Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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日本のエネルギー I 並河 良一
選択  2単位
【経営】 17-1-1110-3746-37A

1. 授業の概要(ねらい)

 この授業では、エネルギーとは何かを、経済学の視点から、わかりやすく説明する。日本経済を前提に、エネルギー種別に、エネルギーについての基礎知識のない学生にも理解できるように説明し、より経済学的なアプローチをする「エネルギー経済Ⅱ」を受講するための基礎知識を提供する。
 エネルギーは、食料と並び、日々の生活や産業活動に必須のものである。しかし日本のエネルギー自給率はわずか4%であるため、エネルギーを安定的、安価に確保することは極めて重要な政策である。エネルギー政策立案のためには、個々のエネルギーについて、経済社会的な特性を知る必要がある。
 本授業では、石油、石炭、天然ガス、原子力、水力となどの主要1次エネルギーだけでなく、電力・都市ガスなどの2次エネルギーについても説明する。また、太陽、バイオマスのような自然エネルギー、シェールオイル、メタンハイドレートなどの新・化石エネルギーについても触れる。さらに、廃棄物の実態、リサイクル政策の効果をとおして、省資源、省エネルギーの本質を見る。

2.
授業の到達目標

 (1)エネルギーとは何かを、経済学の視点から、理解する。
 (2)各種エネルギーについて、他の財とは異なる特徴を把握する。
 (3)エネルギー経済の基礎知識を習得する。
 (4)現実のエネルギー経済の動きを通して、実態経済を理解する。

3.
成績評価の方法および基準

 定期試験による、平常点を加点する。(100%)

4.
教科書・参考書

 テキストは使わず、パワーポイントを中心に説明する。必要に応じて、プリントを配布する。参考文献は、授業の中で適宜紹介する。

5.
準備学修の内容

 授業の中で、産業・資源エネルギー経済に関するニュースを採りあげて説明するので、各種メディアの日々の経済・ビジネスニュースをチェックする習慣をつけること。とくに、日本経済新聞は購読し、常時チェックすることが望ましい。

6.
その他履修上の注意事項

 私語、スマートフォンの使用、熟眠は認められない。
 授業は、知識を得るだけの場ではない。講義を聞き、自ら考え、経済・社会の事象についての見方、考え方を確立してほしい。
 パワーポイントを見て、話を聞いて、その要点をノートするという能力を涵養すること。実社会に出れば、必須の能力である。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション:エネルギーとは何かについて学ぶ。
 (注:【第2回】以降は、学習の進捗状況、学生の理解の程度などにより、採りあげる内容・説明の順番を適宜変更する。)
【第2回】
 石油(1):石油とは何か、国内の石油産業の産業構造・産業組織について理解する。
【第3回】
 石油(2):石油の需給、石油価格の決定要因、産油国と消費国の国際的パワーゲーム、石油の国際市場、石油の開発、権益確保について理解する。
【第4回】
 石油(3):石油の備蓄、石油不足時の危機管理システム、石油ショックについて理解する。
【第5回】
 石炭:石炭の種類、国内石炭産業の崩壊(エネルギー革命、労働争議、国際価格との乖離)、石炭政策と地域経済(産炭地域振興政策、夕張市の財政破たん)について理解する。
【第6回】
 天然ガス:天然ガスとは何か、LNGとは何か、パイプライン天然ガスとLNGの市場構造、取引形態(長期契約・Take or Pay契約)、天然ガスを巡る国際紛争(東シナ海ガス田問題、オーストラリア・PNGの国際協定)について理解する。
【第7回】
 新・化石エネルギー:シェールガス、シェールオイル、オリノコ・サンド、オリノコ・タール、メタンハイドレートの開発動向について理解する。
【第8回】
 電力・ガス(1):電力・ガス産業の産業組織、電力・ガスの市場の特徴について理解する。
【第9回】
 電力・ガス(2):電力・ガス価格決定システム、規制緩和、安定供給義務について理解する。
【第10回】
 原子力:原子力発電のしくみと特徴、立地・保安・放射性廃棄物政策、核燃料サイクル・高速増殖炉政策・核融合技術、事故の原因について理解する。
【第11回】
 自然エネルギー:太陽光発電の原理と特徴、導入促進政策、買い取り制度、コスト、限界について理解する。バイオマス等の他の自然エネルギーについても学ぶ。
【第12回】
 省エネルギー(1):省エネルギーの概要を学ぶとともに、省エネルギーの本質を、廃棄物問題をとおして理解する。
【第13回】
 省エネルギー(2):省エネルギー対策の考え方を、リサイクル政策の効果をとおして理解する。
【第14回】
 鉱物資源:鉄鉱石、非鉄金属の開発・精製、レアメタル問題、都市鉱山について理解する。
【第15回】
 総括:エネルギー選択を考える要素(経済動向、需給・価格・コスト、確保可能性、技術的安全性)について理解する。