1. |
授業の概要(ねらい) |
|
公益事業とは、エネルギー産業(電力、ガス)、公共交通(鉄道、バス、タクシー、航空など)、電気通信、上下水道などで、公的な要素の強い産業である。これらの産業では、一般企業と異なり、法律や規制などによって企業活動にさまざまな制約が課されたり、あるいは事業そのものが公的機関によって行われている。なぜこのような制約のもとで活動をしているのか、このような規制を取り払うとどうなるのかについて理解することがこの講義の目的である。具体例を取り上げながら、公的要素をもつ産業をいかにして効率的に経営させるかについても学習し、「公共性」と「私的性」について考えることで、公的規制の在り方について検討する。近年、公益事業の分野では、規制緩和や民営化が盛んに行われているが、その根拠や民営化の手法についても学習する。 授業は、基本的にレジュメを用いて行い、受講生のレベルにあわせて難易度は調整する予定である。 日本の公益事業Ⅱでは、主として現代の流れである規制緩和の概要とその評価について、さらにPPP(Public Private Partnership)やインフラファンドなどの新しい流れについても学習する。
|
2. |
授業の到達目標 |
|
この講義における目標は以下のとおりである。 (1)公益事業が規制のもとで活動する理由を理解する。 (2)近年の規制緩和の意味を理解する。
|
3. |
成績評価の方法および基準 |
|
授業中の課題(40%)期末試験(60%) 毎回、課題をだし、それに対して自分の意見を述べてもらう。その内容を評価の対象とする。その他、授業への参加度、質問なども考慮する。期末試験は持ち込み可とする。800字程度の論述試験にする予定である。
|
4. |
教科書・参考書 |
|
テキストは特に指定しない。参考文献は以下の通り。 塩見英治(2011)『現代公益事業』有斐閣ブックス 藤原淳一郎・矢島正之(監修)(2007)『市場自由化と公益事業』白桃書房 桑原秀史(2008)『公共料金の経済学』有斐閣 井手秀樹・鳥居昭夫・竹中康治(2010)『入門・産業組織』有斐閣
|
5. |
準備学修の内容 |
|
基本的に予習はしなくてよい。しかし復習は以下の点に注意しながらしっかりと行ってほしい。 (1)授業で学習した専門用語を覚える。 (2)新聞やニュースで関連する記事に目を通し、その記事に対して自分の意見をもち、コメントできるようになること。
|
6. |
その他履修上の注意事項 |
|
公益事業は社会にとって必要不可欠であり、かつ身近な存在であるが、どのように企業活動が行われているかを十分に理解していない人が多いと思われる。したがって、公益事業に関して少しでも興味のある方の履修を勧める。
|
7. |
各回の授業内容 |
|
【第1回】 | イントロダクション(公益事業とは何か。経済学的分析手法) | 【第2回】 | 公益事業の性質の復習(規模の経済、自然独占性) | 【第3回】 | 公益事業の性質の復習(外部性) | 【第4回】 | ユニバーサルサービスとネットワーク性 | 【第5回】 | 郵政事業(郵政の民営化) | 【第6回】 | 郵政事業と通信事業(ユニバーサルサービスの重要性) | 【第7回】 | 通信事業(通信の民営化) | 【第8回】 | 通信事業(通信事業の現状) | 【第9回】 | 放送事業(放送事業の仕組み) | 【第10回】 | 放送と通信の融合と将来 | 【第11回】 | 公益事業の将来(自由化や競争促進と安定供給の両立について検討する) | 【第12回】 | PPP(PFI)と公益事業 | 【第13回】 | ファンドによる資金調達(インフラファンド) | 【第14回】 | 総復習1 | 【第15回】 | 総復習2 |
|