんよ、必ず自分の意見を書くこと。或いは、いくつかの文献を引用して理論的により高度な理論を構築すること。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ・授業の進め方・評価方法に対するガイダンス。
 ・前期登録予定学生の特に興味のある分野について聞き取り。
 ・中国経済の概況説明。
【第2回】
 ・中国の地理的理解のため全国地図、省、省都の地図の作成。
【第3回】
 ・日本政府の資料を用いた中国経済の分析方法の説明。
【第4回】
 ・日本の政府系のシンクタンクの資料を用いた中国経済の分析方法の説明。
【第5回】
 ・『中国統計年鑑』の中の次の経済関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法①――人口、GDP、輸出総額・輸入総額・国際収支、消費者物価指数、都市住民平均住宅床面積など。
【第6回】
 ・『中国統計年鑑』の中の次の経済関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法②――国家財政収入と支出、中央と地方財政、主要財政支出項目、外債購入残高など。
【第7回】
 ・国連、UNDP、世界銀行、世界保健機関の統計資料を中国社会経済の分析方法の説明。
【第8回】
 ・中国の観光産業政策の解説。中央官庁、旅行業を扱う国有企業。
 ・中国の観光地のDVD観賞と意見交換。
【第9回】
 ・映画鑑賞(計画経済期の中国の農村経済状況と人民の生活)
【第10回】
 ・中国の歴史遺産の解説。先秦、漢代、唐代、宋代の歴史遺産について。
 ・中国の観光地のDVD観賞と意見交換。
【第11回】
 ・MELICのデータベースを活用し、英語で書かれた現在の中国経済に関する文献を検索するトレーニング。
【第12回】
 ・中国の歴史遺産の解説。明代、清代の歴史遺産について。
 ・中国の観光地のDVD観賞と意見交換。
 ・レポートの添削指導。
【第13回】
 ・日本での中国人観光客の旅行・買い物事情。東京、京都、奈良、富士山、北海道、沖縄。
 ・レポートの添削指導。レポート提出。
【第14回】
 ・全体での意見交換会と発表。
【第15回】
 ・前期授業の総括,
 ・レポート提出。