Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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社会福祉と経済 I 吉田 治郎兵衛
選択  2単位
【経営】 17-1-1110-3256-17A

1. 授業の概要(ねらい)

 もし、私がビジネスで成功し十分な資産があったら学生を大型客船に乗せ世界を1周し各国の市場と人々の暮らしを見てまわりたいものである。学生たちには、その方が私の教室での講義より遥かに深く広く世界の社会保障と経済の関係が理解出来るだろう。
 しかしながら教員の私にはそんな資力がないし、幸い学生達にも私に付き合えるだけの時間がないだろう。
 振り返って世界を見るに、現代世界は未曾有のグローバリゼーションと技術革命による世界規模の開発の進行の下に、人間と自然の共生関係が崩壊の危機に直面し、地球生態系が変調をきたしている。過度な工業化はグローバル化(世界的市場化)の推進によってもたらされたことから、「調和ある社会」、「共生持続社会」の構築が重視されはじめ、その課題は「社会と市場」の調和を図る「公共―市場システム」を軸に社会の各領域に調和型システム、格差緩和システムを構築することを模索している。この重要な分野に社会保障制度の再構築と経済との関係の見直しがある。キーワードは「公共・市場・技術」であり、その統合的方法である。
 授業は、日本の社会保障と経済関係の統計資料、日本の社会保障の成立過程と現状、OECD諸国の社会保障と経済関係の統計資料、OECD諸国の社会保障の成立過程と現状に重点をおいて展開する。1国に集中するのではなく多くの国の概要把握と比較研究に重点を置く、したがって就職活動における面接試験の発言材料にも利用できる内容を含む予定である。
 社会保障は、勉強を一生懸命している学生、部活に青春をかけている学生、バイトで多忙な学生、恋愛に夢中な学生、部屋で息抜きしている学生など全ての学生に関係する分野である、よって来る者は拒まない、共に学び共に考え全ての人が病み、老い、失業したときも人間らしく生きられる社会的システムを探究しようではないか。
 “All aboard!”(全員乗船!)

2.
授業の到達目標

 前期は次の5点の理解を目標にします。
 ①「自分流」の社会保障観の構築。
 ②日本の社会保障制度の概要の理解。
 ③授業で取り上げた国の社会保障システムの発展過程の理解と現在の制度の概要を理解。
 ④英語が出来なくても英語の主要経済統計を読解できる能力の習得。
 ⑤データベースを活用し日本語・英語で書かれた社会保障関係の文献資料を収集・利用できるスキルの習得。

3.
成績評価の方法および基準

 成績は、次の5つの方面から評価する。
 ① 授業中の積極性、特にあてられた時にしっかりと自分の意見を述べているかどうか。評価割合は10%。
 ② MELICのデータベースを十分活用できるかどうか、検索したデータは利用できるものかどうか。評価割合は10%。
 ③ 配布した授業プリント、独自に収集した関連資料を保管し活用できる状態にしていること。評価割合は10%。
 ④ レポートの添削指導を受けているかどうか。評価割合は10%。
 ⑤ 決められたテーマと字数で「自分流」のレポートを提出しているかどうか。尚字数は講義の後半で学生の理解度を見ながら発表します。昨年度は学生により「自分流」で1000字から6000字のレポートを書いてくれました。評価割合は60%。

4.
教科書・参考書

 授業中に適時配布する。量的に多くなるが学生は大切に保管しなければならない。その方法は、授業中に指示を出しますから遵守して下さい。
 膨大な参考文献は、授業中に紹介します。

5.
準備学修の内容

 授業の終わりに、次回の授業内容を説明します。学生は予習をしてください、そうしないと授業中何か意見を求められても直ぐには発言できません。
 授業によって興味を抱いた分野に対し、日本語、英語を問わず資料収集し独自の分析能力を高めることを希望する。
 日々のニュースから興味のある社会保障関係のものをストックし、自分自身で研究し不明なところは授業で先生に質問することを希望する。

6.
その他履修上の注意事項

 この授業中はもとより、他の授講義中も或いは土曜、日曜、夏休みにおいても「自分流」の社会保障と経済のレポートを作成するのに有用だと思われる資料は、常にストックするよう心掛けましょう。
 この講義に参加することにより少なくとも5人くらいの新しい友達を作りましょう
 授業に積極的に出席することを希望するが、事情があって欠席が多い場合は、事前に書面にて理由を説明・相談し許可を得ること。
 レポートの作成において次の3点を遵守すること。
 ① 全体の構成を考えて構想を練り、段落を作ること。
 ② 引用文献は引用した箇所に必ず、引用文献、引用サイトのホームページのアドレス(URL)・日時を括弧書きで記載すること。剽窃、「ハリポテ」レポートは、書いてはいけません。
 ③ ネットで検索した文献をコピーし貼り付けただけでは大学生のレポートとはいえませんよ、必ず自分の意見を書くこと。或いは、いくつかの文献を引用して理論的により高度な理論を構築すること。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ・授業の進め方・評価方法に対するガイダンス。
 ・学生の社会保障と経済に関する意識の聞き取り。
【第2回】
 ・現在の日本の公的医療保険制度の概要。
【第3回】
 ・現在の日本の高額医療費制度の概要。
【第4回】
 ・現在の日本の年金制度の概要。
【第5回】
 ・現在の日本の介護保険制度の概要。
【第6回】
 ・現在の日本の生活扶助制度の概要。
【第7回】
 ・スウェーデンの社会保障制度の歴史的発展過程。
【第8回】
 ・映画鑑賞(社会保障のない時代の不幸な女性の一生―――アジア編)
【第9回】
 ・現在のスウェーデンの医療、介護制度の概要。
【第10回】
 ・現在のスウェーデンの年金、生活扶助制度の概要。
【第11回】
 ・MELICのデータベースを活用し、英語で書かれた現在の社会保障と経済に関する文献を検索するトレーニング。
【第12回】
 ・フランスの社会保障制度の歴史的発展過程。
 ・レポートの添削指導。
【第13回】
 ・現在のフランスの医療、年金、生活扶助、子育て補助金制度の概要。
 ・レポートの添削指導。
【第14回】
 ・全体での意見交換会。レポート提出。
【第15回】
 ・前期授業の総括。
 ・レポート提出。