Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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ベンチャー・ビジネス論 I 武田 基秀
選択必修  2単位
【経営】 17-1-1120-4092-21A

1. 授業の概要(ねらい)

 本授業は、将来に事業の経営者・後継者になる可能性のあると考える学生、または、会社に就職しても自らビジネスの先頭に立って挑戦をしたいと思っている学生には、是非受講して欲しいと思います。リーダーになるため、または、個人として自立するためのノウハウを多く学べます。
 授業では、第一に、ベンチャービジネス起業と経営の基礎的概論を説明します。新たなビジネスを創業するアントレプレナーシップの学習が、複雑で且つ予測が難しい社会経済の変化の中での、人・組織が持続的に生存・成長・発展するために重要であること、とりわけその柔軟なチャレンジ精神および行動が必要であること、これらの考え方と実践的技術を、入門編として学びます。同時に、起業による新事業の創業は勿論のこと、企業内の新事業開発、並びに人のキャリア形成においても、共通した知恵を得られることも学びます。
 第二に、自分なりの仮説として‘私の創業案’の起案を行い、ベンチャービジネス創出の方法と技術について実践的な学習を行ないます。尚、海外の多くの現場でも創業者教育が重要視され盛んに実施されています。ここではその源流である米国シリコンバレーで行われている方法を一部取り入れて実施します。この活動の根底の思想を理解し、皮相的な形態のみを真似ることなく、本質的な学習ができるようにねらいます。
 特に、これらの学習により、ベンチャービジネスが、各自にとって、リアリティのある身近な活動であることへの理解を深めることを目的とします。

2.
授業の到達目標

 ① ベンチャービジネスとは何かを、その価値、経営技術の概要について、基礎的な理解をすること。
 ② 事例を選択し、その創業期の展開の実例を、創業者の精神、試行錯誤、人との交流及びその背景の社会経済の動きも合わせ学習し理解し説明できるようにすること。 
 ③ 後期ベンチャービジネス論Ⅱでは、成長産業に取り組む挑戦、ベンチャービジネスの創業と経営技術を学習しながら、受講者の「私の創業案」を自ら作ることにより、実践的な学習を予定しています。そのための準備として、基礎の学習と将来挑戦できる身近なものであることを、前期で学びます。

3.
成績評価の方法および基準

 授業で提示する課題に対するレポートの提出結果及び最終レポートによる試験(40%)。授業での発表(ピッチ)・ディスカッションへの積極的な参加と貢献(30%)。
 出席等授業態度にみられるdiscipline(訳注:決められたことをそれが辛かろうが妥協せずに実行する強い姿勢・自制心・自己鍛錬)(30%)。
 これらを総合して評価します。

4.
教科書・参考書

 注)『私の履歴書』関連資料は配布(コピー)する予定
 『ベンチャー企業』第4版日経文庫(松田 修一 著、日本経済新聞社)
 『起業の教科書』(北尾吉孝著、東洋経済新報社)
 日本経済新聞編 『私の履歴書経済人 第17巻 吉田忠雄(吉田工業社長)』〈YKK〉
 日本経済新聞 私の履歴書 『夢を力に』(本田宗一郎、日経ビジネス人文庫)〈ホンダ〉
 日本経済新聞 『私の履歴書 似鳥昭雄』〈ニトリ〉
 日本経済新聞 『私の履歴書 安部修二』〈吉野家〉
 日本経済新聞 私の履歴書 『経営はロマンだ』(小倉昌男著、日経ビジネス人文庫)〈クロネコヤマト〉
 日本経済新聞 『私の履歴書 鬼塚喜八郎』〈アシックス〉
 日本経済新聞 『私の履歴書 カルロス・ゴーン』〈日産自動車〉
 以下は参考書:
 『ベンチャー企業 実戦教本』(大前研一編著 プレジデント社)
 『ベンチャー創造の理論と戦略』(ジェフリー・A・ティモンズ、ダイヤモンド社)
 『エマソン 妥協なき経営』(チャールズ・F・ナイト著、ダイヤモンド社)
 『隠れたチャンピオン企業』(ハーマン・サイモン著、中央経済社)
 『事業計画書の作り方』(原尚美 著、日本実業出版社)
 『世界経済史―バランスシートで読み解く』(ジェーン・グリーン・ホワイト、日経BP社)

5.
準備学修の内容

 ワークショップでは、ピッチ(3-5分のパワーポイントを使用したプレゼンテーション)を行いますので、積極的に準備し実践的に挑戦し学習してください。
 日本経済新聞『私の履歴書』の内容、また、各自の周囲の創業事例に注目し、ベンチャービジネス創業の実例として、興味を持って学習してください。『私の履歴書』関連資料は配布を予定していますので、準備学習が必要となります。

6.
その他履修上の注意事項

 創業者になったつもりで勉強することをお勧めします。
 日本経済新聞を読むようにしてください。
 ベンチャービジネスの学習は、ベンチャー企業を創業することばかりでなく、企業に就職する場合、またスペシャリストを目指す場合等の各自のキャリア形成においても、勉強になります。自立した生活及びより良い人生を創造していくという観点でも大いに、創業者精神を学習してください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション/ベンチャービジネスとは何か、なぜ重要な勉強とされているのか
【第2回】
 総論1 ベンチャービジネス/ベンチャー企業とは何か、現状と取り巻く環境
 ワークショップ:近江商人の創業者教育/日本の創業者たち
【第3回】
 総論2 複雑系社会経済システムとベンチャー企業の本質・重要性
 ワークショップ:私の創業案作成に向けて
  ・『私の創業案』作成方法概論(Guide for Founders)
  ・ビジョンとアイデア(Vision and Idea)
【第4回】
 現場から 外部招聘その1:情報分野とベンチャービジネス
【第5回】
 米国の事例 1:シリコンバレーの歴史とその精神
 米国の事例 2:グーグルとアマゾン
【第6回】
 日本の事例 1:YKKの創業と展開
 日本の事例 2:ホンダの創業と展開
 日本の事例 3:ソフトバンクの創業と展開
【第7回】
 ワークショップ:事例分析の発表と分析
 日本の事例 1:YKKの創業と展開(続き)
 日本の事例 2:ホンダの創業と展開(続き)
 日本の事例 3:ソフトバンクの創業と展開(続き)
【第8回】
 現場から 外部招聘その2:ベンチャービジネスのリアリティ(創業経験談)
【第9回】
 ワークショップ:ピッチ(各自発表)/ビジョンとアイデア(Vision and Idea)
【第10回】
 日本の事例 3:クロネコヤマトの創出と展開
 日本の事例 4:アシックスの創業と展開
 日本の事例 5:ニトリの創業と展開
【第11回】
 ワークショップ:事例分析の発表と分析
 日本の事例 3:クロネコヤマトの創出と展開(続き)
 日本の事例 4:アシックスの創業と展開(続き)
 日本の事例 5:ニトリの創業と展開(続き)
【第12回】
 現場から 外部招聘その3:ベンチャービジネスの育成現場から/ベンチャー企業経営と事業マネージメント
【第13回】
 ベンチャー企業経営と財務マネージメント
 ワークショップ:私の創業案作成に向けて
  ・顧客・市場分析(Research and Customer Development)
  ・ビジネスモデルと収益モデル構築(Business/Revenue Model)
【第14回】
 ベンチャー企業経営と技術マネージメント
 ワークショップ:私の創業案作成に向けて
  ・製品開発(Product Development)
  ・知財と法務(Startup Legal and IP) 
【第15回】
 ベンチャービジネス創業「私の創業案」作成にむけて(まとめ)